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一兆年の夜 第百十二話 時間旅行 生物学者シーン・マウンテインが見た遺伝学(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百六十四年三月百十日午前八時四十三分三十一秒。

 場所は真古天神武六虎府経済都市第五東北地区新犬猿道。
 其処は嘗ての真古式神武で毎年行われた穢れ払い走りの舞台。今でも走り込みが趣味の生命は此処で毎朝健康の為に汗をかく。
(毎の日イイス、毎の日……同じ事を繰り返す俺達は果たして正常な生命なのだろうかアアス? ひょっとすると麻痺しているのではないかアアス?
 といかんなアアス。僕とした事がまだまだ走る事に心無くを貫けなくてエエス)
 齢二十三にして八の月にして八日目に成る六虎虎族の青年は何かを思い悩む。其処には彼の専門分野に関係する事柄が含まれる。陸の一般生命の中では獅子族よりやや太ましいが象族に力及ばずな虎族であるにも拘らず、である。そんな彼は弓八ゆみは坂を越えようとしていた。其の時、彼の物語が始まるある出来事に遭遇--光だ……光が虎族の青年の目に飛び込む!
(何と眩しいのだアアス。只でさエエス、視力が良くないって言うのに……こんなに眩しい光を瞼に叩き込まれたらアアス。うわああアアス、俺は今度こそ光なしの人生を送り続ける事にイイス!)
 尚、彼の視力は若い内から細かい物を調べ過ぎた反動。真下に向けて細かい物を確認する作業は想像以上に眼圧を高め、やがては視力の低下に繋がった。専門分野の特性上は避けて通る事の出来ない定めである。
 では話を戻して虎族の青年が遭遇した其の光……収まり終えると見えるは齢三十二にして二の月と九日目に成るサッカス雁族の中年が見えるではないか!
(収まった……って何だ此れはアアス!
 彼は……いやアアス、右翼は元々ないのかアアス? 何れにしてもオオス、走り込みは止めだアアス。彼の安否を確認するのが先だアアス!)
 青年は日課である走り込みを突然止めて雁族の中年の様子を確認する。心臓の音を確認すると安心。其れから中年が右眼を開いて自分を眺め始めると口を開いた。
「コ、此処はドコダ?」
「目覚めたのかアアス。良かったアアス、無事でエエス」
「ナマエは太間ガン流豆……サッカス雁族のオスダ」
「太間ガン流豆……まあ良イイス」青年は聞き覚えがありながらも其れを後にして自己紹介を始める。「俺は六虎虎族のシーン・マウンテインだアアス」
「コ、此の時代はドレクライダ?」
「いやアアス、俺に聞かれてもはっきりとはわからない事だらけだアアス」
「ソウカ、スマナイナ」
 良いって良いってエエス--青年シーンは者当たりの良い青年の模様。
 シーンは謎の雁族の中年ガン流豆を第四東北地区にある研究所迄運ぶ。其処からガン流豆の身元について尋ね始める。何処から来て如何して光の中から出て来たのかを。するとガン流豆の口から次々と信じられない事を知る。其れを知ったシーンの脳内では次のように考察される。
(やはりそうだったアアス。太間ガン流豆とは本来は此の時代に存在しない生命イイス。然も解く可からずな急激な老化を迎えて時期と食い違うように寿命を迎えてしまった謎の物理学者として今でも語り継がれるウウス。俺は彼についての著作を読んで謎の老化の原因を遺伝学的な観点からも考察したさ……だがアアス、実際の彼と出会うと其の遺伝子学的観点も今一つ自信を持てない気がして来そうだなアアス。
 本当に彼の著作通りに時間旅行が為されている気がするウウス。此の生物学者を名乗る若造の主義主張が今一つ自信が持てなく成りそうだアアス!)
 此の話の主人公であるシーン・マウンテインは後に偉大な発見をして名を広める。だが、ガン流豆との物語は其れよりも五の年よりも前の出来事である。当時は生涯掛けても名を遺す事のない部品だと思っていたシーンはガン流豆との出会いで何を得るのか?

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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