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一兆年の夜 第十八話 鬼ヶ島を行く(七)

 未明。
 場所は鬼ヶ島中央地区武烈聖堂。
「んー? こー、ここーは?」
 物部アラ太はうつ伏せの状態で目覚めた時、彼はこの場所がどこなのかわから
ない。
「気がついたか?」
「イダダー、そーの声はー?」
 声のする方に振り返るとそこには天同棟一と藤原シュギ朗、それに蘇我ウキ麻呂
が並んでいた!
「やっと起きったか! 仕方なっいよね。アラ太のあんちゃんが一番怪我が大っきい
もん!」
「ここは! 鬼ヶ島の! 中央にある社! 俺達は皆! そこに避難している!」
「ここーは社のー中なんーだ。
 それでーも状況がわーからなーいよ! 一体ーどうなーってるーの?」
 アラ太は棟一に説明を求めたが--
「状況を説明する前にアラ太殿やシュギ朗殿、それにウキ麻呂殿にはどうしても
話さなければならない事がある!」
「話さなければ! ならないこと?」
 棟一は深呼吸の動作を力強くした!
 そして全てを語り始める!
「天同棟一が鬼ヶ島を行く理由。
 それは大マンドロス町の民をこの島に避難する為だ!」
「え? ど、どうゆうこっと?」
「その事前準備の為に俺は南鬼ヶ島村の村長に直接話し合わなければならな
かった。天同棟一の目的と遺志を伝え、鬼ヶ島への渡航を認める為にも!」
「そうか! だから棟一様は! 俺達としばらく! 別行動を! とられた!
村長の許可を! 得る為に!」
「ああ。俺は当初、時間が掛かるものだと踏んだ。何しろ俺みたいな穢れた雄に
村長が許可を取られるはずはないと思ったのでな。
 だが、その予想を覆すかの如く、村長は俺達の渡航をお認めになられた!
 どうやら棟一の意志を汲み取ってくれたよ、あの方は!」
 棟一の顔は半泣き状態になった!
「な、泣ーかれるのーなら今ーすぐにでも--」
「いやいい! 最後まで話さないと天同棟一が生きた証を示せない!
 そもそも何故大マンドロス町の民をこの島に避難させるのか?
 実は大マンドロス町は銀河連合に食われようとしている!」
 シュギ朗とウキ麻呂は内容を理解は出来たが、アラ太だけは本質を掴めない!
「な、何ー故でしょーうか?
 どーうしてあれだーけ穏やーかだったー町が食われーるなんてー僕にはさっぱり
わかーりまーせんが」
「わからないのも無理はない。アラ太殿は外がどうゆう状況か気付かないからな」
「外ー?」
 アラ太は駆け足で聖堂の正門を少し開けた。
 すると--
「な、なー、な!」
 そこには数百にも上る銀河連合が社より成人体型後くらい離れた囲んでいた!
 それを見たアラ太は思わず門を強く閉めた!
「こ、こー、これは僕ーには何ーなのかさーっぱり--」
「わからなくて当然だ!
 実はここへ避難する途中、俺は鬼ヶ島中を見回った!
 そしたらこの島の住民は一名残らずあいつらの腹の中だと知った!」
 アラ太はその事実を知り、体中が凍える感覚に襲われた--恐怖が身体中を
冷ますように命令した証! やがて身体は小刻みに揺れ出す!
「あ、あ、まー、あ、あー! こーこはもうー銀河連合のー住処ーに成ーられた、
たーの、のえー、すーか!」
「お前は恐怖するか! 俺は異なる!
 俺は怒りを! 怒りたい気持ちで! 一杯だ!」
「お、お、おいらはあんちゃん達とは異なっる! 鬼ヶ島の者はおいらの家族だった
のっに! 南鬼ヶ島同様に家族だったっのに! なのに! なのに!」
 ウキ麻呂は悲しみに耐えきれず、涙を溢し続けた--床一面が水浸しになる勢い
で!
「三者三様だな。俺の場合はどの感情にだって成れるが、今はそんな物を押し
死なせないと! でないと俺は天同棟一じゃない!」
(棟一様は、はー、辛ーそうですーね! き、恐怖も怒ーりも、かー、悲しみーも
出来ーない自ー分を責めーておーられる! こ、こ、こー、この場合はーどう
すーればいいー?)
 アラ太は全身を揺らしながらも状況を打破する方法を探っていた!
(ぼー、僕はー、僕は! なー、何一つー答えをー見つけるこーとが出ー来ないまー
ま……まま?
 僕ーの目ー的はー何だ? 何ーで放浪ー者に憧れたー?
 神様にー与ーえられた日ー々の生ー活に意味ーを見ー出す為ー?
 何でーこんなー時? そーうか! そうだったーんだ!)
 アラ太はようやく自らの答えを見つけた!
「どうした、アラ太殿?」
 アラ太の心にはもう恐怖心は無い--代わりに恐怖も怒りも悲しみも全てを
超えた本能に辿り着く!
「棟一様ー! こーこからー出ましょーう!」
「「「な!」」」
 三名は驚愕する!
「アラ太のあんちゃん! ここは囲まれてるんっだよ!
 出るなんて死ぬっのとおな--」
「僕がー銀河連ー合を引ーきつける! そのー間にみんーなは鬼ーヶ島からー
脱ー出するーんだ!」
「まさか! やめろ! そんなことは!」
「僕はこんな時にーようーやく自ー分の答えをー見つけたーんだ!
 だからお願いーだ! 僕にやらーせてーくれ!
 この通りだあアーア!」
 アラ太は三名の前で土下座した!
 その姿を見た棟一はとうとう--
「わかった! アラ太殿の遺志……確かに受け取った!
 どのみち待っていてもいずれ食われる! だったら正面突破する以外に他は
ない!」
「正面突破か! 実は俺! あいつらを何体か! 死なせたくて! 辛かった!
だから俺も! 死と向き合う!」
「悲しんっでいる暇はなっいんだね。おいら達は鬼族の皆の為にも命を懸っけない
と! 懸っけないと折角貰った命の意味を示っせない!」
「どうやら決まりだな。俺がゆっくりと門を開く!
 そして半開きでもいいから中へ突入するぞ!
 準備はいいか?」
「「「了解!」」」
 棟一は門を勢いよく開いた! そして、四名は銀河連合の群れに突撃する!
(僕は何としてーも棟一様ーを生ーかさないとー!
 棟一様はー全生命体ーの希ー望だ!
 希望ーを生かすーことーは同時ーに僕が探ーし求めた答ーえと何一つー異なる
部ー分はなーい!)
 アラ太は棟一に成りすました少年を救うべく命を懸ける!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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