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一兆年の夜 第百十五話 少年よ、大志を抱くんだ(暗)

『--私には「先生」は理の無い話だった。私には何も出来なかった。だから私は
逃げた。「先生」ではなく、何も生み出さずに何も働きもしない私に戻って逃げた。
私には何も出来る筈がない。元々が真実から掛け離れていたんだ。
 其れは首都から離れた場所迄向かいかねない程の逃げる意気込みだ。逃げる事は
其れだけ簡単な物かと私は思っていた。立ち向かう事よりも逃げる事は反対側にあるの
だから其れは大変に簡単で容易で何よりも誰にだって出来る事だって私は思った。
 だが、逃げる事は立ち向かう事と同様に大変な疲れを生んだ。というのも首都を離れた
のは良かったけど、途中で残った生徒達の事を思ったら其れを堪えて遠くに行くのが
余りにも私には出来そうにない話であった。私が居なくても彼等を教える他の誰かが
担ってくれる。そう思う事が私には出来なかった。僅か八の日という短い間に私は彼等に
感情を移入してしまった。彼等が仮に私の事を如何思っていようとも私以外の「先生」を
彼等は求めそうに無い。故に私は途中で戻る事に成った。此の間に懸った時間は僅か
一の時。
 私は「恩師」の葬儀に参列する為に戻って来たのではない。けれども私は「恩師」の
言う理想の先生像を実現する思いで戻って来たのでも決してない。私には逃げる為に
必要な力が無かった。只、其れだけなのだ。其れだけの為に私は逃げる事を一旦隅に
置いて私の教室に戻ってゆく。私の受け持つ教室に戻ってゆく。決して私は「先生」を
演じ切る為ではない。其れも余りにも私に相応しくない。私は気分で、悲観で戻って
来た。楽観の為、意志の為に戻って来たのではない。其れは後に私の行動を褒め
称える事が無いように私から断りを入れる為でもあるのだ。私には戻って来る理由は
決して勇敢成る心が起こした奇跡だと思われたくない為に。
 其れから私は戻って来た。するとあの御器被型は更に増やして他の教室の生徒にも
襲い掛かった。「恩師」が責任以て全て倒した筈なのに如何して御器被型がまだ存在する
のか。幾ら複製でも複製自身に増殖する機能はない筈なのに。故に私は其れを同僚の
教師に尋ねる。すると「恩師」の肉体に入り込んで銀河連合は体を食い尽くしてゆく。
其れから御器被型の複製品を何と本物に近い状態迄成熟させて更に増加していった
のだ。「恩師」の肉体を媒体にして銀河連合は自分達の生産工場を作るという心の底から
吐き気がしそうな行為は私でなくとも激怒する案件だ。銀河連合とはやはり分かり
合えないと心の底から感じたよ、全く。
 しかし、だ。私達一般生命は其れでも銀河連合をわかり合おうという感情が残る。
こうしてわざわざ銀河連合の説明をしている点こそが心では認めたくなくとも実は私が
銀河連合をわかり合おうとしている証拠かも知れない。心の底で許さない存在なら
わざわざ記すのは墨や紙の浪費に過ぎないのに。全く一般生命には戦いは向かないとも
取れる。
 端に折ってしまった。そろそろ終わりについて記さないとな。「先生」に成った私の
物語の終わりは何処なのかを。其れは--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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