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一兆年の夜 第百二十話 天地相為す 地同翔和は旅立つ(序)

『拝啓、此れを読まれた方はもう既に此の天同相武そうぶは此の世に存在しないと思って
下さい。私は真古天神武の終焉を此の眼で見る者として此処に終焉迄の一部始終を
記す、と思ったな。だが、其の前に私が王に成る前にある男と出会った。
 其の男の名前は地同翔和とわ、類稀なる才能を持った王の素質に最も近い新仙者。だが、
其の座に就く事なく私に託して命を落とした。そんな男の物語は唐突に始まる。確かあいつ
と出会ったのはあの暑苦しい日だったかな? 確か夏が終わろうとしていた頃だった。台風
もまだまだ活発な中で私は注意が足りない状態で外に出てしまい--』

 ICイマジナリーセンチュリー二百九十六年十一月百日午後九時四十三分五十八秒。

 場所は真古天神武マンドロス山標高成人体型百五十西側。
 其処で齢八にして九の月と二日目に成る神武人族の少年が木の幹に凭れるように何とか堪え凌ぐ。彼の名前は天同相武……真古天神武最後の王。彼は自らに降り掛かる最初の危機に陥った。そんな彼を救う影がある。齢十八にして四の月と十日目に成る神武人族の少年が今にも手を離して墜落しそうな相武を目撃していた。
(生命救助活動を機に天同家に取り入れようとしていた俺が此の日にとんでもない生命を助けようとしている。こんな山の中に如何して彼が居るのか判然としない。だが、マンドロス山では古来より判然としない遭難者が必ず此処に集まる。誰かの魂が今を生きる生命を掴んで離さないのか? どっち道、おかしな話だ)
 そう思いつつも少年は相武を助ける為に其の力を行使して、一気に斜面を駆け上るのだった。其れから雨水の少ない木陰に相武を運ぶと上半身半裸に成って彼を衣服で包んで体を温める。
「た、たすけてくれてありがとうございます」
「如何致しまして……という前に何故予報が相次いだ日にマンドロス山を登ったんだ」
「いえでだよ」
「家出? 何だい、天同家にもそんな家庭事情があったのかい」
「ああ、秋雨あきさめねえさんみたいなすごいことはできないんだ。だからぼくにはむりなんだ」
「成程な、出来る姉が居ると弟は割を食べられた感じに成るかあ」
「そうだよ。それでおにいさんのなまえは?」
「俺か? 俺は地同翔和……二つに分かれたもう一つの地同家の嫡男だ!」
 此れが二名の出会いであり、物語の始まりである……

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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