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一兆年の夜 第百十一話 時間旅行 証明者アントルー・ワームドの証明(序)

『--全ては此処から始まる。僕は齢五の頃に自然数の最終定理に出会った。両親も
含めて誰もが其れは証明が出来ない難題だと口々に言った。勿論、とある空想物語でも
例え銀河連合が現れたとしても自然数の最終定理衝き突き出せば瞬く間に死んで
しまう程の難解さを秘める。
 おっと、其の前に自己紹介しよう。僕の名前はアントルー・ワームド。ラテス蟻族で
数学者としては其処迄名の知れた頭脳労働者ではない。兎に角、僕にとって自然数の
最終定理
とは其処まで思い入れのある公式さ。特に人生を懸けて解き明かしたいと思わ
しめる原動力を自然数の最終定理は秘める。
 では自然数の最終定理とは何なのかを説明しよう。武内人族の老婆であるフェルミナが
残した多くの難題の内の一つ。他の難題は既に解かれた後だが、だが、此れだけは未だ
に解かれた事が無い。抑々彼女は問題を出すのは良いけど、意地が宜しくない為に結論
を何時も先延ばしする癖がある。特に厳しいのが自然数の最終定理の後書きに次の
ような事を記した。
「此の問題の最も正しい解答法を私は知っている。でも、余白残ってないから御免為さい
ね」
 だが、肝心の答えが記された紙は一つも残されていない。其のせいで四百の年以上も
掛けて我々数学者を苦しめた難題として立ちはだかる事に成ろうとは。彼女の性格の
螺旋曲がりを誰か矯正していればこんな事態には成らなかったと思うだろう。其れだけに
フェルミナのやった事は許される事ではない。勿論、数学界にとっては誉め言葉に値する
から困るが。
 さて、僕はそんな自然数の最終定理という難題に出会った事で何を思ったのか?
その前に
とは「ある三以上のの自然数種について甲の種乗足す乙の種乗は丙の種乗と
なる零でない自然数の組は存在するのか」という物。結論から言わせると記しておくと
そんな物は一つもないのが正解。其れだと解いたも同然だって? 其れは安直だ。数学者
とは完璧を生業とする。物理学者とは異なる。少しでも穴があれば其の場凌ぎで穴埋め
して良い話ではない。少しでも穴があれば最初から組み直すのが数学者。故に少しでも
あると証明されてしまえば一からやり直すしかない。故に此の難題はずっと解かれずに
聳え立って来た。
 そんな難攻不落さに僕は子供心に憧れた。何時か大きく成ったら絶対に解き明かして
やる、とな。だが、時々解かれたという話を聞かされる度に僕は大きく心が揺れた。名を
広めるだとかそんな物ではない。数学の問題が解いた所で世の中に貢献しないと言われ
続けるように何時しか僕は恋していた、自然数の最終定理に。
 そして僕が齢三十三の時にある男との出会いが其れを完全証明させる道へと追い
込んでゆく。実は僕、既に彼と出会う去る年に自然数の最終定理を解いたのさ。様々な
助け舟を借りて漸くな。
 だが--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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