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一兆年の夜 第百十六話 武士道とは死ぬ事と見付けたり(火)

(指揮官型との戦いを演じる前の私は既に齢二十七にして十の月と四日目。若気の至りなのか其れともまだ大人だと勘を違えていたのかわからない。此のバードズ・バルケミンは自分の強さに絶対の自信を持ち過ぎて酔ってしまった。
 まあ良い。指揮官型と戦ったのは齢四十以上が集まるあの矛盾山。かつては銀河連合其のモノとの疑い惑いし存在だった山。実際には其処に居る防壁型銀河連合を討伐する為に懸賞金が懸けられたな。実質、平均的な生活だけで凡そ十五の年も遊んで暮らせるという程の懸賞金を。だが、結局防壁型という存在は銀河連合個々ではなく山其のモノであった事が犀族の雄と亀族の雄、そして私の先祖に当たるユークルデス・バルケミンが証明する形と成った。其れでも当時の新天神武政府は懸賞金を渡そうとした。だが、三名共懸賞金は欲しても正当な理由が前提にあった為に結局其の懸賞金は公共事業に使われた。
 其れが、矛盾山の安全性を証明する為の老者山としての再活用。齢四十以上の老者達を其処に登らせて余生を過ごさせる。勿論、此れは自由なる意志の尊重が籠められる。新天神武或は引継ぎを任された真古天神武にしても強制する事はしない。其の為、当初は五十名迄とされた。ところが予想を裏返すように百八名程殺到。当時の新天神武は已む無く、予定の五十名から七十五名を矛盾山に登山させる事を決定した。其れでもやはり老者を銀河連合の補正が漂う山に登らせる事には抵抗がある。幾ら自由な意思を尊重するからとて追い詰められて達観した生命は居ない。特に老いで徐々に臆した病に掛かりやすい老者は其処迄の覚悟を決める生命というのは一握りに等しい。故に新天神武の時代に矛盾山を警護する軍者を動員する旨の法案が通される。だだが、可決されたのは真古天神武の時代。やはり取り越し苦労と過ぎたる保護には当時の代議士達も強く賛同出来なかったのだろう。
 指揮官型と戦う頃の私はそんな歴史的背景のある矛盾山に登ってより強力な銀河連合を倒そうという欲求が強かった。己の強さの為に其処まで危険を冒すのは一般生命だろうが銀河連合だろうが関係ないからな。其れに私が登る頃には低高度迄は一般生命でも移住が可能な時代だ。故に高高度を密かに登るという真似はやろうと思えばやれる時代に成った。最も、太間ガン流豆と言う一例を知る矛盾山支部の軍者達の鋭い眼を潜り抜けられる自信があるならばな。幾ら気配を消すのが上手な数多の兵法家も彼等の目を逃れる事は出来なかった。一名目は暗闇の進路を潜り抜けようとするも其の侭御用。二名目は同伴で一名或は二名以上を軍者の目に立たせて潜り抜けようとする。だが、其処は矛盾山担当の軍者。向こうも同じ手を使って敢え無く捕縛。三名目は老者達と組んで荷物に紛れ込む事で侵入を果たそうとする。ところが高高度に潜入を果たして直ぐに禁止区域にて待ち伏せをされて敢え無く御用。此のように矛盾山支部の軍者は恐ろしくも目を光らせた者達ばかりで構成された。特に蝙蝠族や梟族を夜勤に回す事で侵入者の裏の裏を掻く事を欠かさない。
 では私は如何やってそんな網を潜る事が出来たのか? 其れは普通に矛盾山支部に自ら売って出たのだよ。そう、「矛盾山には一般軍者では太刀打ち出来ない銀河連合が出るかも知れない。集団戦ではなく、奇襲で一名ずつ繰って出られたら打つ足も手もない。其処で自分めを雇ってみてが如何ですか」とな。まあ此れで決めた訳ではないが、労力が必要な潜入よりも能力其の物を売り込む事で修業だけで暮らしていけない部分を補う名目を以て高高度への潜入に成功。名目があれば幾ら禁止区域に足を踏み入れても「何だ、奇襲線主体の銀河連合対策なら期待するぜ」と言われるだけで足を運ぶ事が果たせる訳だ。
 極簡単に思えるか? だが、意外と此れを用いた潜入には苦労した。何しろ、矛盾山の軍者達は頭の固い連中ばかりだ。齢四十以上の老者を相手する内に奴等迄頭が固く成った。御蔭で潜入を果たした時は一気に汗が出る始末だ。だが、そっちは決して今回みたいな指揮官型との戦いで死ぬ寸前の深刻な疲れには成らない。
 そうだ。私が深刻だと思ったのはな--)

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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