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一兆年の夜 第十八話 鬼ヶ島を行く

 ICイマジナリーセンチュリー六十年八月十日午前九時一分五秒。

 場所は東物部大陸東物部地方尾輿村北門。
 齢二十にして三の月と一日になる物部犬族の青年は旅立とうとしていた。
「伝統からーの脱却なーんて言わーなきゃ僕ーは」
 彼は悩んでいた--このまま足を踏み出すかどうかを。
(でも家をー継ぐのーは弟ーのフール太がいーるしな。僕はこーのままー放浪ーした
い気ー分だし。
 でも勝ー手なこーとを言ってー家族に迷ー惑をかけーたからー公開してーるん
だなー。今更だーけど)
「今更悩むー暇があるなーら足をー踏み出すのーが一番ーだ!」
 青年は前左足を踏み出した--自然と全ての足は北の方角に真っ直ぐ進む!
 成人体型はコンマ七に満たない青年は自分の身体の三分の一はある風呂敷を首
に巻いて背負い込んだまま旅立つ!
 自分が産まれた意味を探しに旅立つ!
(僕はさーさいなー理由ーで放浪ー者になるーよ! 毎日ー神様ーの為に生ーきる
意ー味を知る為ー。何でー日ー々同じことーを繰り返ーすのかをー僕なりーに知る
為ーだよ。本当にーささいだーけど)

 午後一時七分三秒。
 場所は廃荒山河川付近。
 青年は風呂敷を降ろして、中からタレス竹で出来た皮包みを出してそこから三角形
の形で固められ、中央に物部梅干しが埋まったおにぎりを二個出した。どうやら青年
は大食いのようだ。
「やっぱーこれーだよーな! おにぎーりを見ーるとつーいついー二個食ーべたくなー
るんだよーな」
 そう言って一個まるまる口の中に放り込んだ--ただし二十の分をかけて噛み
ながら五の分をかけて食道へと流した。
「幸せだー。この味をー感じるーたびにー僕は生ーきてるーんだなーあと思えるーよ。
それじゃーあーもう一つーを食べ--」
 青年は虫が鳴る音を聞いた--発信源に振り向くとそこには齢十七にして一日目
になる人族の少年がうつ伏せのまま倒れていた。
「た、た、たー、大変ーだアアー!
 だ、だー、だ、大ー丈夫でーすかあああ!」
 青年は少年がいる北東成人体型十くらい離れた場所に駆けつけた!
「うう、『だ、だー、だ、大丈夫でーす』よ。どう? 似てた?」
「腰砕けーたことしーないでー下さい! そーの虫のー音は確実にー二日以ー上は
食べてーない証ー拠ですよー!」
 青年は食べようとしていた二個目のおにぎりを口移しで少年に食べさせた!
「うあぐ! 何だか知らないけど、生き返ってきたかな?」
 おにぎりを食べた少年は丁寧に梅干しを口から右手の平へと吐いた!
「珍しいーですねー。物部梅干しの種を吐く生命なんて」
「え? これって飲み込んでいい種? 元来梅干し系は種は食べられないんじゃな
かったっけ?」
 少年は起き上がり、胡座をかきながら青年に問いた。
「あなた様のー知識でーは梅ー干しの種は食ーべないってー事?」
「俺の知識と言うよりも代々続くボ……いや天同の知識ではそうかな?」
『天同』という言葉に一瞬だけ驚いた青年は飛び上がるように土下座をした!
「て、て、てんんーどう! でー、で、ではあーなた様は偉大なる神ー武族のー長
ですーか!」
「ま、まあそうだよ、な。お、俺の名前は今、というよりもえっと、その」
「もー、も、申しわけあーりませんでーした!
 ぼ、ぼ、僕の方かーら名を名ー乗ってよろーしいでしょーうか、て、て、天同様!」
 青年の一風変わった行動に成人体型一とコンマ二に満たない緑髪の少年は親指
くらいの大きさを持つ両眼の眼球を青年から逸らしながらこう言う。
「いやさすがにこちらから名乗ろう!
 俺の名前は棟一むねいち。名字は天同だ。こう見えて神武族の長、人族の天同弐雄にゆう
の第一子だ!
 よろしくな、犬族の御方よ!」
 天同棟一と呼ばれた少年は右手を差し伸べた!
「こちーらこそよーろ、いえこーの場合は自己ー紹介からー行きまーす!
 僕はーアラ太。名ー字は物部ー。ここかーら南にあーる尾輿村ーから来まーした
物部犬ー族でありまーす!
 むー、棟一様ー! ど、ど、どうかよろーしくおー願いしまーす!」
 アラ太と呼ばれた青年は前右足を差し伸べて互いに差し伸べた部分で堅い握手
をした!
(アア、憧れのー天同ー家に出ー会えてー僕は幸ーせで一杯ーだ!
 お父さんー、お母さーん、そしーてフル太よ! 放浪した意ー味がありまーした
よー!)
 アラ太はこの時、彼が本物の天同棟一ではない事に気付かない。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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