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一兆年の夜 第百二十一話 天地相為す 地同翔和の前に壁が立ちはだかる(一)

 十一月百十一日午前零時零分零秒。
 場所は不明。代々の王が襲名する場所は常に歴代の王にしかわからない。
(此処が襲名する地か。わざわざ俺をこんな所に来て如何する? 俺は王ではない。其れに継承順では恐らく第三位に当たる。なのに如何して時雨様は俺を此処に連れて来たのだ? 如何して襲名の儀を此処迄見せたんだ? 却って神秘性を薄めるのではないのか?)
 翔和は襲名が終わる迄ずっと前述のような事を考えていた。如何して地同の者が立ち入るのを許可されたのか? 如何して守って来た襲名の儀に己の立ち入りが許されたのか? 計五度も考えてはいる……だが、結論には至らない。結論に至らない事を乞旅考えた所で時間の浪費に過ぎない。そう考えた翔和は次のような事を考え始める。其れは襲名の度に次期王に付けられる二つ名。
(歴代の王名は次の通り。最初は天同躯伝くでんだから躯の者、二代目は蒼天そうてんだから天の者、三代目は紅蓮ぐれんだから紅の者、四代目は蒼穹そうきゅうだから蒼の者、五代目は三代目の第二子だが四代目の意思も受け継がれる事からくれない穹の者と成る。其れから六代目は朱蓮あかはす蓮の者、七代目は俺の遠い親戚の地同家の第三子である正美まさみで王名は地の者、八代目は中同家最後の雄である近貴ちかたかで王名は中の者、九代目は相武の父である時雨で彼は俺の親戚である正当地同家最後の雌である相秋の夫でもある。なので地同と近しい訳だ。えっと王名は雨の者と成る。じゃあ相武は何に成るか?)
 翔和が見守る中、相武は父時雨から次のような名前を貰う。
 え、翔の者--意外な事に其れは翔和自信を表す王名だった!
(其れは……まさか俺が次期王に選ぶ為の王名じゃないか!)
 抗議したい翔和。だが、家を出た身であろうとも其処は親離れも姉離れも出来ない翔和……仕来りに従い、左手で口を抑えるのだった!
(頭を冷やせ、地同翔和。此処で口を出せば更に禁を破ってしまう。そんなの銀河連合と変わらないだろう。俺には……禁を破る程、型を破る事が好きじゃない。型は……何よりも大事にしろと短いが長い人生の中で教わった筈だ。俺は口出し何て相応しくない!)
 そうして翔和は大人しく見守り続ける。襲名の儀を無事に完遂する事を願って。だが、懸念する事もある。其れは二つ。一つは天同時雨が余命幾許もない事を若い翔和でありながら察知していた。襲名の時に倒れた場合は如何やって時雨を運ぶのか。己が運べば禁を破った事を世間に知らしめる事に繋がる。其れだけは避けて通りたい。だが、緊急時では其れを避けて通る事は難しい。
 そしてもう一つは次の通り。
(銀河連合は何時だって俺達が準備していない所で現れる。あいつらが居るから姉ちゃんもサーベンも川内集落に派遣された軍者達も死んだんだ。其れだけじゃない……だが、俺が挙げられるだけでも奴等はやり過ぎた。千の年以上も奴等は俺達に対して牙を向けて来たんだ。絶対に許す物か……来るなら来い、銀河連合!)
 既に抜く準備は整った後の翔和。戦いの準備も此れ迄に培って来た力を行使する術は身に付けている。だが、其れでも翔真を倒した銀河連合に届かないのではないかという安心し得ない思いも何処かにある。
(まだまだ俺は井の中の蛙族だ。まだ己が求める強さに届いていない。世界にはまだまだ俺の想像が付かない生命が存在するかも知れない。サーベンもワンダルーダもそうだったようにまだ--)
 儀式の途中で俯せに倒れ掛かる時雨。駆け込む翔和と相武!
「と、とうさん!」
「大丈夫だ……まだ命が残って、いる」既に喋る事も限界を迎えつつある時雨。「其れ、よりも……翔和君」
「……」
 王名は、相武、だけじゃない--時雨は翔和に対しても驚くような事を語り始めるのだった。
 其れを聞いて驚かない翔和ではない。物事を余り覚えるのが得意じゃない相武も驚くしかない事実があった。其れから襲名の儀は、徐々にではあるがゆっくりを再開を始める。
(時雨様はとんでもない事を俺に突き付けたな。此れからは……俺と相武だけで真古天神武を引っ張ってゆくのか!)
 其れが時雨の言いたい事……ではない!
(そして……時雨様は俺達以外に知られないように全生命力を振り絞って聖堂へとお戻りし、時雨様自身の間に戻ると座禅を組んだまま想念の海に旅立ってしまった!
 何という雄であったか。俺が敵わないと思う瞬間さ。王とはこうあるべきだと実感した。勿論、相武にもちゃんと伝わったさ。だから此れを機に相武は勉学に励み始めた。例え其れが秋雨様に届かなくとも少しは王の器に近付く為に……な!)

『--こうして私は勉学を始めた。勿論、翔和が勉強を教えてくれた。決して幼い頃は
其処迄凄い学業の持ち主ではない。でも姉翔真に近い程に勉強熱心だったそうだ。私
には何処が羨ましくないかわからない位に。
 其れに大変だった。一の年経っても中々物事を覚えられない私の事が。そして--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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