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一兆年の夜 第百九話 時間旅行 理論家スチューブからの数々の問題(七)

 午後零時二十八分四十三秒。
 昼食を食べ終えて其れから昼休憩に入る頃合にダマッ躯は気付く……銀河連合が隙を窺う事に--故にスチューブを背中に背負い始めると後ろ脚を蹴って其の場を後にした……両前足に用意した雄略包丁を装着したまま!
「知らなかっちゅ。銀河連合が居ちゅなんて!」
「そりゃあそうでえええす。あいつらあは……何!」何と其の銀河連合は一秒遅く動き始めたにも拘らずもうダマッ躯の尻尾まで後少しの距離まで接近していた。「馬型……然も唯の馬型じゃああない!」
 尻尾を掴まれ、反動でスチューブを放り出してしまったダマッ躯。スチューブは其の後、木陰の下まで一直線に落ちて行く。ダマッ躯は追い掛けようにも謎の馬型に尻尾を掴まれた状態で羽交い絞めにされつつあった。幸い、両前足に装着した雄略包丁に依る斬撃で謎の馬型を下がらせた。
「スチューブさんを……だが、此奴の速度は油を断つなああああんて出来ない!」
 ダマッ躯は抵抗する以外に落ちて行く主を助ける最善の方法を……知らない!

 午後零時三十八分四十一秒。
 場所は標高成人体型二十一南南西側。
 スチューブは血だらけになりながらも致命傷を受けずに右横に成る。
(全身が動かないのは相変わらぢゅ。今回は少しだけ痛みが走ちゅな……でも思った程痛みは走らないから助かっちゅ。でも何だか水気を感じちゅ。只の水気ではなちゅ、血の気が其処から外に出ちゅような……そんな水気。血が流れちゅのは避けて通れない。かと言って僕が此れで死ぬとしたら此の侭誰も発見されずに放置された場合に限ちゅだろう。全く真古天神武の行き届かない所で銀河連合は潜伏していちゅのだね。
 さて、此の侭お日様はお月様と入れ替わちゅのだろうか?)
 スチューブは生まれ持った病に依り、自力で動かす事が出来ない。其の為、付き者と一緒に行動しないと日常生活すらも送れない。其の生まれ持った物と反対に比例するように様々な発見をして来た。こんな時でもスチューブの好奇心は止まらない。
(そうそう、お日様とお月様で思い出ちゅ事が在る。黒穴で引き裂かれたチューンとチューナの悲しい劇を少し書きかけておこちゅ。実は--)
 オイ……やっぱりスチューブダナ--という声がすると思ってスチューブは器用ではないが、其の方角迄視線を寄せる。
「おや、探されるべき生命に探して貰ちゅなんて」
「ソレハ済まなかったナ。ダガ、俺は訳もなく此の山を訪れた訳デハナイ」
「わかっていちゅ。ダマッ躯が目撃者に詳細を聞かされちゅ……時間旅行機の開発には此の山が打って付けだったのだろちゅ?」
 キヅイテイル癖にお前はそうやって超然とするのは如何かとオモウゾ--スチューブの至らない点を指摘するガン流豆は其の侭、彼の翼当てをすると背負って最寄りの小屋迄焦らずに運んでゆく。
(あれ、小屋……若しや昔は誰かが住んでいちゅのか?)

 午後一時十二分三十八秒。
 場所は標高成人体型二十二南南東側。
 十二の年より前に跳んで来たガン流豆が一時期、住処として建てた小屋。現在は十の年も経てば古びて行く事も無理はなく、彼は修復作業に入っている矢先でスチューブを発見して此処迄運んだ。
「マッタクなあ……ところでダマッ躯とイッタカ。カレハ如何したノダ?」
「其れが--」
 な、何だ……無事、だった、ンですかああい--ダマッ躯は小屋の付近までやって来る……右前足を食い千切られ、全身八か所にも上る血の歯形を付けられた状態で引き摺るように!
「ダマッ躯……ダマッ躯ウウちゅ!」
「ナンテ怪我だ……直ぐに翼当てを--」
 も、もう遅い、ですよお--俯せに倒れ込んだダマッ躯は左前足で翼当てを拒んだ。
「な、何を言ってちゅのだ!」
「ヘヘ、申し、訳、ありまああせ、ん、スチューブ、さん。ど、うやらあ、自分、此処まで、ですなあ」
 スコシ肉体を確認スルゾ--ダマッ躯の背中に背負っていた縄を引っ張ると其の侭、無くなった右足の傷を覆うように巻きながら身体確認も同時にやって見せるガン流豆。
「ハコブゾ!」スチューブをダマッ躯の近くまで運んでから小屋に仕舞っていると思われる医療用具を取りに羽ばたくガン流豆。「シナセテ成る物カアア!」
 ガン流豆が小屋に戻る中で最後の会話が始まる。
「じ、実を、言うううう、と、ですね」
「何だ、如何したんぢゅ!」
「貴方を、スチューブ、さん、を、奥様、からあ、頼ま、れ、ましたあ」
「……わかっていちゅぞ、其の位は!」
「他にも、ありまちゅ」
 他にも……如何ゆう事ぢゅ--スチューブは合理的な生命故に合理以外の事は読み足りない傾向にある。
「自分、自身、の、希望、だったああ、の、です、よ」
「何だ……凄い事を期待しちゅ僕は何て罪深いんだ!」其れから次のようにお願いもした。「良くわかった……だから死ちゅな、ダマッ躯う!」
 ははあ、出来かね、ました、あぁ、ぉ--そしてダマッ躯の瞳から光が消えた!
「スマナイ、遅れて……遅れて、オイオイ。ドウユウコトダヨ!」
「こんな話はしてなかっちゅよな?」スチューブは悲しみの中で淡々と語る。「死んだら想念の海に旅立ちゅという話……僕はそうゆうのを信じていなちゅ主義だ」
「スチューブ……つまり今も変わらない姿勢ナノカ?」
 ああ、ああ、そうだ……其れがあいつの、あいつの希望、だっちゅ--病に掛かろうとも悲しみに耐えかねない時に瞳の奥より出る水滴は溢れんばかりに頬を伝ってゆくのだった!
(お前は……僕の息子の代わりだっちゅ。いや、息子だった……だから悲しみが僕を締め付けんとすちゅ。ならば泣ちゅ以外の選択肢を僕は考えられない!)
 其れから四の時掛けてダマッ躯の仮埋葬を済ませて行くガン流豆であった。埋葬中もずっとダマッ躯に黙祷し続けるスチューブ姿が其処にあった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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