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一兆年の夜 第十七話 猫と鼠(八)

 ニャ朗とチュウ兵衛は周りに注意しながら奥の方へと進んでゆく!
(鯨型に飲み込まれた時もそうだにゃ! 我様は猫族の中で大柄な体型。なにょに
中は成人体型百以上ないと胃や腸も大きさが比例しない!
 一体どうにゃってる!)
 その疑問を持つのはニャ朗だけではなかった!
「ニャ朗さん! 百足人型の大きさはどれくらいでちょうか?」
「ん? そうだにゃ。だいたい成人体型四は超えてるかにゃ?」
「胴体の長さだけでそれくらいしかないのにどうちて?」
「多分これは我様の推測にゃが、銀河連合が大きくなったのではにゃい!
 むしろ我様達が小さくなったと考えるべきかにゃ?」
「僕達が小さく! 信じがたいでちゅ。でも経験者であるニャ朗さんが言うとむしろ
説得力が増す気がしまちゅ!」
「嬉しくない経験にゃが……ってうわ!」
 二名は第五部分の口内で舌にすくい上げられた--あちこちをぶつけたが幸い
にして歯の部分は免れた!
「いでで! ま、また舌に触れないようにちないと!」
「は、走るにゃチュウ兵衛殿!」
 はい--というかけ声と共にチュウ兵衛は食道へと飛び込んだ!
(思い出さにゃいと! 我様は身体の構造は異なるが、鯨型の中で百足人族らしき
モノを見つけた!
 そう、あれは--)
 ニャ朗はチュウ兵衛の後に続くように食道へと飛び込む--過去の自分に別れを
告げる為に!

 場所は第五部分下気道。
 運に恵まれないのか、二名は呼吸器へと続く道を降りてしまった!
「ゆ、ゆれ、かぜがが!」
「し、かりする、にゃ!
 ってうわあああ!」
 二名は繊毛に捕まる事でかろうじて飛ばされずに済んだ!
(!
 ココに記憶があるにゃ! もしかしたらこの先に何かがあるかにょ!)
 風が止むとすかさずニャ朗は気管の奥へと降りてゆく!
「え! どうしてそこに?
 ま、待って下ちゃい!」
 ニャ朗の行動の可解のなさに戸惑いながらも十兵衛は奥へと進んでゆく!

 場所は第五部分右肺。
「こ、これは!」
「な、何なんでちゅか! 銀河連合はどこまで穢れ多き存在なのでちゅか!」
 二名が見たモノ--それは空気穴の部分に無数の銀河連合がそれぞれの穴に
いる銀河連合と交尾をしては互いの食い合い、交尾をしては互いに混じり合い、
交尾をしては互いに等分されるという、いとも容易く行われる言葉にならない生殖
行為だった!
(そこで我様は十以上あにゅ人型が互いに乱れ交尾したかと思うと口と尻が
くっつき合って別の生命体に変化したかと思うと更に今度は別の人型の口が先ほど
交尾した人型の尻とくっつき合って……という一連の生殖行為の繰り返しで現在の
百足人型が誕生したにゃ! うう--)
 ニャ朗だけでなく、チュウ兵衛もあまりの耐え難い光景に内容物を吐いた!
「き、気持ちよくないでチュ! い、急いで出まちょう!」
「アア、もうこんにゃ光景は三度目なんて御免だにゃ!」
 二名は外へと吐き出される空気に吹き飛ばされるように右肺から脱出--勢いを
利用して今度は気管からも脱出した!

 場所は第十三部分大腸。もうすぐ直腸へと辿り着く頃。
 二名の疲労は限界に達していた--どれくらい経ったのかは定かではない。
 ニャ朗は鯨型から脱出するまでの話を終えたばかりだ。もう話す事はなくなって
いた!
「も、もう限界でちゅ。一体どれだけの肛門を出れば外へ出られるのでちゅか?」
「わからにゃい。我様ももう考える気力が浮かばにゃい」
 それでも歩を止めない--出口があると信じて!
「この肛門を出れば--」
 そう思った瞬間--突然辺り全体が激しく揺れた!
「な、なん、なあああ、な!」
「ど、どうにゃる、る、うわああ!」
 二名は激しい揺れに身動き一つとれずに第五部分の口内で受けた事を再び
味わう!
「いだ! デチュウ! はうわ! うご! ヒイイ!」
(周りに裂け目が! ま、まさか外で何かがあったにゃ!
 何か……ってウワあああ!)
 二名の視界は裂け目から出た光で溢れてゆく!
 まるで希望の光が二名を祝福するかのように……

 午前五時四十五分一秒。
 場所は廃タレス山成人体型五十付近展望。
 朝日が二名を照らす--内一名は眼をゆっくりと開けた。
(誰だにゃ?)
 人族の青年である事はわかるが、それがどんな者なのかは定かではない。
「僕は往かねばならない。それが僕の宿命。
 僕の名前は……いずれ銀河連合……を倒す者。
 彼等の命を死なせる行為を僕の世代で終わらせないと!」
(誰? あれ? いにゃい)
 それは夢幻のような出来事であった……

 それから十四の分くらい後。
 二名はいままでの消耗が本当でないように元気よく立ち上がった!
「僕達は生きてるんだね! こんなに嬉しい事はないでチュ!」
 チュウ兵衛は何度も飛び跳ねながら喜びを身体に示した!
(生きてる! そうだ!
 我様は過去の我様に別れを告げにゅ事が出来たんにゃ!
 都合が良いとかと誰かが言うだにょう!
 当たり前だにゃ! 都合が良くて何が良くないにゃ!
 我様はペルニュアの誓いを守ったにゃ! それで良いじゃにゃいか!)
 それが自分勝手でも--ニャ朗は思わず口に出した!
 それほどまでに生き残る事の出来た自分を嬉しく思う!
「と、ところでニャ朗さんはこれからどこへ放浪しまちゅの?」
 チュウ兵衛の問いにニャ朗はいつも通り顔髭を長く伸ばしたまま笑顔で答えた!
「これから鬼ヶ島へ向かうにゃ!」
「鬼ヶ島! そこは鬼族しか入れない地じゃないでちゅか!」
「観光しに行くだけにゃ! 我様が永住する場所は三名を死なせた時点でもう
にゃい。そう思ってたがにゃ」
「ど、どうゆう意味でちゅか?」
 ニャ朗は十兵衛の顔を大きく開けた両眼でじっくり見ながらこう言う!
「放浪できにゅこの星こそが我様の永住の地だにゃ!」
 その答えはチュウ兵衛との不動の信頼を与えるに十分だった!
「水の惑星こそニャ朗さんの永住の地。
 ならば僕の永住の地はニャ朗さんと共に放浪する事にあるかも知れまチェん!
 ど、どうか僕をお供にして下ちゃい! お願いしまちゅ!」
 チュウ兵衛のお願いに対してニャ朗がどのような答えを出したのかは遠すぎる
過去は教えてくれない……
 ただ教える事と言えば--
(『……永住の地を守り保つ精神から教わったにゃ』かにゃ?
 ようやくペルニュアが言いたい事がわかった気がすにゅ!
 恐怖も怒りも悲しみもそれを乗り越えにゅ為には何かを守り保つ以外に方法は
にゃいかも知れない!
 伝統という逃れられない命運びがある限る我様はこれからも永住の地を守り
保とう!
 それが我様の迷い道にゃ!)
 迷走の世はこれからも続く……


 ICイマジナリーセンチュリー五十七年八月七日午前六時三十分零秒。

 第十七話 猫と鼠 完

 第十八話 鬼ヶ島を行く に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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