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一兆年の夜 第百十一話 時間旅行 証明者アントルー・ワームドの証明(四)

 三月六十六日午後十時二分四十一秒。
 場所は一階居間室外庭。
 其処には新たな時間旅行機が開発されようとしていた。其処へ一名の蟻が百枚近くの紙を荷車に積めて運んで来た。
「ソコマデやるか……わざわざ階段下に用意して迄御苦労なアリダ」
「ンァ自然数の最終定理を証明出来そうなんだ……後は貴方に精査して貰いたい!」
「マダこっちは完成途中なのに……エエイ!」
 ガン流豆は諦めたかのように全ての工具と薬品を工具箱に仕舞い、居間室迄戻ってゆく。其れから僅か一の時と三の分掛けて全ての論文を読み終えた。感想は次の通り。
「コレハ……前読んだ奴よりも何処にも付け入る隙が全くナイ!」
「フゥ貴方が来てくれたお陰で僕はやっと完成しそうなんだ!」
 カンセイシソウ……此れはまだに爪が足りないというノカ--ガン流豆には何処が十分じゃないのかを理解出来ない様子。
「ァア当たり前じゃないか、ホゥ審査委員の眼は途轍もなく細かくて何とも好きに成れないからね。ダァだから僕が組み合わせた二つの数法でも時には少し崩しても大丈夫なのかってのが気に成るんだ!」
「スコシ……つまり此れと其れ、後は此奴が引っ掛かるワケカ!」
 其処からは数学を齧る者にしか理解が難しい話が展開される。主にわかりやすく表現するならガン流豆が指摘したのはギルンヴァ・シップ範の数法とゾウ吉理論、そしてアントルー独自の数法の事を指す。ガン流豆曰く自然数の最終定理の最初期は亡きフェルミナが考案した無限降下法を始めとした方法で背理法及び数学的帰納法を用いて無限に証明が続くという作業を一括する方法での足掛かりが試されて来た。やがては一歩又一歩と果てしない道程の中で数多の名の通った数学者達に依って自然数種の中にある数々が証明された。だが、其れでも作業的で途方にもくれる長い時間を要した。
 其れから中期、ソフェラ・レオルマンよりも後に成る時代の数学者。キュプロ猪族のガッブル・ボロメンは独自の解法を試み、そして彼の弟子である仁徳熊猫族の久留間パルン栖が百以下を全て証明出来る事を立証するが百以降の事については思った程の証明も出来なかった。だが、バルン栖が活躍した時代から自然数の最終定理はクレイトス蝙蝠族で今は亡きコウモ・リックマンの願望通りに証明出来る可能性が見えて来たとガン流豆は語る。
 後期から現在に掛けてはアントルーの語る通り、ゴーロル・シムーにトーヨル・ターニヤが道を開いた。彼等のターニヤ・シーム予想が正しいなら自然数の最終定理は正しいという全く新しい足掛かりで光明が差すように。其処からアントルーは誰にも知られずに悟られないように証明を開始した。アントルーだけが此の難題に挑戦している訳ではない。だが、アントルーは齢五の頃から自然数の最終定理を友者の様に親友の様に時には厄介な劣友のように付き合い続けた。
 孤独に籠ってから五の年より後……遂に証明を果たした。アントルーは仮証明を果たしたのである。其れから現在に至る。
「--ユゥ故にまだ僕は此奴の完全証明の為にも肉付けしないといけない!」
「ナルホドナ。ソウユウ……待てよ、其れダッタラ!」庭に続く窓を開けてガン流豆は工具箱を持って時間旅行機の近くまで飛んでゆく。「アントルーが用いた方法を使えば……時間旅行はより正確性をモタラスゾ!」
「ンァ待て、グゥガン流豆さん!」釣られるようにアントルーはガン流豆さんを中に入れようと走る。「ンァ明くる日でも良いから今の日は--」
 ガン流豆が時間旅行機に触れようとした刹那--時間旅行機は爆発し、ガン流豆だけじゃなく、遠くに居るアントルー迄吹っ飛ばした!
(ウゥグウウウ……な、ヌゥ何が起こったのだ!)
 イデデ……あ、なんかよく見えんナア--左眼の死んだ角度故に右眼でははっきりと捉え切れないガン流豆。
 右眼の視界に其れを入れた時……ガン流豆の顔の皺は様子を確認する量から驚きと焦りを見せる量まで増加と一本当たりの長さを伸ばしてゆく。勿論、ガン流豆のみならずアントルーの顔の皺も驚きと焦りの量と長さ迄増やすのだった!
(オォ此れは……コウモ・リックマンがかつて望み絶える事と成ったあの百獣型!
 クァ此れで最強の百獣型だったら、アァ僕達は肉弾戦どころか物を持ったとしても太刀打ちが難しい話だ!)
 アントルーはそう分析する。漸く、数学者達を苦しめて来た難題を打ち破ったというのに寿命の上では物理的に終わりを迎えようとしていた--銀河連合の出現に依って!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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