一兆年の夜 第百十四話 初めてのお使い(三)

 だけど、今日の応神海はあれにあれたらしい。海の神様は僕に楽しい買い物をさせる気なんてまったくないらしい。だからこんな風に帰ろうとする僕をさまたげにかかるんだらしい。僕は流されに流されていったらしい。気が付いたら僕はどこにもわからない所に流されていたらしい。
 えっと僕はねむっていたのかならしい? こうゆう場合は何て言ったのか僕は知らないらしい。そうだ、神かくしって言うんだらしい。後でそうゆう言葉じゃないとお母さんに教えてもらったけどらしい。とにかく、僕は流されたんだらしい。どこにも知らない場所に流されたらしい。そこで僕はある人族の生命と出会ったんだらしい。齢二十二にして八の月と一日目に成る藤原鮟鱇あんこう族の生命である藤原アン奇琉藻きるもだってらしい。え、むずかしい名前や種族名をどうやって記せたってらしい? お母さんが記してくれたんだよらしい。そんなきるもおじさんが居てくれるお陰で僕は一名だけにならずにすんだらしい。でも当時はおじさんになぐさめられても泣いたならしい。家から遠くなったからすっごく泣いたならしい。買い物ぶくろもあながあいてせっかく買って来た物がみんな流されて泣いたならしい。お母さんにいっぱいしかられると思って泣いたならしい。
 それからおじさんになぐさめられた僕らしい。僕はきるもおじさんといっしょに家にもどるためのたびがはじまったんだらしい。おじさんとはたったの二の時もの付き合いだったらしい。おじさんが命をかけて僕を家じまで戻してくれたことは忘れないらしい。だっておじさんは、おじさんは……あんなに中のぐちゃぐちゃが出ても僕の為にぎんがれんごうと戦ったんだらしい。あのぎんがれんごうはくま族のおにいちゃんが戦ったのと同じさめがたなんだらしい。でもくま族のおにいちゃんと異なり、きるもおじさんは戦いがあんまり上手くなかったんだらしい。なのにおじさんはそれでも僕のために、こんな僕のために命をかけてしまったんだらしい。
 その話は後にしようらしい。おじさんはいっぱい教えてくれたんだらしい。お使いを一名で出来ると生命は誰かにたよることよりも先におのれで何とかしようと考えるようになるらしい。誰かにたよる意味を知ることができるらしい。おじさんは少し気のむずかしい生命だったらしい。どうも僕には良くわからない話をすることがたくさんあったらしい。さっきしょうかいしたことも僕には今でもわからない。そうゆう時おじさんは次のように言ったらしい。「今からわかろうとするほど、小ぞうはとしをとったのか?」そんなことをおじさんは言ったらしい。何か全しんの吸盤が大きくひらきそうなくらいに僕はあばれたらしい。
 たくさん話したらしい。中には「お父さんやお母さんはぜったい大切にしなさい」とか、「大人という言葉で出来ない事を言いわけするな」とか、「ぜったいに逃げ出さないとかくしんするな、逃げたい時に逃げるんだ。本当のゆう気は逃げない心とは限らない」とか僕もかん心、えっとこれで合ってるかららしい? とにかく、僕もかん心する言葉も言ったんだらしい。全部僕からすれば当たり前にしか聞こえないらしい。大人って当たり前のことが当たり前に出来ないのかならしい? 今でも良くわからないらしい。
 きるもおじさんは僕にいっぱい教えてくれたんだらしい。なのに……なのに何でおじさんはらしい!

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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