一兆年の夜 第百十二話 時間旅行 生物学者シーン・マウンテインが見た遺伝学(四)

 午後零時十九分五十三秒。
 場所は変化川南側入口。
 穢れ払い走りでは常に此処から通るように係員に勧められる。理由は他の入口だと木々に阻まれるか或は氾濫した際に強烈な川の水の直撃を受ける角度にある。だからこそ今日でもシーンを始めとした走り込み愛好者達の遺伝子に其れは刻み込まれる。時代を経ようとも此処から変化川に入るのが通例と成る。
 そんな川にて全長成人体型二にも成る鰐型が二名に向かって渡ってゆく!
(幾ら俺が虎族とて陸の上でも脅威の鰐型を相手に出来るのかアアス!)
 シーンは川を泳いで戦うという選択肢は初めから捨てるとしても陸の上でも自らの利は少ない事を直感する。鰐の特性を一目で理解する頭脳と局地戦に長けた虎族の遺伝子がそう彼に伝える為。其処でシーンは次のようにガン流豆に助言を求める。
「如何すれば良イイス、ガン流豆さんンンス!」
「イッタン、最寄りで最も大きな木の上にノボロウカ!」
 アアス、わかったアアス--ガン流豆に従い、シーンは滑らかな動きで最寄りでは高さ成人体型三とコンマ二にも成る木に登った!
 だが、木に登る事で鰐型への対策には成らない。何故なら鰐型は事実上、高さ成人体型六迄なら普通に越えて行く程の登りの名者。故に鰐型は陸に上がるとシーンが登る木に爪を立てながら静かに焦らずに登り始めた。此れはガン流豆の痛恨為る判断の誤りなのか?
「イマダ、シーン!」
 登ったなアアス、生物学者が物理が出来ないと思うなアアス--突然、鰐型の頭上に向けて右前足の爪を立てて落下するシーン!
 其の判断は正しく、登り始めた鰐型は上手く口を開けられない。其のまま、全体重を乗せた右前足の一撃を受けて上顎を大きく開けた状態で頭を地面に激突する。仮に開けられたとしても虎族の爪は鰐型の内臓を深く抉る程鋭い。鰐型を倒すには至らないにしても僅か三の秒は意識を失う。其の間に追撃する余地があり、喉元に何度も爪を立てて抉り出す事で頸動脈を千切り、引っ繰り返る前に決着を付けた!
(紙一重……俺に戦いは性に合わなイイス。如何して争う必要があるんだアアス。戦いにのみ貢献するのではなくウウス、科学のオオス、生命史の発展に一般生命は貢献するべきなのにイイス!)
「チマミレの銀河連合を見て悲しい事を考えているのがワカル」
「いやアアス、見透かさないでくれよオオス。俺はこうゆう事したくて走り込みを楽しむ訳じゃなイイス。遺伝子がそうさせるから走り込みをしているのも少し異なるぞオオス。俺はやりたいからずっと続ける……血で染まりたいから走っているのではないのにイイス」
 オレモダ……時間旅行したくて時間を旅行したノニ--痛烈に理解出来て顔を背けるガン流豆だった。
『--銀河連合を始めて倒したのは孤児院に居た時だ。其の時の気分は嬉しい物では
ない。其処で俺は気付いた。俺には戦士は向かない、と。
 当時の俺は齢十一。何もわかっていない子供の時に銀河連合を倒す感触を覚えた。
しかし、俺は其処で戦士に成る事を捨てた。何故なら理由は銀河連合に共感してしまうと
いう物。確かに銀河連合は倒さないと多くの一般生命の命は救えない。此れは確実な真理
として存在する。だからこそ戦いを認めないなんて選択肢を俺はしない。けれども俺は
戦士として命を消してゆく職業は似合わない。倒したあいつらだって人生がある。仮に
一つの集合体という真実が正しくても此れからの人生があるかも知れない。そう考えて
しまうと戦士として続けられる筈がない。訳がない。
 そして、今回の件だ。二度目でもやはり此の感触は好きに成れない。いや、好きに
成ってはいけない。そして此の如何しようもない共感力が俺を戦士に成るという心を
遠ざける。生き残る為に仕方なくやっても、だ。やはり俺には生物学者として戦士達が
見てる片隅で生物の歴史についての研究に没頭するする方が性に合う。肉体労働者
だの頭脳労働者だのそうゆう事ではない。俺には俺の戦いが性に合うと主張している
だけだ。
 其れからあの出来事から五の月より後だったな。ガン流豆さんが丁度誕生日が
迫った頃だったな。彼は一の週に一回は自らの生年月日を確認する癖がある。閏日は
今の年なのか如何かという細かい所迄な。そうゆう点では俺達生物学者と同じだ。異なる
としたらやはり元の時代が恋しい所なのか?
 そう--』

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR