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一兆年の夜 第十七話 猫と鼠(四)

(イダッ! 体中痛いにゃ! この、アイダ! 勢いを、はぎダア!
 枝と石ころが、グギウ! イダイ!)
 あちこちをぶつけながらニャ朗は転がってゆく! 体格が大きいのが幸いした
のか、辛うじで骨一つ折らずに済む。
 そして--
「あれにぶつかっにゃら意識ガアア!」
 タレス山の真ん中より五番目に大きな木にニャ朗は背中をぶつけた--奇跡的
にも重荷を逃がすようにぶつかった事もあり、その木の右隣に寄り添うように
倒れた!
(痛みが消えにゃい! このままじゃ本当に死ぬかもしれにゃい。
 それもいいかにゃ。このまま銀河連合……いや仲間の死から逃れる為に放浪
すにゅ人生に幕を閉じられるにゃ)
 彼は体中の痛みに苦しみながらも両眼から後悔の涙を流す。
(我様はラエルティオで仲間を見捨てたにゃ! 恐怖心から仲間を!
 あれはもう二十の年より前ににゃる。ちょうど我様が大山チュウ兵衛殿と同い年に
なるかにゃ?
 同い年の幼馴染三名と共にラエルティオで勇気試しをしたもにょよ!
 我様を含めた雄が三名、雌が一名。皆猫族の少年少女よ! その内の一名は
良家の令嬢だったにゃ。
 四名の目的は立派な大人ににゃる為の儀式のつもりだった!
 成者としての証! 大人へと成長すにゅ為に通過儀礼! 当時の我様達四名は
そう考えていた! 若き日の盛りでもあった! 親や伝統への反発でもあった!
 それぞれの思いを巡らしにゃがらも我様達四名は応神諸島最南端の小島より
応神木で出来た全長成人体型二とコンマ七以上あったかにゃ?)
 ニャ朗は痛みの事よりも思い出の事で一杯になる--それに比例するかのように
涙の勢いは増してゆく!
(そんなくらいあにゅ小舟でラエルティオ近くの砂浜に乗り上げにゅとすかさず
我様達はラエルティオのある南西目指して走り出したにゃ! お日様は向こう側へ
とすっかり隠れて、皆がどこに印があるかわからにゃいくらい夜だったかにゃ?
 あの時はちょうど虫さんも食べ物欲しさにぃ怒り心頭だったにゃ!
 そうして走って一の時、二の時が経っても肝心のラエルティオで町があった場所
には着かなかったにょ! 空腹で気力がいつ切れにゅか分からず、走ったせいで
体力的に厳しい状況。
 特に我様とハヤ人は諦めの雰囲気だったかにゃ? 我様は自分で思っている
ほど根気が続く方じゃないからわかにゅが、ハヤ人は我が儘な性格だかにゃ直ぐ
放り投げようと必死だにゃ! そんな我様とハヤ人をいつも九眉が叱りつけてた
かにゃ? みんなの指揮官的存在だったからにゃ。そして、いつも良家の令嬢で
あるベルニュアに慰められたにょ!
 そんな事を繰り返しながら我様達はとうとう廃ラエルティオ町を見つけにゅ事が
出来た! 時間は確かもうすぐお日様が顔を出そうと必死の頃かにゃ?
 あの時は眠気も虫さんもすっかり静かになったにゃ! 喜びの絶頂期と呼んで
いいかにゃ? 喜びの絶頂期、い、い、い)
 ニャ朗は両眼を瞑った--幸せを食らう過去の記憶を呼び覚まさないように自ら
の思考を楽な方に向けようとするもそれは叶わない!
(そ、そう! それは--)
「ま、まだ銀河連合はニャ朗さんを食おうとしまちゅか!」
 その思考を閉じる出来事が訪れるとは--思わず両の眼を限界まで開いた!
 するとそこには翼を広げて滑空する銀河連合の前左足の太腿に噛みつきながら
しがみつくチュウ兵衛の姿があった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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