一兆年の夜 第百十三話 時間旅行 時間旅行者太間ガン流豆の終着(九)

 午前二時三分四十九秒。
 三位一体型の意外に長く成る首が真っ直ぐガン流豆に向かう。最早此れまでなのか……そう思った時、噛まれたのは--サチカだった!
 彼女は龍道と呼ばれる謎の技術を使うべき左腕を出して迄ガン流豆を庇った。其れだけではない。右手で龍道と同じく謎の技術を用いて風を起こした--サチカは龍道以外にも水の惑星では出来ない技術を有していた!
 ガン流豆は吹っ飛ばされる。其の風はガン流豆の翼では如何にも受け流しが難しい作為的な風。片翼だから風を受け流せないのではない。水の惑星に存在しない作為的な風故にガン流豆が特別受け流せない風ではない。
「ウググ、生きて……太間さん。三位一体型は、あれは、あれは……水の惑星の時代では絶対に勝てない銀河連合。私達の時代では戦いは古い形式でもまだ此の宇宙での時代は必要な戦い。戦いをあれこれ言うのは簡単だけど……だけどなあ、そうゆうのは趣味じゃないんだよ!」
 サチカは己の時代に即したやり方を以って三位一体型と対峙。そして--







 十二月六十七日午前三時四分一秒。
 場所は不明。
(ココハ……俺は、何をシテイタ?)
 気付くと良く知る天井が見える。右眼だけの光景は決して幻を見ているのではない。ガン流豆はこの光景を知っていた。決して記憶が無くしたから其の空白に覚えがあった訳ではない。
 起き上がって直ぐに周囲を見渡す。すると右翼側に齢四十二にして九の月と五日目に成る物部雁族の老婆が皺を寄せながらガン流豆を見つめて居た。
「オヒサシブリで御座いますわ、ガンルズサン」
「ガンナ……其処まで老けて、オレヲ」
 エエ、もう会えないと思った時に神様は不思議な再会を用意してクレマシタネ--其れはサチカが齎した再会なのか或は時間旅行が生んだ奇跡なのか?


 ICイマジナリーセンチュリー二百四十五年四月二十日午後四時三十四分十八秒。

 場所は真古天神武東物部大陸ピタゴラス地方矛盾山標高成人体型百六十七密林地点太間ガン流豆研究所一階居間室。
 --え、一旦話を止めるのですか?
「アア、ソウダ。ジツハガン菜との再会と彼女が死ぬ迄の間は暫くわしは其処で生活をシタ」
 --如何してですか?
「スデニわしの子供は軍者と成り、全員死んでシマッタ」
 --まさか銀河連合との戦いで、ですか?
「アア、彼女の心の裂けようはわしの比デハナイ。ダガ、ガン菜はわしとの再会の為に精神を保ちツヅケタ。サラニハ理が無いにも拘らず其れを強いて迄わしとの最後の生活を続けようとシタ」
 --其の生活は何処まで続いたのですか?
「ソノセイカツは一の年もツヅイタ。ダガ、彼女が満足な状態でわしとの余生を過ごせたのは僅か一の週ノミ。ソノアトハ理無きが祟って老いの病を患ってシマッタ。ソレカラ最後の三の日迄はずっと介護の舞の日サ。ナガイキする事の全ては何も良い事ばかりデハナイ。ナンド楽にしてやりたいとオモッタカ」
 --でも其れはしなかったのでしょう、何時か必ず良く成ると信じて?
「イウナ……何度わしは死のうとカンガエタカ。ナンドわしは銀河連合みたいな精神の様に成ってしまったと思ってトーヨルみたいに首を括り、マルコみたいに舌を噛み千切ろうとオモッタカ!」
 --でもガン菜さんが逆に励ましたのでしょう?
「ダカライウナッテ。マッタクダ、わしをこんな精神状態にした張本者がまさかわしの生き甲斐にしてくれようトハナ。ソシテ神様は最後の三の日という素晴らしい物を与えてクレタ。たった三の日だけガン菜を蘇らせた……そして三の日を使い果たすと彼女は想念の海に旅立つように静かな眠りにツイタサ!」
 --成程、其れから話は再開するのですね。
「アア、其れからわしは時間旅行機の開発をサイカイ。オヨソ二の月も掛からない内に完成サセタ。ソシテ--」

 ICイマジナリーセンチュリー二百六十一年三月百三日午後十時四十四分五十一秒。

 場所は不明。
 齢三十八にして十の月と八日目に成るガン流豆はアントルー・ワームドと出会った時代に転移。
(コンドハ……ドコダ? マエイタ時代は恐らく、南野ヒツ市と出会った時間軸だと俺はオモウ。トスルト俺は……って此処は前にサチカに紹介された立ち入りも畏れ多い地ではナイカ!)
 ガン流豆は其処で此処が六虎府工業都市中央地区の何処かに存在する森林生い茂るあの地だと気付いた。ならば此処に二十の年以上前に住処として使っていた痕跡が残っている筈。無ければ既に当代の天同家の仙者が通っている可能性も浮かぶ。そう思い、ガン流豆は者眼を気にしつつも時間旅行機がないか確認する。
 其れから日替わりの時間帯に其の痕跡と思われる場所に辿り着く。だが、喜びも準備する余裕もなく……三位一体型は背後よりガン流豆を締め付けるのだった!
(ナ、ナンデ此奴が……まさかサチカは死んでしまったというノカ!
 ウグ……首筋に噛んで、ど、毒が、毒が俺を、オレヲ!)
 ガン流豆の意識が遠退く時、再び彼を時間旅行の海へと投げ込んでゆく--そう、シーン・マウンテインと再会する為の旅行へと!

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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