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一兆年の夜 第十七話 猫と鼠(六)

「チュウ兵衛殿、大丈夫かにゃ!」
 ニャ朗はチュウ兵衛の肩を前右足で軽く三回叩く。するとチュウ兵衛の両眼は
開き始めた。
「ん、あ、え、と?」
 チュウ兵衛は目の前にいるニャ朗には気付くかどうゆう状況下は頭の整理がつか
ない。
「我様だよ! 大山ニャ朗と申すにゃ!」
「わ、わかってまちゅよ。えっと?
 今の状況が……」
 チュウ兵衛は勢いよく立ち上がると両手を大きく広げて深呼吸をした。ようやく
今の状況を理解した!
「死んだのでちゅね。銀河連合の雀なのか虎なのかよくわからない方は」
「ああ! これで我様は初めて誰かを守る事が出来たにゃ!
 ありがとうチュウ兵衛殿!」
 激痛で動かす事もままならないニャ朗は精一杯頭を下げた!
「そ、そんなに感謝しなくても! そ、それに僕のお陰で銀河連合が倒ちぇたわけ
では--」
「イダダ。わかってるよ! だからこそ、イダダ! こうして体を動かしたじゃない
かにゃ!」
 ニャ朗はあまりの激痛により、うつ伏せに倒れこんだ。
「む、無理なさらないで下ちゃい! 僕よりもニャ朗さんのほうが痛みは大きいの
でちゅから!」
「イダダ。と、ところでなぜ銀河連合は我様を狙った?
 チュウ兵衛殿と二つだけの場面でもあれはチュウ兵衛殿よりも我様のほうに
向かっていったかにゃどうしてにゃ?」
 その疑問はニャ朗だけが感じるモノではない--チュウ兵衛もまた同様である。
「銀河連合が猫族の方が美味ちいとか、猫族の方が狙いやすいという理由とは
思えまちぇん! 銀河連合は生きるために食べるのではなく、無意味に食べること
がしょっちゅうって噂は聞きまちゅ!
 ニャ朗さんは何か心当たりありまちゅか?」
 その質問にニャ朗は答えられない。
「無いにゃ! そもそもどうして我様が銀河連合に個別の意味で命を狙われにゅ?
 た、確かに放浪者ににゃったのは過去から逃げるためだけどにゃ!」
 その言葉に感ずいたチュウ兵衛は--
「放浪者になりまちた理由?
 そ、それよりもここでニャ朗さんの二十七発目のつまらない話を聞きたいでちゅ!」
 ニャ朗はいきなり話を変えて来るチュウ兵衛にどのような反応をすればいいのか
わからくなる。
(何故ここでつまらにゃい話を? そ、そもそも話はたくさんあるけど今はそれどころ
じゃないにゃ!)
「べ、別に無理して思い出さなくてもいいでちゅ! 何か思い出したくないことでも
いいからそれを楽しいお話にしてくだちゃい! お、お願いしまちゅ!」
(思い出したくにゃい事?
 そ、そうか! チュウ兵衛殿は銀河連合が我様を狙う理由は我様にとって辛い
過去があると考えるにゃ!
 ま、まあどこまで脚で色付けできにゅかわからにゃいけど、やってみにゅか!)
 ニャ朗は痛みがだいぶ緩和されたのか、ゆっくりと立ち上がった。
「いいだにゃ! これから二十七発目のつまらない話をしようじゃないかにゃ!
 ただし、我様は語り部であにゅキュプロ栗鼠族のリザヴェルタ・メデリエーコフの
ように色付けは十分じゃない事を注意してもらうにゃ!」
「よ、よろちくお願いしまちゅ!」
 ニャ朗は両眼に力を入れて静かに話し始めた!

 午後零時一分二秒。
 ニャ朗はチュウ兵衛に二十の年より前、四名があらゆる理由を抱えて
ラエルティオ町のあった地へと向かい、小舟で近くの砂浜に乗り上げた後、二の時
をかけてようやく辿り着いた所まで話した!
「ね、念願のラエルティオに辿り着きまちたね!」
「少年甲ら四名が見たラエルティオは噂通り水没してしまってるにゃ!
