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一兆年の夜 第百九話 時間旅行 理論家スチューブからの数々の問題(四)

 午前十時十二分十一秒。
 スチューブはある問いを出した。其れはある時、鼠族のチューンとチューナの夫婦が居ました。二名は結婚旅行の時に偶々黒穴の付近を通りました。そして、誤って妻のチューナが黒穴に落ちてしまいました。其の時、チューンが見たチューナの姿とチューナが体験した状態は如何なるか。
「タシカ黒穴は光を通さないとイッタナ。ダッタラ光を捉えて物事を見る俺達の性質上……チューナは確認出来ないのではナイノカ?」
「確認出来ないちゅか。確認出来ないとはどんな状態なちゅだ?」
「ホラ、チューナが落ちただけでチューンはチューナの姿を見る事が絶対にデキナイ。クロアナにはそうゆう性質がある以上は……マテヨ」
「如何しちゅ?」
「ダトシタラ相対性理論に於いて何か矛と穴が発生するのではナイカ。タシカ相対性理論では加速付けようともそうでなかろうとも光は必ず最速の数値で弾きダサレル。決して上がったりも下がったりもシナイッテ。ジャア黒穴は一体何ナンダ!」
 其れが、又、此れが大変難しい話なのだちゅ--相対性理論でも通用しない事が黒穴に集約されるのをスチューブは懸念する。
(アインズ博士が生前に黒穴について言及していちゅな。あれの事を考えるとアインズ博士は大変に議論を避け始めちゅなあ。ま、今は結論を急ぐ前に逆の事に答えにちゅいて聞かないとは)
「アア、シッテルヨ。チューナハ穴に落ちて如何ナルカ? ソレハなあ、光を通さない穴ならば落ちた際に……想像を超えた状態のチューナが待ってイルゾ!」
 実はガン流豆だけじゃない。スチューブも問題を出しただけで既に黒穴に落ちたチューナが最早原形を留めない悲しく惨めな状態であると想像して……「まあまあ、誰だって生命の死を楽しむなんて銀河連合みたいな事は求めなちゅ」其れ以上の答えを避けた。
「一体どんな事を想像したあのですかあ?」
「お前は知らちゅで良い」
「アクマデ思考実験のハナシダ。ソモソモ俺達は絶対に黒穴の近くを通る様な結婚旅行を企画なんかしないカラナ!」
 恐い事を考えるのも頭脳労働者の務めえええでしょうか--頭脳を扱う部門の生命の話に付いていけないダマッ躯だった。
(いや、待ちゅよ。光を通さない……ならば相対性理論で認められない波を認める事に成ちゅ。違うなあ、違ちゅんだよな。光を通さないのではなく……光が逃げられなちゅのだとしたら、如何だ?)
「ナニカ閃いたみたいダナ」
「気付かれまちゅたな。実は--」
 昨の夜に続き、再び轟音が建物外で発生。ガン流豆とスチューブを牽引するダマッ躯は直ぐ様、遊戯室から出て音が発生した場所まで駆け付ける。其れは再び同じ庭園内で起こった--そう、今度は犀型が俯せの状態で倒れ……やがて野次者の生命を確認すると涎を垂らしながら立ち上がる。
(やれやれ、時間差で銀河連合が来まちゅたか。僕は別に死んでも構わないまで生き続けたから良いでちゅけど、ダマッ躯には刺激が強過ぎちゅかも知れない)
 スチューブの考える通り……「ウワアアア案、銀河連合だああああい!」叫び声を上げるダマッ躯!
「マッタク俺の行く先々で銀河連合が出て来やがって……然もあいつはゾウ真の所で倒した筈の才型に少し似ているヨウナ」
 ガン流豆の言う事は正しかった……突然、犀型は内部で炎を噴き出して実態よりも凡そ二倍まで巨大化した--炎迄取り込む銀河連合が見せる恐るべき性質にスチューブ以外の二名と偶々近辺を通り掛かった通行者五名を恐怖の眼差しにした。
(いかんなあ、こりゃあ質量上は同じだろちゅ。まさかアインズ博士が齎した質量は波動という公式を銀河連合が取り入れちゅしまったのか? いや、其れは少し異なちゅかなあ。火は生物学に於いても生命誕生及び惑星誕生に繋がる要素でちゅ。其の炎を見てアインズ博士は相対性理論に於ける公式で質量は変換出来る事を表しちゅ。結果として原子望遠弾のきっかけを作ってしまっちゅが、だからって此れが銀河連合が正しく相対性理論を利用して実体を大きくしちゅとは思えないなあ)
 犀型が迫ろうとも呑気に考え事をするスチューブ。彼がそうやって呑気に出来る本当の理由は死んでも悔いはない年齢だからではない。実は彼は助かると信じて考え事を巡らせる。
 事実、此の後に通報を受けて四名の軍者が駆け付けて一斉に炎犀型に水浴びさせた後に持っていた鋭棒で十回以上突き刺す事で犀型は討伐された。そう、例え垣が上るのが億劫な程に銀河連合迄隠しても巨大化した実体は流石に通報しない生命が居ないなんて黙認が許されない。故に此処で死ぬ事なんて有り得ないという考えをスチューブに根拠付けさせるのだった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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