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一兆年の夜 第百八話 時間旅行 数学者トーヨル・ターニヤの苦悩(八)

『--あれは僕達の予定では時間旅行機を使っていや、そうじゃなくて其の、あれだ
えっと
そうだ。時間旅行機から発せられる波動を使って僕を火葬する。僕は時間旅行機が
発動する前に首を括って息を引き取る。翼は事前に飛べないように使えないように切り
取っておく。首を括る際に重要なのは梁を通して空中種族は飛べる為にある程度、星の力
を緩和する術を持つ。なので人族同様に首に荷重しやすいように翼を使えなくする。
そうすれば咄嗟に抵抗する事はない。但し、死は常に恐い。僕は死ぬのが恐くないという
超常的な事は多分、死の恐怖とは逆の生への恐怖が齎す物だと考える。死が恐い時、
生は強く訴える。だが、逆に生が恐い時こそ死は強く訴える。貸借対照表の応用法でも
ある。借金する時は全体の資産は増える。逆に借金返済は全体の資産を減らす事に
繋がる。だからこそ新規事業は必ず借金が付き物。だからって借金をして良いという理由
に成らないけど。
 と段落を変えて時間旅行機に関する話を始める。ガン流豆先生は僕を原動力に
時間旅行を始める覚悟でもある。だが、踏み出す事は出来ない。何故ならガン流豆先生
は僕を死なせる事が出来ない。だから僕は自らの翼で死を選ぶ。そうしないと銀河連合は
縄を噛み千切ってでもガン流豆先生を襲う。一方のガン流豆先生は時間旅行機を使用
して元の時代に帰るべく僕の肉体を乗っ取った銀河連合を倒すだろう。問題は僕を
死なせたのか或は銀河連合を死なせたのか? 此れが如何しようもない話。其の判定
こそが時間旅行後のガン流豆先生の行動を左右する。若しも
 僕を死なせた場合はガン流豆先生は必ず自らの命を断つだろう。一般生命に翼を掛ける
とはそうゆう事だ。生命が生命を死なせる事は許されない。罪の重さは計り知れない。
例え一名だろうと其れは自覚しないといけない。寧ろ、銀河連合を死なせておきながら
生き永らえる僕達も十分過ぎる程、罪深い。生きる為とはいえ、ずっと銀河連合を
数多もの銀河連合の命を取り続けた。其の報いは受けるのが因果。報い応えるのが
因果。
 だが、銀河連合を死なせたとすればガン流豆先生は因果通りに事を運ぶ。彼等が僕に
尋ねる理由は即ち、ガン流豆先生が元の時代に帰ってった証拠。でなければ歴史通りと
行かない上に時間旅行機の存在自体の証明に成らない。ガン流豆先生が本当に元の
時代に帰ったという保証は確証はないが。
 にしても心残りなのは妻であるマルコに何一つ伝えられなかった事。彼女には僕の死を
絶対に知らせないようにしたい。だが、彼女の事だ。どの道、知る事に成るだろう。そう
すれば彼女は
いや、止めておこう今は心残りの話であって後で悔いる事じゃない。他には
ゴーロルだ。君に僕の真実を読ませてマルコと同じような行動に出ない事を祈る。マルコ
は純粋に僕の後を追う生命だが、君は違う。僕よりもいや、僕の分まで長生きして
欲しい。君は僕よりも才能に秀でていて更にはなくてはならない存在。君の居ない学会は
さぞ寂しく成ると予想される。
 だから生きろ、ゴーロル・シムー。おっと、おや、あ、えうう、あ

 未明。
 --其れで急遽、貴方が?
「はい、結局あの遺書の謎が残りましょう」
 --謎? 謎とは遺書に関する事もですか? 其れはどんな謎ですか?
「はい、時間旅行機でトーヨル君を火葬されたら傍にあった遺書も無事では済まなかろう。遺書とて紙だ」
 --確かに疑問に思いますね。其れは何が原因で無事なのか氏は推理するのですか?
「あの遺書が最初にあったのはきっとあの建物の何処かだと考えられよう。元々、トーヨル君が途中で自らの意識に限界を迎えたと考えて散乱し、慌てて両翼を使えなくしてから椅子を倒されて首を括ったろう。そう考えながら見えて来られようが……遺書を安全な場所に保管した生命。そう、太間ガン流豆氏だろう」
 --そして其れを机の上に置いたのは……若しやあの方ですか?
「あの方と聞かれて誰かわかられたか?」
 --ええ、トーヨル・ターニヤの妻であるマルコ・ターニヤ氏ですね?
「いや、マルコさんではなかろう」
 --え? あってると思いましたが。
「考えて見たまえ。彼女が遺書を取り出したならほんの少し焼かれてないと意味がなかろう。其の証拠に彼女の亡骸は焼かれていた。此れはきっと彼女も遺書を用意した張本者ではなかろう証拠」
 --とすると一体誰が……焼かれていた? 若しかして彼女の亡骸は鎮火後に誰かが椅子に座らせたのですか?
「考えられよう。結局、其の謎だけは残ってしまおう。誰が用意し、そしてマルコさんを椅子に座らせようか?」
 トーヨルは他者の為に余命幾何の命を燃やした。其の間にどれ程の苦悩を抱えていたのか? 公式上第一発見者の一名であり、親友でもあるゴーロル・シムーは次のように語る。
「トーヨル君の苦悩は僕とマルコさんしかわからなかろう。其れにトーヨル君でわかりとうは事は僕は彼の分まで学会に貢献する事しか出来なかろう!」

 ICイマジナリーセンチュリー二百五十五年十二月八日午前十一時零分零秒。

 第百八話 時間旅行 数学者トーヨル・ターニヤの苦悩 完

 第百九話 時間旅行 理論家スチューブからの数々の問題 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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