 当然にゃ! 何せ当時の年よりも十六も前にゃ。完全に湖と化してるにゃ!」
「そ、それでそこに辿り着いた少年甲、乙、丙と少女丁は何をしたのでちゅか!」
 ニャ朗は数の秒ほど溜める。そしてようやく口を出した!
「辿り着いて間もなく、指導者的存在であにゅ丙は……骨となった!
「はい?」
「三名はきゅ、いや丙の死を受け止める事が叶わにゃい!
 ちょうど十兵衛殿の頭が働かにゃいのと同じように。と言うよりもそもそもどうして
辿り着いて直ぐ食われたにょか! 三名はわからにゃいのだ!」
 ニャ朗の顔はみるみる歪んでゆく--これ以上話せば話すほど自らの絶たれた
望みに支配される様相に耐えられないかのように!
「それから三名はすぐさまその場から離れようとしたにゃ! 銀河連合が直ぐ近く
までいにゅと感じて!
 だが恐怖心が身体の自由を縛り付けてゆく--頭で動けと送っても心の臟がそれ
を受け入れにゃいように!
 それならばと少年乙は口で叫んでても自らの身体を動かそうとしたにゃ! 普段
は我が儘な乙もここぞとばかりに頼もしくなったにゃ! それは功を奏して三名は
動けるまでに回復した!」
「い、急いで逃げないといけないでちゅね!」
「そうにゃ。その前に少年甲と少女丁は少年乙に礼を申し上げにょうとしたが……。
 遅すぎたにゃ! 目の前にいるにょは乙ではなく銀河連合の蜘蛛? いや蟻型
なにょか?」
「はっきりわからないでちゅの?」
「と、とにかくさっき我様達が戦った銀河連合の雀と虎の混血種とはまた別の種類
であにゅ事は確かにゃ! あ、あれは乙を食べていたにゃ! 骨ごと見るに堪え
ないくらいにぃ!
 さすがに我、いや二名は折角恐怖心を緩和してまで動けた身体をまた恐怖心で
縛り付けてしまったにゃ! 更には背後に鶏か熊かわからにゃい種類の銀河連合
がどれを食らおうか指を咥えてたにゃ!」
「あわわ! ど、どうやって逃げ切ったのでちゅか! こ、こんな状況じゃ逃げ切れ
ないでちゅよ!」
「それかにゃ! それは少女丁が最後の力を振り絞ったかわからにゃいけど、
わ……いや少年甲にこんな言葉を遺したにゃ!
『恐怖も怒りも私にぃは無理。でもあなたにゃらその先にあにゅ本能に辿り着ける
はずにゃ! それは悲しみといにゅ耐え難いモノと向き合う事にょ!
 私は、私は父からその方法を--』と続く言葉が何にゃのかはっきりせずにペ、
少女丁は鶏熊型に食べられたにゃ! それが二十七発目のつまらない話にゃ!」
 チュウ兵衛は納得いかない様子だった--上前歯を揺らすように!
「納得いかにゃくて当然にゃ! この話の落ちは未だに決めてにゃい!
 何しろ死んだペルニュアが何を言いたかったにょかが、わからないと落ちを付ける
余裕がにゃい!」
「だからって落ちを付けないと良くないでちゅ! お話は楽しむためにあるので
ちゅ! なの--」
 森中に轟音が響き渡る--巨大な何かが地中深くを潜り進む!
「あ、あちこちの木と、た、竹ががが!
 ど、どうなってるにゃ?」
「ま、まさか!
 こ、今度は僕ごとニャ朗さんの口を閉じようとチャせてるの!」
「く、来にゅ!」
 痛みがほとんど消えたニャ朗とさっきまで気絶していたのが本当じゃないような
チュウ兵衛は飛び跳ねながらもそのまま大地に立った!
 そして何かが二名の眼前より成人体型約十離れた地面を突き出すように
現われた!
「あ、あ、あれは何なのでちゅ…・・・ってニャ朗さん?」
 ニャ朗の顔面は水色に染まっていた!
(あ、あ、あれは二十の年より前に見たにゃ! た、正しくは我様が狙われる理由!
 蜘蛛蟻型や鶏熊型ではない何か! そ、そうにゃ!
 あれは百足人型! それも何重もの人型が連なった銀河連合にょ中では最も
おぞましい姿! むしろあれがいにゅ事自体が耐え難い!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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