FC2ブログ

一兆年の夜 第十八話 鬼ヶ島を行く(二)

 八月十一日午後五時七分二十九秒。
 場所は廃タレス山脈標高成人体型四百付近展望。
 アラ太と棟一は晩飯を食べていた。
「なるほーど、鬼ヶー島を目指すーのでーすね」
 アラ太は残り二個になったおにぎりの一個を勢いよく口の中に入れて何十回も
噛みしめる。
「そこまで大切にしなくていいだろ?
 おにぎりが無くなったくらいですぐには死なないし」
 一方の棟一はおにぎりを口の中に入れるとにっじゅかいに待たない回数噛んだ
後、梅干しの種だけを予め広げた右手の平に吐き出してそのまま胃の中に
流した!
「良ーくないですーよ、棟一様ー! ちゃんとー噛まないとー健ー康を維持でーき
ません!」
「仕方ないだろ? これは代々続くボルティ……いや天同家出身である雄の癖なん
だし!」
「え? そーうなのですーか? そーれは初ー耳でーすよ!」
 とっさの言い訳をした棟一に対してアラ太は疑問に思いつつも納得した模様。
(ボルティ? 何ーだろうー? まあーどうーせ棟一様はー腰砕けーたお言葉がー
好きなんだとー僕は推測すーるよ!)
 アラ太が他者を深く観察しない性格で良かった--と棟一は長い息を吐いた!
「だー、大丈夫ですーか、棟一様!」
「今のはおにぎりを丸呑みしたせいで咽に詰まった後遺症。君の言うとおりちゃんと
噛んで飲み込むべきだったよ!」
「だかーら言ったじゃーないでーすか! 噛まなーいと健ー康に良くないーって!」
「御免よ、アラ太殿」
 棟一はアラ太の正面に向けて深々と頭を下げた--アラ太以上に上手く土下座
するように。
(棟一さんはー僕以ー上に土下ー座が上手ーい! やっぱーり天同の雄ーは
そうやってー他者ーを圧倒したのーかな?)
 アラ太が棟一の土下座に思考を張り巡らしてる時、北西西より成人体型二以上
ある鷲型が棟一めがけて突っ込んでくる!
「ぎ、銀河連合! 狙いは俺なのか!」
「ギギーギ、銀河ー連合! コー、ここは逃ーげましょーう、棟一様!」
 二名は鬼ヶ島の方角へと逃げてゆく!
 しかし--
「あ、あ、あれーは何ていうー型なのかー!」
 成人体型五くらいある百足状に幾十も繋がった蜘蛛の形をした銀河連合が下方
より二名を迎撃する!
「のわ! 足を引っかけた!」
 棟一は枝に右足を引っかけて山道を転げ落ちた!
(こ、これーは危険だー! 棟一様がー万が一にもー死なれてしまーったら僕はー
神ー々に申しわけが付ーかなくなーる!
 急いで助ーけないと!)
 アラ太は上下に挟み撃ちをしようとする銀河連合に目も繰れずに棟一救出に足を
踏み出す--だが、降りる速度では転がる速度に間に合わない!
(気が気でーならなーい! 目の前にー夢中で足ー元が!
 このままじゃ棟一様が--)
「な、何を! 何やっとるか! 銀河連合が! お前らを追ってるぞ!」
 山を越えようと南西生の方角より通りすがった齢二十三にして四の月と五日目
になる雉族の放浪者はアラ太の特徴である水色の体毛を自慢の土色がかった嘴で
掴むとそのまま棟一の方に飛んでゆく!
「グブブ! グウグウブブ!」
「アーイテテ! 重いのはーわかるけーど、僕ーの方はー痛いーよ!」
「グウ! グンググウ!」
「そーんなこと言っーてる場合ってー言ったのー? イーデデ!」
 初対面にも関わらず、雉族の青年は苦言しながらも転がってゆく棟一を追い
かけた--二体の銀河連合の影が見えなくなるまで!

 午後十一時一分六秒。
 場所は廃タレス山脈標高成人体型二百九十付近。東に行くと南鬼ヶ島村が
見える位置。
 全身擦り傷で住んだ棟一の前には鳥系にしては器用に土下座をする雉族の青年
がいた!
「も、申しわけ! 御座いません! 藤原雉族の雄たる! この藤原シュギ朗! 
一生の覚悟無き! であります!」
「そ、そこまーで頭を下げなーくていいのですーよ、シュギ朗さーん!」
「この方はどなた! だとお思いですか!
 天同家の! 弐雄様の! 第一子ですぞ! 腰砕けた態度は! 出来るはず! 
無かろう!」
 シュギ朗は真面目な性格なのか、大袈裟に振る舞ってでも自らの礼の無さを
悔いたが--
「そこまでにしとけよ! 確かに俺に対して礼を砕けた態度を悔いるのは良い!
 でもやり過ぎはもっと神様に申しわけが付くかな?
 親友の棟一なら『つかない』って言うぜ! ってあ!」
 棟一は自分が余計な事を言った事に額中汗だらけになるが--
「成ー程! そうやって棟一様ーは自らをー鍛錬なーさってらしたーのですね!
 さすがーは天同の雄ーで御座いまーす!」
「そうか! 親友ってのは! 自らのことも! 言うのか!
 悔しい! 自分を親友に! 出来ない自分が悔しい!
 ありがとう御座います! 今のは自分の中で! 一生命言と! 成りましょう!」
 どうやら二名は言葉に感動する以外の反応はしない様子だ!
「そ、そうだな。自分自身を親友とする事を由とするのだ!
 ふあああ。今日はもう遅い!
 二名とも、そろそろ寝床を探すぞ!」
「「はい!」」
 銀河連合の驚異から逃れた物部アラ太と天同棟一は新たに藤原シュギ朗を放浪
のお供にした!
(鬼ーヶ島。僕と棟一様、それーにシュギ朗さんーでその地に向かーう理由。
 僕の場合はー毎日変わーらぬ生ー活の意味をー知る為にー棟一様ーと共にー
行く!)
 アラ太は未だに棟一と名乗る少年が何者なのかを知らない。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR