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一兆年の夜 第百二十話 天地相為す 地同翔和は旅立つ(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百九十五年十一月百一日午前四時三十八分四十二秒。

 場所は真古天神武六虎府経済都市第三北東地区。
 其処で齢十四にして四の月と十一日目に成る神武人族の少年が旅立とうとしていた。彼の名前は地同翔和、天同相武と出会う四の年より前の話であった。彼を追って駆け付けるのは齢十七にして五の月と八日目に成る神武人族にして翔和の姉に当たる翔真とま
「唯一の跡継ぎだから? 俺が居なく成れば地同家は実質無くなる? 宮家の一つが無くなり、天同の血統の危機が訪れる?」
「そうよ、翔和君。だから僕達は君に出戻って欲しい訳なの。将来の国家神武の為にも貴方の存在は可からずなの!」
「そうして俺を狭い場所でずっと暮らして馬族の種としてしか見ない事か」
「其の言い方は銀河連合其の者じゃないの!」
「五月蠅いな、銀河連合を相手に遣り合うには今の狭い環境で得た知識だけじゃあ十分じゃ--」
 此の大腰砕けええ--翔和は姉翔真が良くやる渾身の左平手打ちに何時も意識を吹っ飛ばされるのだった!
(確か此の時は姉ちゃんが俺を止めにやって来たな。お袋が姉ちゃんを連れて来るように言って来たからだろう。そして、姉ちゃんに何時ものように平手打ちをされてやっぱり受け身が間に合わずに気を吹っ飛んだな。だが、不思議なのは此の後からだ)

 午前九時三十二分十一秒。
 場所は不明。
 此処は--目覚めると其処は海の上……いや、木星の筏船の上だった。
「気が付いた、翔和君?」
「姉ちゃん、何で俺の旅に同行したんだ?」
「だって君は僕が居ないと家事一つ出来ないからね。だから優しい僕は付いて行く事にした」
「全くお袋が知ったら益々布団の中から出なく成るぞ」
 抑々ママが心配性なのがいけないのです--尚、二名の母は真正神武七代目最高官である天同十二とにの第六子であり、鳥羽家に嫁いだ文華ふみかの子孫に当たる。
「お袋の母方及び父方を交互に辿ると行き着く文華も確か心配性で子供を決して目の届かない場所に離すのが理無きと聞くぞ」
 うん、だから僕も可愛い弟から眼を離したくないの--心配性なのはしっかり受け継がれた翔真だった。
(此の様に俺の姉ちゃんは昔から俺を決して離さない。如何ゆう理由かを問われれば敢えて答えないようにする。だって簡単だろう、情に一々理由を付けるのは理論と掛け離れる。情はあくまで生命の反応……俺はそう思う。俺はそう評する以上は姉ちゃんも同じように俺の事をそう評している。何しろ、何でも熟して来た自慢の姉ちゃんだからな。こうして俺と姉ちゃんの旅は始まった。
 ま、当初は船で向かうのではなく陸路で大陸藤原に向かう筈だった。だが、姉ちゃんは雄略大陸に行きたいと懇願した為に結果として進路変更を余儀なくされた……強制的にな)

 十一月百十五日午後一時二十三分十八秒。
 場所は雄略大陸南側。其の断崖方面より齢十八にして三の月と八日目に成る雄略人族の少女が案内の為に二名の所に駆け付ける。
「二の日も……早く来られましたね」
「誰だ、てめえは?」
 コラ、ちゃんと挨拶しなさい--早速、平手打ちを受けて海に投げ出される翔和だった。
「あ、いけね」
「わ、私も泳げますので先に登って下さい!」
 気を失い、海に沈んでゆく翔和を救助しに上半身裸のまま海に飛び出す案内役の少女。彼女は翔和を救助しに荒れ狂う海に身を投げ出し、其れを果たした。其れから岩場に引き上げると翔和に対して生命呼吸を遂行する。
(此れが俺にとって初めての口付けさ。姉ちゃんにされた口付けとは大きく異なる異性との暖かな口付け。まるで生命を運ぶかのように其れは暖かくも肉体全体に熱を浸透させてゆく。いや、此の熱は俺自身が怒りで発する熱でも何かに熱中して出る物でもない。
 如何やら此れが初恋かも知れない。俺は此の雌に恋をしたのかも知れんな。情けない事に俺が恋なんてしてやがるなんてなあ!)
「ゲホゲホッ……此処は?」
「目が醒めましたか?」
 ……誰だ、お前は--息を吹き返して早速発したのが其の一言。
「はい、子供は此れだから」案内役の少女は翔和の額に溜め込んで放った右人差し指の一撃を与える。「神武人族の生命はもう少し言葉遣いを勉強して下さい」
「イデデ……姉ちゃんそっくりだ!」
「翔真様ではありません。私はソレイユ十八代と申します」
「はあ、何だそりゃあ?」初めて苗字の無い正式名称を知る翔和。「どれが苗字だ? ソレイユか、それとも十八代なのか?」
「いいえ、其の全てです。でも翔和様は私の事をソレイユとお呼び下さい!」
「何で俺の名前を知っている?」
「はい、翔真様が手紙で知らせてくれましたので」
 相変わらず保護が過ぎる姉ちゃんだ--そう言って翔和は目を逸らした。

(以上が南雄略へ至る迄の俺の旅路だ。此処から先は少し長くなる。そして最初の別れも此処で訪れる。まあ覚悟しとけよ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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