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一兆年の夜 第百十一話 時間旅行 証明者アントルー・ワームドの証明(三)

 三月六十四日午後零時十八分三十二秒。
 場所は一階食堂。
 主に居間室は休憩室代わり等で使われる。其の為、食事には向かない。長方形にして縦成人体型二、横成人体型一に満たない机があろうとも食事を摂る為の部屋として使用するのをアントルーも妻のアントナも好まない。故に厨房と一体化する食堂にて食事は行われる。
(ンゥ考えても埒が明かない場合は食べて忘れた方が良い。ムゥ考え事で詰まったら適当に寝る事と食べる事は常に一体化する。マァ若しくは別の事で仕事を進めないという足もやはり気分を上向きにする立派な方法だ。
 ンァ其れでも作業を進めたい諸兄にはやはり空気が正常な場所で脳を活性化させ、ンォ加えて安らぎある音楽を鼓膜に叩き込みながらやれば自然と作業の円滑化が図れる。マゥ其れでもやる気が出ないのならやる気を出す迄作業を続けるのも良い。ムィ眠そうな時でも大体限界近い状態に精神が絶え間なく刺激し続けられると一瞬だけ軽やかな気分に成れる。クゥ此れは肉体労働同様に頭脳労働も又、カゥ沸騰した湯の如しという……但しだ。クィ気を付けておきたいのは鍋に入った水が少な過ぎると全て沸騰して逆に鍋を傷める……同様に生命だって過剰な重荷は却って健康に宜しくない。
 ムゥまあ何事もやり過ぎるなという事を僕は考える)
 其のように考えつつもアントルーは三十の分掛けて食事を終えると居間室に向かおうとした。其処で一緒に食事を摂っていたガン流豆も終えて、いきなり話し掛ける。
「ナァ何だ?」
「ヤッパリ何度読んでもあれの何処に矛と盾が発生するのかを俺はワカラナイ!」
「ソォそうか。ムゥならば先に二階の書斎に入って待ってくれ!」
 ソウシテオクサ--ガン流豆は焦らずに床に足を付けて二階書斎迄進める。
「ゥア貴方……あの方は何時まで此処に留まらせるの?」
「ンゥむう、ヌァ何か見たのか?」
 ンィええ、クゥ早朝に何か組み立てているのを見たの--アントナはそう告げる。
「ムァ元々此の時代の生命ではない。ウゥ僕も彼と同じなら一刻も早く時間旅行を可能とする何かを完成させて飛び立つのを選ぶさ!」
「ヅォでも其のせいで私達の今後を脅かす事に成るかも知れないのよ」
「アァ相変わらず君は数学を恐れるのだね」
 ァエええ、ァア貴方を一度はどん底に叩き落とした学問よ……如何して好きに成れますか--アントナはそう断言する。
「ダァどん底に……確かにアントナからすればそう見えるだろう。ヅゥだが、グァ僕にとっては数学とは如何しようもない劣友なのだ……どれだけ碌でなしでも友を如何して捨てる事が出来るか!」
「アァ貴方ならそう言ってしまうわね」
 二名は用事を忘れる程に一の時と二十七の分もの間、他愛もない会話をする。既に死んでしまった子供達の話、既に出て行った子供達の話、既に結婚して更には新婚旅行を終えて自宅に帰る途上の子供達の話等々……数学の話から既に身内の会話へと切り替わっていた。其処には数学仲間の話も数学の公園の話も一切交わされない。断ち切られた空間を二名は求めていたのかも知れない。如何しようもない友達と付き合うよりも此のような同じ生産的ではないのに安らぎが齎される会話の方が何よりも意味があったのかも知れない。
「--スィそうそう、サゥプトレ栗鼠族の林鞭リッ研さんの奥様もずっとリッ研さんの自慢話に怒っていましたわね」
「ムァ全く何処の奥様方も選んだ夫の事を……ンン?」
「ヅァ如何しました?」
「ァサいかんいかん……ガン流豆さんを待たしてしまった!」
 ァア、ツォちょっと……片付けてから行きなさいよねえ--アントナの痛烈な言葉は届かず、アントルーは食べた後の食器を彼女に片付けさせて自室に向かったのだった!
(ラァ如何してあれで思い出したのかって……リッ研は自然数の最終定理を解く為の重要な道筋の一つであるターニヤ・シムー予想との関連性を明確に導いた数学者の一名だったからな!
 スォ其処で僕は思い出したのだ……用事を。ァア何て事だ……待たしてしまうなんてなあ!)
 だが、アントルーは自室に戻った際に日記の事まで思い出してしまう。其のせいに更にガン流豆は待たされて、二の時より後に部屋にやって来る迄アントルーは用事に気付かない程--偉大な功績を残す生命が必ずしも出来た生命であるとは限らないというのは此の事だと再度わかる事例だろう!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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