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一兆年の夜 第百九話 時間旅行 理論家スチューブからの数々の問題(二)

 午後十時二十八分三十二秒。
 一階庭園にて何かが砕かれた跡が散らばる。
(中央に一般生命が俯せに倒れていちゅ。あれは……誰だっちゅ?)
 齢三十二にして一日目に成るサッカス雁族の中年に覚えがある物の、直ぐには思い出せないスチューブ。彼は付き者であるダマッ躯に運ばれる形で其の中年の傍まで近付く。
 ウググ、済まない……スマナイ--寝言の様に謝罪の言葉を繰り返す中年。
「何か罪に成ちゅ様な事が在ったのかな?」
 そんな事言ってる場合じゃありませんよおおう、スチューブさん--者が良いダマッ躯は自らの背に中年を乗せると勢い良く一階にある空き寝室迄移動する!

 午後十時五十七分二十三秒。
 場所は一階空き寝室。
 其処は本来、スチューブの自室だった寝室。結婚後に変わり者だったスチューブが改築をする。其の結果、三階分増築された際に今の一階は自動的に空き部屋と成る。更にはスチューブの身勝手さに我慢出来なく成った妻が子供を連れて別の住まいに移って以降は更に空き部屋が加速し、今では寝床以外の全ての置物はない状態が続く。そんな部屋にダマッ躯は其の中年を寝かせ、適切な処置をした。残念な事に既にもうない右翼及び左眼までは治す事は出来ない。医者の経験を持つダマッ躯でも理が無い物は理が無いのである。
「ウウウ、スマナイ。スマナイ……トーヨル!」
「トーヨル……ああ、十二の年より前に死んだ彼の事ちゅか。という事は彼が太間ガン流豆でちゅか!」
 え、わかるんんんんですかああい--やや大袈裟に尋ねるダマッ躯。
「ウググ……此処はドコダ?」
「目覚めたでちゅか。あ、まあ、あ、其の」補足するとスチューブの病は喉の調子にも左右されやすい。「貴方が彼の太間ガン流豆さんでちゅか?」
「アア、ソウダ」ガン流豆は認める。「アンタハ……何処かで見た事アル」
「僕は武内鼠族のスチューブでちゅ。こう言えば貴方が思い出ちゅかは別だが」
「ソノ何とも生意気な話し方……アインズの所で会った生意気鼠カ!」
 御名答でちゅ--其処で笑ったつもりの苦い表情をするスチューブ。
「ソレ……笑っているノカ?」
「えっと其の、何だ、あーあー、そ、そちゅだね。自信満々の表情の積もり、ちゅ」
「申し訳ありまあああえせん、えっと太間ガン流豆さん。スチューブさんは訳あって様々な表現もはあああああっきり話す事も出来ない方なんですよ……其処は了承して下さあああい!」
「シッテルヨ。カレガ上手くない事位ハナ」
 実はガン流豆はほとぼりが済んだ後に若かりしスチューブに対して様々な質問を投げた。其の甲斐もあって此の様な筋肉が極端に萎む病への理解を深めた。同時に彼等と会話する際には出来る限り、確認を取る。そうして目線を合わせて行く--双方共に。
 其れからスチューブの数々の疑問が始まる。先ずはやはり太間ガン流豆と聞いて時間旅行が来る。
「アア、俺は時間旅行して此の時代にキタ」
「だが、やっぱり其れは有り得ないでちゅよ」
「何かよくわからない話が入りまあああした。では席を外ううううします」
 付いて行けないダマッ躯は寝室から出るのだった。
「ドウシテ有り得ないとオモウ? ゲンニ俺がやって見せたジャナイカ」
「矛と盾を知ってさえいれば時間旅行する事は様々な綻びを招ちゅぞ」
 タトエバどんなホコロビダ--ガン流豆は尋ねる。
「そりゃああれちゅ。えっと、まあ、其の、何だ、あー、ウー、そちゅだ。フウウ……登場者が三名居まちゅた。全員、縦の繋がりがあちゅ父、子、孫。そしてだな、そうそうそう、そうでちゅ。父は昨日からの生命、子は今の生命、そして孫は明日からの生命でちゅ。さて、此処で問題でちゅ。孫の生命が祖父と祖母の婚約を止めたら如何なちゅ」
「ソリャア父も自分も存在しない生命にナル」
「其の通りでちゅ。でも其れだと何かおかしくないちゅ?」
「タシカニ存在しない生命が祖父母の結婚を止めるなんて有り得ないダロウ」
「其の有り得ないが発生すると孫の生命は祖父母の結婚を止める行為に依って綻びが生じる事に成ちゅ。まあ、あれだし、其れでちゅ。じゃあ時間旅行した意味は何なのかって話に成りまちゅ」
「アレ、確か昨日の時代に戻った理由迄消え失せ始めた……時間旅行が成立する意味がミダセナイ」
「そう成ちゅ。故に時間旅行は有り得ないでちゅ。なのに、うーん……何故太間ガン流豆は此処に居ちゅ?」
 ガン流豆は再び己が存在する意味を問われるのであった……孫が祖父母の結婚式を台無しにして自分と父が存在しない世界を作り上げたのに存在しない自分では祖父母の結婚式を台無しに出来ない。出来ないなら時間旅行する意味がない。意味がない事は即ち、時間旅行は成立しない--ならば自分は何の為に時間旅行が成立出来たのか……問われるのであった!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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