一兆年の夜 第百十五話 少年よ、大志を抱くんだ(序)

『昔々の話に成るか、今は語られる事のない話に成るかは誰にもわからない。何故なら
此の物語はとある雄が「先生」呼ばわりされたのが事の発端。実は其の雄は「先生」でも
何でもない。偶然、「先生」は銀河連合に食べられてしまった。其れを目撃した彼。何の
職にも就かない彼は必ず死ぬで其の場から逃げる。逃げる時に偶然にも「先生」と同じ
生命に助けられた。そして其の「恩師」は彼が「先生」に瓜二つである事を理由に
「先生」にしてしまった。以来、彼は「先生」として教鞭に立つ事と成った。
 そう、私の事だよ。当時齢三十二にして二の月と五日目に成るアデス人族だった私。
「先生」だった彼は齢三十一にして八の月と四日目に成る六影人族。余りにも出身が
異なる私達。けれども私と「先生」は瓜二つの顔と声、そして話の間隔と他者を魅了する
能力を有していた。私の名前は「先生」だった内村苦楽くらくに近い名前。此れも「先生」と
共通する為に「先生」に代わって教鞭を揮うに相応しかった。
 話を「先生」として教鞭を振るわなければいけなかったのかについてだ。実は私を
助けた「恩師」は性格上は事前に決めた事を万が一でもない限りは変えたりしない融通の
利かない生命だった。余りにも通し融ける事が利かない為に同僚の教諭達の評判は
芳しいと言えない。此の通し融ける事が利かない性格もあって「先生」が死んだという
事実を今更発表する訳にはゆかない。内村苦楽が銀河連合に食べられて死んだなんて
言えない。其処で私が内村苦楽として代わりに生徒達に教鞭を揮う事と成った。昨の日迄
残飯漁りの生活をして来た私がいきなり誰かに成り済まして更には職に就けるように
成った。こんなの如何すれば良いかわからないと思うのは私だけではない筈。
 だが、「恩師」は「先生」が生前に書き残した授業の仕方を真似すれば幾らか通れると
主張する。全く困った話だと思うだろうが、私もそう思う。私は此の季節は春を満喫して
存分に残飯で得た酒の残り粕を平らげて生活すると決めていたのに。気が付けば残飯
漁りに「先生」の死を間近で目撃して「先生」に成って春始めを迎えるのだから全然
笑えない。出勤僅か迄、「先生」の素振りを練習したな。今でも十分と言えない状態から
私の「先生」生活は始まりを迎えた!』

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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