一兆年の夜 第百十六話 武士道とは死ぬ事と見付けたり(地)

(最初に私は腹を切る前に少しだけ残しておきたい事が在る。其れは此処に至る迄、私は何をしていたのか? 其れを知る必要はない。此れ迄に私が得た事を紹介しようかと思う。
 先ずはやはり自己を紹介するのが一番だ。私の名前はバードズ・バルケミン。齢三十八にして四の月と八日目に成る仁徳人族。既に若い頃の熱き情けは最早ない。歳を摂り過ぎると新しい事に挑戦するという意欲が無くなるとは悲しくもあり、嬉しくもある。前者なら想像する事全てが時勢として古過ぎる。既に今の若い世代の話に付いていけなくなる。此れじゃあ若者の良くない所ばかりが目に付いてしまいがちだ。一方で後者の理由として挙げられるのがやはり今の若い世代に大人しく任せられるという安心感。私達が働き続けるのは若者に時代を切り開く力を削ってしまいかねないしな。そうゆうのは良くないだろう。故に私は挑戦する意欲が無くなる事を肯定的に受け止める。此れも又、私の人生だと感じる。
 次に紹介すべきは此処に至った経緯だろう。些細な事ではない。子供の頃に内村苦楽くらく先生から生きる事の意味を教わった。彼自身は実際、己の事を如何思っていたのかは知らない。僅か十の日の付き合いしかない中で彼からは大きな志を抱いて生きて行くように教わった。
 大きな志を背負って生きる事……今を思えば先生は大きな志とは何なのかを迷っていたのかも知れない。そんな中で先生は私を助けてくれた。先生に拾われた命、私はどのように使えば良いのか? 常に悩んだ。男児は少年に、少年は青年に、青年は中年に、そして中年は老年に……だが、其の答えを見付ける事は最後まで叶わず。
 こうして銀河連合を倒し続けて来た生涯。此の生涯で私はどれだけの銀河連合と相対し、死を覚悟の上で斬り合ったのか? 時には刃毀れを起こした雄略包丁をどれだけ研いで刃を酷く使用し続けるのか? そして斬り合って来た中で最も強大だと思った銀河連合は何なのか? やはり青年時代にやり合ったあの指揮官型だろう。
 奴の戦力はどれだけ振り返っても勝てるか如何かというよりも勝ち残った事が不思議に思う位に今でも信じられない思いが強い。年々、私達と同様に銀河連合は相手方を研究する。どんな戦いの世界でも其れは同じだ。相手を研究する事は即ち強く成る事に繋がる上に己自身を磨く事にも繋がる。研究とは何も相手だけではない。戦う場の研究にも繋がる。戦場次第では状況も変化する。言い訳も又、戦場が齎す物だろう。其れでも青年時代に亘り合った指揮官型の存在は私の包丁の道を確立させるに十分な存在だった。筋量や体格、骨格、特性、技術の数々と意気込み一つで何とかやり合ってやっと倒せた。
 いや、運が良かった。あの戦いで私は己が井の中に存在する蛙族だと気付かされた。指揮官型だから良かった。指揮官型を越える銀河連合と戦っていたならば私は此処まで生きている事自体が難しい話だろう。青年時代の私は指揮官型と戦う迄ずっと仙者を除けば最も強いと思い込んでいた。認識が甘かった。指揮官型をたった一名だけで相手しようと思ったのが。助けを乞いたい気持ちもあった中で私は運良く生き残った。勝利を決定付けたのは運と地形だ。地形を上手く利用して銀河連合の得意とする奇襲を削り取って何とか……な。
 其処から私の包丁の道は始まった。今迄は始まってすらいなかった。経験を大事にせずに力を有すれば全ては万事解決出来ると思い込んでいたのだからな。そうゆう訳で此れからここに至る迄の経緯を己の中で語るとしようか)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR