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一兆年の夜 第百十二話 時間旅行 生物学者シーン・マウンテインが見た遺伝学(八)

 午前八時四十分十三秒。
 ガン流豆は其の銀河連合を知っていた。だが、シーンは其れについては知らない。絵の資料でも見た事のない種類。水の惑星の一般生命には見られない姿。
 確かに蟻型と人型、そしてある種類を組み合わせた指揮官型、獅子型を基本にして所謂百獣全ての種類を併せ持った百獣型、何でも組み合わせた付け焼刃気味な混合型、土地に根差した銀河連合の前線基地に等しい拠点型、大樹其の物だが植物本来のしぶとさまで合わさって根本から倒さないと大地を穢してゆく大樹型、通常の生命では捉えるのも難しい奇襲戦に優れた真正細菌型、水や氷、火等に成れる恐るべき環境同化型、銀河連合の戦法を活かした参謀型、治す事を生業とした医者型、細菌型に近いが異なるとしたら相手の肉体を乗っ取る或は形状変化をする液状型……とどれも銀河連合の特性を十全に活かした種類の数々。
 だが、シーンが見えるのは其の何処にも載っていない銀河連合。其の名も三位一体型--獅子型を基本にして尻尾は蛇型を、手足及び胴体は山羊型という組み合わなさそうな姿をした全く新しい銀河連合!
「アレハ……俺には全然、ウウウウ、ぜ、ゼンゼンンンン!」
 ガン流豆さん……如何したのですかアアス--十度以上も銀河連合との戦闘経験があるガン流豆が三位一体型を見て怯える……指揮官型であろうともこんな状態に陥った事が無いというのに!
 だが、会話は其処で止めるしかない。三位一体型が突如として尻尾による攻撃を繰り出す。其れはまるで独立したかのようにシーンに襲い掛かる。彼は長い年月を掛けて走り込みを続けていたが為に悠然と回避。そして、怯えるガン流豆の代わりに間合いに入って近接戦を仕掛けようとした時--シーンは三位一体型が後にそう呼ばれる所以を思い知らされる!
 そう、僅か一瞬。超近距離から頸動脈を千切ろうと神突きに入った時--腹部に蘇我鋭棒のような何かが貫くような衝撃が襲い掛かり、四本足がだらしなく崩れた!
(ガッフゥ……何なんだよオオス、此の衝撃はアアス。あいつの蛇型みたいな尻尾による攻撃ではなイイス。かといって両前足は俺の両前足で上手く抑えたアアス。首だってあれだけ接近すると軟体体質でない限りは……はアアス!)
 崩れた時にシーンは腹部から血を流しているのを地面に擦れる事で気付く。そして唯一上手く動く首で三位一体型の腹部を覗く事で初めて其れを目の当たりにした--隠し足で然も獅子型の前足のような物で強烈な一撃を与えたのだと気付いた!
(こオオス、此れは予想外だアアス。指揮官型には複数の隠し腕を持つとされるが故に最強の銀河連合の名を欲しい侭にしたと伝わるウウス。しかしイイス、三位一体型はまるで百獣型の肉弾戦を想定した身体構造迄備わっている気がするウウス。確かに……此れなら怯えてもおかしくないイイス!
 最早アアス、此れ迄なのかアアス?)
 狭い場所での戦闘で恐るべき強さを発揮する虎族。其の遺伝子を受け継ぐシーンは本意ではない戦いに於いても通常の銀河連合及び少し強いだけの銀河連合に勝てないという事は有り得ない。だが、走り込みに依って余分な脂肪を燃焼して端正な肉体を持つシーンが今……死を覚悟する--戦士としてではなく、一般生命として初めて恐怖の先にある死を!
 だが、シーン・マウンテイン--此処で死ぬような生命ならば後日談は語られない!
「シーンが四本足と大きく吐血して迄……俺は如何してイタンダアア!」ガン流豆はシーンの危機を目の当たりにして翼を広げて三位一体型に特攻を仕掛ける。「オマエは死なせん……死んでしまったサチカの為ニモオオオ!」
 だが、三位一体型は遠距離を蛇型の尻尾で補う……呆気なく捕まったガン流豆。
「やアアス、やめるんだあアアス!」
 ウググ……毒が、毒ガア--年齢と雁族の身体能力、そして蛇型に備えられた毒入りの鋭歯で首筋に噛み付かれて最早太間ガン流豆の時間旅行も此のような結末を迎える事に成ろうとは!
 誰もがそう思っていた。何れ元の時代に戻る筈であるガン流豆自身もそう思っていた。幾ら矛と盾があろうとも自発的対称性の破れが示すように理論を寝かせれば時間旅行が可能であるようにガン流豆が生きていたという後の事実も寝かせればガン流豆が死んだ事実も起こり得る。
 シーンは必死でガン流豆を助けようと体を動かそうとする。だが、四本足及び尻尾は微動だにしない。首だけ動いても三位一体型に届かない。ガン流豆の場合は毒が回った上に身体能力の上で振り解く事は絶対に有り得ない。最早此れ迄……誰もがそう思った!
 だが、突如として不可思議な事が起こった!
『--其れはガン流豆さん自身の肉体が摺り抜けるという現象。あの現象は如何して
起こり得るのかを俺や彼はわからない。世界観補正なのか。いや、其れよりももっと
不可思議な事と言えばそう--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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