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一兆年の夜 第百十九話 日は又、昇る(五)

 午後二時五十三分十八秒。
 場所は拠点型拠点型区域。
 其れはヒラメ来達にとって初めてと成る拠点型内部に拠点型を設けるという異様な区域。心臓型がまだ見えぬ中でまるで予備の拠点型を作り出すように銀河連合は同型を体内に製造した。大樹型を作り出すだけでも一泳ぎを誤れば己を貫きかねない行為というのに銀河連合は完全に北海を実験場として使用していた。そして--
(ひょっとすると矛盾山の話に出て来るように既に北海は銀河連合其のモノと化してしまったのかッテ!
 そう考えないとこんな膨らませ過ぎた風船が破裂するような行いを、そんな行いを奴等が普通に出来る所から見てアリスティッポス大陸北海は既に海型銀河連合に、海型銀河連合に生まれ変わったと思わなければいけないット。だとするとサケ仁達が無事で、無事でいて欲しいと願うのは俺だけじゃない筈だット。確実に無事という可能性はないッテ。確実じゃないからこそ生涯は、生涯は崖を登るが如しッテ。勿論、勿論此れは地上種族目線で出て来た言葉だッテ。水中種族目線で例えるなら、例え用には如何成るかなッテ? 濁流ット? 津波ッテ? いや、一つだけあッタ!)
 何、やっているのですか……ヒラメ来さん--タイン六世は思考中のヒラメ来を現実に戻してゆく。
「あう、お? いかんな。俺とした事が……あうぶ、動いたのか?」
「いえ、向こうも様子を窺っている所です」
「俺は筆頭とは言えども他の中隊への命令権はない!」
「其れでも初期要員として十分に顔が広いのです」
「各々が勝鰭にやらないというのも如何かと思う。というか、筆頭は、あうぶぼ?」
「如何しましたか、ヒラメ来さん?」
「ほら、険しい道の事を--崖を登るが如く--と呼ぶじゃないか」
「ああ、僕は既に例えを変えておきました。あおぶぼ、確か--滝を登るが如し--と」
「良し、其れだ!」右鰭を強く鱗に叩いたヒラメ来は次のように伝える。「作戦名は滝登り突破戦だ!」
「又、逃げるのですね」
「拠点型の中にある拠点型を相手にするのは理由に成らない。贅沢をしないのも戦いの基本だ。俺達は最初に決めた作戦の最終目的のみに集中する。途中で変更に成る場合は余程の測り知れない自体出なければ認められない。此れも常識だぞ!」
「わかりました。其れで他の三名を呼びましょうか?」
 そうしてくれ--独断で進める訳にはゆかない特別扱いを好まないヒラメ来だった。
 三名はヒラメ来の所に集まり、僅か二の分と十八秒で作戦会議は終了する。
「戦わずして先に進むのは好かん。俺達第三中隊は勝手にやらせて貰う!」
「とすればわしの率いる第四中隊は第三中隊のお守りをせねば、な」
「だが、作戦の目的は先に進む事だ。長期戦に持ち込めば先に進めなく成る事は益々必至。わかっているな、目的を?」
「全く好かない雄だ。さぞ、雌にもてないと見ている!」
「一応、妻子は居るのでもてる必要はない」
「ウボボブブ」悔しそうに気泡を上げるイカロム。「烏賊は水中種族で最も端正揃いだぞ!」
「厳つい顔ばかりの筋の違いでは?」
「五月蠅い、酢に浸かりそうな鯖め!」
「こう見えて怠け者の鯖でさぞ銀河連合に美味しく食べられそうですぞ」
 ウグゲボベ--単細胞な位に単純なイカロムは悔しがる以外に表現のしようがなかった。
「溜息吐けたら吐きたい。兎に角、向こうさんもそろそろ動き出している頃合だ。急ぐぞ、お前達!」
「ヒラメ来さんと僕達の後を付いて来て下さい!」
「少しだけ拠点型に痛みを思い知らせてやる!」
「今度こそ死ぬかな?」
「世界観補正は果たして何時迄傍観者で居られるか?」
 其れから五千名程の死者を出しながら拠点型区域を突破した前線部隊。残り四千八……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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