一兆年の夜 第百十九話 日は又、昇る(四)

 午後二時零分三十秒。
 場所は北海。
 拠点型の外を囲い込むように新楠木傭兵団本隊は展開する。団長である菅原サケ仁、次期団長である楠木ホエール行、第一郡長のゴデンノヅチサンマジロウ、そして第一大隊長アンコナ・アエンコは次のような会話を展開する。
「一万の傭兵を拠点型内部に送ったそうだな、アンコナ」
「其れが何か?」
「一万と言えども貴重な一万だぞ。本来ならば--」
「待てよ、サケ仁。そうゆうのは参謀がとやかく言う話だ」
「そうですよ、其れに提案を促したのは他でもない自分です!」
「拠点型相手に一切鰭を抜かないのはわかる。一切牙を抜かないのはわかる……だが、拠点型を急いで叩き落すだけ余裕が無いと考えるのか?」
「其れは僕の責任だ、サケ仁。元々、こうゆうのは僕の父等旧楠木傭兵団の念が無きを晴らす為に行われた遠征だ。あの戦いを本望としようとも残された僕達は如何しても割り切れる程大人じゃない。結果としてこうゆう道を泳いでしまう」
「其れは俺も同じだ。だから結団の時にアリスティッポス大陸北海を必ず征する事を明記していた。其の為にしか新楠木傭兵団は誕生しなかったと言える」
「でも戦う度に思い知らされます。銀河連合の凄まじい可能性の数々と展開を。僕は此の傭兵数なら必ず北海を征する事が出来ると思っていたのに!」
「世の中に必ずは無くてよ、坊や。常に準備が十分じゃない状態で生命は困難と立ち向かう。準備のまま成らない所で試練と立ち向かう。そして、持てる限りの知恵を駆使して乗り切って行く訳なのよ」
「ああ、向こうが此方よりも十の倍以上の数である事は遠征を決める前から想定していた事。其れに遠征を決めたのは単純に運営面で状況が芳しくない訳ではない」
「そりゃあそうだろう。時間が欲しいのは銀河連合も同じだしな。其れに十五の年より前に鯨型と指揮官型との混合型が出現した。此の年だと一体どんなのが出て来るが想像も付かない」
「北海は銀河連合にとって様々な種類を試す為の絶好の実験場みたい」
「だから平気で僕達を食べる事が出来るのです。食欲の箍とか其れで済ませる話じゃない。彼等に心が無いのですか!」
 あれば千百の年も俺達生命は戦う運命に無い--其れで済むならどれだけ気が楽だったのか……其れが此の世の真理である。
「せめて父上達が前回の拠点型内部について詳細に語った事がわかったら良かった、が」
「十五の年より前に二百名全員が銀河連合に喰われたと聞きます。一体如何やって其の情報を知り得るというのですか!」
「予測しかない……が」サケ仁は次のように断言する。「ヒラメ来ならば十五の年より前の念無きを晴らす事が出来る!」
 ヒラメ来さんを過ぎたる信頼、か……僕も同じだ--ホエール行も平ヒラメ来の力量を其処迄認める模様。
 果たして其の観方は正しいのか、其れとも只の過ぎたる信頼に終わるのか……

 午後二時十五分十八秒。
 場所は拠点型大樹区画。
(拠点型の中に、中に大樹型を生み出すという無茶苦茶が可能なのかッテ。銀河連合は北海を完全に、完全に己の、己のモノとしつつあるット。サケ仁達と同じく遠征を前倒しで良かったかも知れないッテ。こうして俺達は大樹型から生える果物型銀河連合から飛び出す種型を超越した卵型銀河連合に依って翻弄されているット。最も其れは一の分迄で、一の分以降は拠点型との戦いを想定した水中でも発射が可能な望炎砲と呼ばれる引き金を引くと口から炎を出す奴だッチ。本来ならば適性上は、適性の上では水中の中で火を噴く事は出来ない。周りの水分が発火を防ぐ為にッテ。水中内で火を噴く事例もあるがあくまであれは燃える氷という条件があって可能とするット。地上種族に扱う事が難しい燃える氷も俺達水中種族はあらゆる方法で用いられるット。其れが燃える氷を軸線上に散布して、散布してから望炎砲を発射するというやり方ッテ。此れで水中内で火を噴く事が出来るッテ。但し、散布するという時間を要するのが極めて効率性に於ける課題と成るッテ。散布班を襲撃されたら瞬く間に、瞬く間に望炎砲は使えないット。其れに此奴を使う位なら望遠銛を活用した方が遥かに迅速な物だろうッテ。
 とまあこんな感じで、こんな感じで今の状況を説明したット。俺は奇策として望炎砲の使用に踏み切ッタ。然も、中隊長以上と一部の班にしか望炎砲に依る作戦指示は聞かないのだから驚く顔を見るのは楽しみッテ。だが、だがなあ、だが悲しいかなット。戦いは、集団戦は楽しむよりも先に任務を果たす事が優先されるット。だから大樹型区域に入って直ぐに俺達は望炎砲に依る周辺の焼き討ちをたったの一の分だけやってから早々に此の区域を突破するしか道がないット!)
「ヒラメ来さん、あれだけでは大樹型は簡単には倒れません」
「わかっている。あくまで果物型に依る広範囲の散布から逃れる為の方法だ。其れに液状型も気掛かりだ」
「やはりそうですね。ヒラメ来さんも液状型は恐ろしいと考えておりますね」
「だから……感染してそうな者達には壁役として銀河連合の猛攻に耐えて貰う」
「……では他の中隊長の皆さんにもヒラメ来さんの提案を伝えて行きますね」
 ヒラメ来の提案にタイン六世以外の三名も呑んだ。いや、想定内だった。故に三名は生命の本質と葛藤しながらも誰か一名以上は同じ意見を述べる者を求めていた。故に其れを聞いて直ぐに実行に移した!
「では……前に逃げるぞ!」
 こうして第一から第十五迄を壁役に任せ、残り総数は九千二十三名と成った……

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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