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一兆年の夜 第三話 あたいは生きる

 今日は朝の恐らく六の時かな?
 まだお日様が昇っているのかどうかわからないけど、季節は確か秋頃だったような。だからはっきりとお日様も昇りづらいのよね。
 ってそんなことは今いいっつーの! あたいは現在気分が良くないのよね。その原因を作った男が目の前であたしを口説いてるって言うべきなの?
「俺の話を聞いてたのか、実兎みう? いつまでも反抗ばっかりしてると父さんが婚約解消に踏み切るよ! そうなるとさすがの俺でも--」
「だーかーらー、あたいはあんたと結婚しないわ! あたいにはここで好きな人と一緒に暮らすって決めたのよ! 兄貴の都合であたしの人生が左右されるなんて御免なのよ!」
「我儘を言うな!
 これは昔から親同士で決められたことなんだよ! 伝統を守っていく為決められたことなんだぞ! それは君だって同じはずだぞ! なのにどうしてその伝統から逃げようとす--」
「ウルサイウルサイ! もうあたしのことをほっといてよ!」
 あたいは逃げたかった……伝統という神様からの贈り物に。
「そうか……でもほっとくわけにもゆかないよ!」
「はっきり言いなさいよ! 構いたいのか構いたくないのかを」
「単刀直入に言うよ。ここは危険だから今すぐこの山から下りよう!」
 危険? あの崖の事ね。冬になると雪が積もって発射台のような滑り台になるあの崖ね。
「大丈夫よ、羽通之うつの。今は秋だから雪は降って--」
「違う! 俺が言いたいのは十の年より前から頻発している不吉なる流れ星の件だ!」
 流れ星? 確か前にユーリディスから聞いた相容れぬモノに関する噂話かしら?
「まさかと思うけど、テレス山に落ちた流れ星が原因でテレス人族出身である二名の雄が白骨死体になったって話なの?」
「知っていたのか……ユーリの奴め。俺に罪深い感情を抱かせるようなことを!」
「あら? 誰もユーリディスの話はして--」
「別にユーリのことは君の中で済ましてくれ! それよりも実は二の年ほど前にこのプラトー山にも流れ星は落ちた」
 二の年ほど前? あたいが羽通之の家に嫁いだ年だわ。
「そ、それがどうしたって言うの? それが件の話とどう絡むのよ!」
「流れ星が落ちた場所はかならず白骨死体が出るんだよ!
 だからこのままここにいたら君まで--」
「そんな噂なんて信じないわよ! そうやってあたいを飛遊ひゆうの家に連れ戻す気ね!」
「そ、そうじゃない! 俺は実兎の為と思って--」
「帰って! あたいはここで一生暮らすって決めたんだからもう二度とここに来ないで!」
 二度とここから出てってよ! あたいはもう伝統なんてたくさんなのよ!
「……それが君の答えなのか。
 だが、やはりここは危険だ! だから出来るならユーリにも山を下りるように伝えてくれ! 流れ星のせいで二人共があの世に召されるのなんて俺は御免だからな!」
 何がユーリも山を下りろだっつーの! 対抗意識があるならはっきりとあたいに伝えるように言いなさいよ!
「君も少しは俺にはっきりと好かれぬ言葉を言うべきだよ。お互いの相性が良い点と言えばはっきりしない所だと俺は思うのだけど、どうかな?」
 羽通之はそんな事を言っちゃって私の前から気まずい感じで山を下りた、のかしら?
「あーあ、ひどいことを言っちゃったわ。後でプラトー山の神様達にお説教を受けないと駄目だわ」
 落ち着いて話をすれば羽通之にはっきり別れを告げられるのにこんな事を言うのはあたいが伝統からいつまでも--なんて思ってる側からあたいの憧れの彼が山を登ってきたわ。
「お帰り、ユーリディス!」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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