一兆年の夜 第百十九話 日は又、昇る(三)

 午後一時五十三分十八秒。
 場所は拠点型内部。
 其処はまるで壁に彫られた彫刻のように肌壁中に様々な顔をした銀河連合が浮かばせて侵入者達を見つめる。ヒラメ来が率いる第一中隊を中心とした前線の中隊五つが内部へと深く潜り込む。ヒラメ来のとった提案とは拠点型を叩いて後は各個撃破をするという後先も考えない代物だった。然も実践として自らの中隊が責任以て拠点型内部へと潜り込んで其れ以外は全て補給線を守りつつも周辺の銀河連合の部隊を各個撃破しながら打ち勝つという物だった。勿論、此れには反対の声が上がった。何が反対だったのかは侵入して間もないヒラメ来の思考から読み取れる。
(俺達第一中隊のみで、のみで拠点型を叩くつもりでいたのになッテ。なのに第二、第三、第四、そして第五中隊が続々と突入を志願して来たット。単独での突入に奴等は反対の異を唱えたんだッテ。俺は妥協したのだぞッテ。本当だったら俺一名だけで拠点型内部に侵入して心臓型一体のみを倒しに行って後は拠点型を構成する全ての要素を一つ一つたたく予定だッタ。だが、俺は中隊長のみだット。其処は流石に遊撃員がやるべき事を俺みたいな奴がやってはいけないット。軍隊だろうと傭兵だろうと単独行動を取って良いのは圧倒的な力を初めから要する孤独者だけだット。其処で俺は大隊長であるアンコナに此の提案をした。すると彼女は其れを極秘にしなかッタ。結果、切り込みの第一中隊だけじゃなく第二、第三、第四、第五中隊が続々と志願して来たッテ。全く其のせいで凡そ千名もの傭兵の命を俺達が担う事に成ッタ。任務は果たす、死んでは成らない……出来たら苦労はしないけど、苦労はしないんだけどット。
 其れでも俺は中隊長として肌壁にて俺達を見つめる銀河連合共の顔が気味が良い物だと感じないット。其処で各中隊長との僅か一の分にも満たないエラ会話で、エラ会話で各小隊で壁役が担いそうな小隊を一隊ずつ周りで固めることを決定したット。最も壁と言えども側面だけを固めただけだ、側面だけだット。前方と後方は適度な空間を持たせて陣形を保つ訳だッタ。最も、どんな隊列にも完璧と言える形はないッテ。銀河連合は恐らく、恐らくは其処を付くだろうッテ!)
 ヒラメ来の想定通りに壁肌にある核銀河連合の顔はやがて首を出し、肩を曝け出すと続々と降りて来るように突入部隊に強襲。
「出たな、最初は全て迎え撃て!」
 ヒラメ来がそう指示を出した理由は一つ。壁肌に浮かぶ銀河連合の顔は本体が出ても再び補充するように別の顔が浮かび上がるか如何か……其れを確かめる為にあった。其の為、敢えて移動速度を緩めて此れを迎え撃ちながら確認する。
「ヒラメ来さん、奴等を迎え撃つのは余りにも体力の消耗を齎します!」第二中隊を務めるのは齢二十七にして八の月と九日目に成る雄略鯛族の青年タイン六世。「ほら、見て下さい!」
「やはり思った通りだ。次から次へと顔が浮かんでは体を出して……良し、其れがわかれば俺達は早速ではあるが真っ直ぐ逃げるぞ!」
「真っ直ぐ……要するに何でしょう?」
「そんな事もわからんのか、日焼け鯛め」第三中隊長を務めるのは齢三十にして三十日目に成るルケラオス烏賊族の中年イカロム・イカン。「先に進むように逃げるんだよ、撤退とは違う!」
「笑えますね、困った第一中隊長さんだ事」第四中隊長を務めるのは齢四十三にして八の月と十四日目に成るルケラオス鯖族の老年にして最年長且初期要員であるサバッツ・サバラン。「まあ逃げる事は別に前進する事と変わらないのかも知れませんね」
「……先を急ぐのだ」淡々と広報員に伝えるのは第五中隊長を務める齢三十一にして十の月と十七日目に成る海洋藤原鰤族の中年藤原ブリ伝。「此れ以上の戦闘は浪費と変わらない」
 こうして前線部隊は三十五名の命を以って先へと進むのだった……残り九千九百八十一名。

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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