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一兆年の夜 第百九話 時間旅行 理論家スチューブからの数々の問題(十)

 午後十時十分十秒。
 一時凌ぎの時間は幕を閉じ、再び危機は迫る。
(考えちゅのだ、スチューブよ。此の危機を打破する方法を……いや、あるにはあるが僕は其の方法を使えば時間旅行が可能だと認めてしまちゅ。其れだけは如何しても避けちゅいのだ!)
 スチューブは既にアインズやゴーロル等に依って時間旅行が銀河連合と関係している事に気付いていた。だが、認めてしまえば其れは時間旅行の矛と盾に大きな修正--即ち、初めから仮説し直す結果に繋がる……其れだけは何としても避けたいスチューブだった。
「オイ、スチューブ。ワカッテイルと思うが、俺は五回以上も時間旅行を経験シタンダ。ダカラ俺は……銀河連合という存在を使ってでも、今度こそ元の時代にモドルンダアア!」
「待て、若しかすると貴方は思い誤りを起こしていちゅかも知れないぞ!」其れは口から出た出任せに過ぎんとわかっていても止めようとするスチューブ。「其れにまだまだ君とは議論しちゅいのだ!」
「イノチが懸っている時に何と一般生命らしくない事を言ってクレチャッテ」そう言いつつもガン流豆は笑顔に成り、次のような事を口にする。「マア其れも俺達には必要な事だ……頭でっかちは此れ位で良いノダヨ!」
 そう言ってガン流豆は時間旅行機の起動車輪を回した。だが、流石は特異馬型--瞬時にガン流豆に接近すると右前蹴りで攻撃を仕掛ける!
 ワカッテイタアア--ガン流豆は片翼のみで躱し、更には二撃目を想定してわざと右回転で起動速度を速める位置まで移動!
 そして燃え盛る左前足の直撃を受けてガン流豆は腹部を焼かれながらも起動車輪を勢い良く回しながら威力を半減しながら吹っ飛ぶ。そして、光り輝く時間旅行機。其れに乗り遅れまいと片翼を伸ばして何度墜落しようとも時間旅行機の光に飛び込む!
「駄目だ、特異馬型は大きな口を開いちゅ……ウワアアアア!」
 時間旅行機は警告を発するスチューブを呑み込んで周囲半径成人体型五十まで光で覆った--


















(……ンン、僕は、死んだのちゅ? 死んで、其の、例の想念の海とやら、に、いや、今の時代では、もう、夢宇宙に居ちゅのか? いや、認めないちゅ。僕は死の世界は真っ暗闇で一瞬で己自身を止める物だと信じていちゅ。此れはロッジと同じくした事の一つであちゅ。死は生まれ変わりも転生も有り得なちゅ。其れを認めれば努力は意味のない労働に成ちゅ。僕がこうして表情を動かすのも難しい状況も生まれ変われば何でも出来るように成ちゅ……そんなの認める事は僕には出来ない。僕がこうして何一つ動かすのも難しく、誰かの支えに成らなければ日常もまま成らないからこそ僕は頭脳を働かせて何かを残す事に全力と成れちゅ。故に転生も生まれ変わりもこうゆう真理を無視した事だ……故に僕は今を生きる僕が死ねば夢宇宙に導かれずに只消えゆくのみという真理を信じ続けちゅ。努力とはそうゆちゅ物だよ。
 いや、違うな。此れはわかちゅぞ。僕はまだ生きていちゅ。死んでいちゅってこうゆう事じゃないだろう。僕は誰よりも死に近ちゅ、其れでいながらも長生きし続けちゅからわかるのだ。僕はまだ……顔を動かせちゅ。まだ首を動かせちゅ。そして呼吸も出来ちゅ。当然、考えちゅ事だって--)


















 十二月十一日午前十一時二分七秒。
 場所は真古天神武首都六影府第二南地区民間病院。
 其れは病院というよりも空き家を病院の代わりに利用したい元医師の願いもあって成立した真古天神武で五十九番目に出来た民間病院。一階建てで病室こそたったの二部屋しかないが、十分である。其の内の右側の病室の寝台に横たわるのがスチューブ。傍には齢二十九にして二日目に成る武内鼠族の女性であり、スチューブの妻であるチュータリアが居た。
「おや、君が戻って来ちゅなんて……珍しいね、理由を聞きちゅい」
「全く貴方は何時だって理由を求めまちゅ。だから私は我慢成らなかったのでちゅ」
「其れは済まなちゅ……いや、済まないのは彼を--」
 いえ、良いのです……彼は本望だったのでちゅ--チュータリアはダマッ躯の死をそう受け止める。
「そ、其れよりも--」
「確か左眼が空っぽで右翼がない雁族の方でちゅよね……無事ですわ」
「何、会えちゅのか!」スチューブにとって予想外なのはガン流豆が此の時代に留まるという事実。「是非共顔を合わせてちゅれ!」
「其の前に、貴方……暫くは覚悟して下さいでちゅ!」
 ウググ……全くでちゅよ--スチューブはチュータリアと久方振りの生活に戸惑いを見せる様子。

 ICイマジナリーセンチュリー二百五十九年十二月十一日午後十時三分七秒。

 場所は未明。
 --え、其の後は再会していないのですか?
「ああ、そちゅだ。不思議な事に彼は以降、僕から姿を消してしまっちゅ。何と言う生命なのぢゅ」
 --成程、そして次の生命の所に向かったのですね。
「やっぱり何か知っていちゅのだね、君達は。何者なのか聞きたい……如何して其処まで正確に取材が出来ちゅのかが不思議で成らないねえ」
 --其の話は残念ながら出来ません。我々が望むのは貴方の事です。さて、時間旅行に必要な要素は益々混迷を深めますね。銀河連合も要因の一つだと考えられたのが此処に来て其れでは実現出来ない事が示されましたね。如何思います?
「誘導か……成程、乗りましょちゅ。其の鍵を握ちゅのが謎の巨石を放った生命」
 --確かに気に成りますね。結局、其の正体は何だったのですか?
「いや、後で確認してもあの山に登ったのは確認されちゅだけで僕とダマッ躯、其れに太間ガン流豆だけだった……然も先に登った者達は既に降りているか或は其処で息を引き取った生命かの何方かだ。警備をすちゅどの軍者も覚えがないの一点張りだ!」
 --じゃあ一体何者だったのですか。貴方のお考えは如何思いますか?
「あれか……もう一つ彼に問題を投げちゅべきだったな。若しも時間旅行した際に其の時代に居るもう一名と遭遇すちゅ事が在ったらという話をね」
 --成程……では其方を先に片付けておきますね。遭遇すると如何成りますか?
「同一の存在は自らの存在を大きく揺るがちゅ。遭遇したら……互いが反発し合い、消えて無く成ちゅだろだろう。自らの存在は決して遭遇しては成らない矛と盾だからでちゅ」
 --そうですか。では、其れを解いた時にこそ時間旅行の謎が判明するのですね。
「まああくまで仮説だ……其れに時間旅行と如何関係すちゅのかなんて今の所では僕でもわからないね。という訳で僕からは以上だ」
 太間ガン流豆が時間旅行が可能だった理由、そして彼が元の時代に戻る物語はまだまだ続く……

 ICイマジナリーセンチュリー二百五十九年十二月十一日午後十時十五分零秒。

 第百九話 時間旅行 理論家スチューブからの数々の問題 完

 第百十話 時間旅行 天才南野ヒツ市の閃き に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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