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一兆年の夜 第百十話 時間旅行 天才南野ヒツ市の閃き(休)

 十二月二十八日午後三時十三分十八秒。
 場所は紺柴ファウ俊研究所一階研究室予定。
 予定と称されるのは場合に依っては改築される可能性があると踏まえて。但し、建築過程で追加発注される事は有っても当初の予定通りに建築されてゆく。何故なら工事の様子を此の部屋から眺めるヒツ市は次のように思考する。
(付け焼刃とは文字通り針で止めたみたいーイな全く意味を『為さない』刃の事。『成さない』ではないー。其れはあらゆる分野で応用が利く大変有難い用法でもあるうー。設計図が当初の予定を外して追加発注するといーイう出来事もあるだろうが、此処で設計図を一からやり直さずに敢行しーイようとすれば歪が訪れる。結果、紆余曲折の末に完成した建物は耐震強度上を踏まえても余りーイにも住み心地の良くない物と化す。そうゆう悲劇は建築業界の中で飛び交うーウ。だが、一からやり直せば出費が嵩むーウ。だが、追加発注を断れば今後の付き合いにも支障をきたしーてしまう。商いの世界でも通用する話だが、そう簡単じゃなイーのだ!)
 ヒツ市がそう考えている中で唯一名は此の部屋を使って僅か一の週も経ずにある物を完成させる……「ヨシ、デキタ!」雁族の訛りを口に出す為にヒツ市は声のする方に体を向ける。
「とうとう、行くーウのか?」
「イヤ、其の前にファウ俊を呼んでクレナイカ?」
 あーア、わかった--そう応じたヒツ市は居間で工事関係者である齢四十七にして十一の月と一日目に成るエウク象族の老年とファウ俊が激しい議論の中へと入ってゆく。
「全く困った生命だぞう!」
「改築話だと言ってるだろうがうん、わしの寿命を縮める気かうん!」
 まあまあ、どっちみち後少しーイしか生きられないんだからお互いに気の高まりを鎮める為に休憩を摂ろうじゃなイーか--と年長者らしい肉の皮を籠めて二名の仲介に入るヒツ市。
「ウググ……全く早く想念の海に旅立つのはわしかも知れんぞう!」
「だったら弔いを山を下りてから首都に赴いて盛大に国葬にしてやるからなうん!」
 互いに褒め倒しをして双方共に離れる。片方は現場の様子を見回る為に、もう片方はヒツ市に呼び出されて研究室予定へと向かう。
 ハゲシイ言い争いだったぞ、お互い此処迄響いたのはツイサッキダ--と言いつつも待つのが短い事を受けて拍子が抜けるガン流豆である。
「全く最近の若い者は--」
 オレハワカクネエ--三十半ばのガン流豆は全力で賛同しない!
 そんな三名が集まるのは唯一つ……さっき完成した時間旅行機が研究所予定にある。ガン流豆は今迄の経験を活かして更に改良に改良を重ねて遂に銀河連合を動力代わりにする必要もない天王子を使用する事に成功。但し、軌道を少しでも読み誤ると其れは大惨事を引き起こす程の威力を齎す。幾ら矛盾山で暮らす生命が四十代を満たない者が一名も居ないという中(ガン流豆は除く)で大事は却って真古天神武に矛盾山が安全じゃないと知らしめ、完全に銀河連合の住処に戻すきっかけを作ってしまう。其れだけは避けたい……が、ガン流豆の考えは其の謀り無きを遂行してでも元の時代に戻る事に執心気味--故に議論に於いてガン流豆の時間旅行機の使用を躊躇う発言は控えるしかない。
 では肝心の議論だが、時間旅行機よりも先に時間旅行の条件に付いて三者三様に意見が分かれた。ガン流豆は時間旅行の条件として銀河連合に依る所が大きいと主張。其の根拠として最初の時間旅行はかつて居た自分の住処で行われた。其処こそが矛盾山の中……矛盾山は銀河連合に依って齎された山である為に時間旅行の条件として十分な役割を果たすとガン流豆は主張。
 一方でファウ俊は中性微子の存在が時間旅行を確実にすると主張。何故なら彼がかつて研究所として使用していた蒼天電光を用いて中性微子を発見。其の中性微子は特殊な条件で宇宙を漂い、蒼天電光に依って観測される迄理論上の粒子でしかなかった。そして其の粒子は時として光の速度を超えるのではないかとも噂される低質量の代物(勿論、後の時代で一時期は光を超える粒子として話題に成ったが)。時間旅行の条件として十分ではないかとファウ俊は主張する。
 そしてヒツ市は次のように主張する。其れは日記にて紹介する。
『--私の主張は即ち、完全なる矛と盾は実の所は机の上に建てた鉛筆の如く倒れる
という物。立っているようで実は寝ている状態を私は自発的対称性の破れと呼んだ。
まあ私が最初の発見者であるかという証明は余りにも驕りが過ぎるので誰かに譲ろうと
したのだがね。ところが、
 時間旅行の話だったね。時間旅行は一見すると実現出来ないように思えて実は理論は
寝かした状態で其れでやっと時間旅行は発動する。決して無い事を証明しようだなんて
銀河連合のような話ではない。スチューブが唱えた矛と盾も寝かした状態であると別の
側面が見えて来る。前に粒子の重さを調べてゆく内に質量が光と同じか或は其れ以下の
大惨事に陥るという事態にあったね。まあ、其の理論を敢えて寝かした状態にしたら
やっと質量を持つ事が判明した。だが、今度は質量を持たせる粒子がある筈だと誰かが
声高に主張し始めた物だね。まあ其処までは追わない。今は時間旅行の話が先だ。
という訳で私は時間旅行を可能にしたのは一見矛と盾で守られていても寝かせば瞬く間
に時間旅行が可能な条件に結び付く。私はそう主張する。
 そして私達三名は互いの主張が正しいか如何かを確認する為にある場所に赴いてゆく。
其の場所とは--』

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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