FC2ブログ

一兆年の夜 第百八話 時間旅行 数学者トーヨル・ターニヤの苦悩(一)

 ICイマジナリーセンチュリー二百五十五年十二月一日午後十一時二十七分四十三秒。

 場所は真古天神武プロタゴラス大陸フィスト砂漠。
 其処で新たに発見された水湧き湖。其処に椰子の木を何本も伐採して建てられた小屋がある。
 其処へ齢二十五にして七の月と十八日目に成るプトレ燕族の青年が扉を開けようと試みる。だが、其の扉は内側で接着されたかのように固まる。つまり、開かない。其処で一緒に駆け付けていた齢二十八にして八の月と一日目に成る六影羊族の青年が足伝う。そうして二名だけでやっと開いた。すると中で二名は顔を青くして見つめる。其れから二の分と十八の秒より後に燕族の青年が口を開く。
「何といわれよう事か。親友が、親友が……何で僕に、僕達に相談されなかった!」
「シムー君、もう遅いーイ。ターニヤ君と彼の妻は既にー……こんな話があるのか!」
 あ、見て下されい……南野さん--シムーという苗字を持った青年はターニヤという苗字を持つ焼けて天井の梁に首を括った亡骸の近くにある机の上に何枚も重ね合わせた紙の何かを発見する。
「ほ、本当だ。机に凭れる嫁さんらしーき亡骸に万が一の事が無いーイように警戒しながら其の紙を此方にーい持ってゆくのだ!」
 其れから二名は吊し上げられたターニヤと呼ばれる苗字の者の亡骸を下ろしつつも焼け爛れた木材の床に妻と並ばせて寝かせると互いに身体検査をしてから一枚一枚順番を確認しながら読み上げ始める。
「一体如何してトーヨルが……こんな事に成られたんだ!」
「互いに銀河連合が侵入した形跡は……ないーイな。しかし、こんな事に成るなんて!」
「読み上げようぞ!」
 妻と並ぶように既に焼けた亡骸なのが今回の話の主人公であるプトレ燕族のトーヨル・ターニヤ其の生命。彼は手紙を読み上げる親友であるゴーロル・シムーとは二の月より前に連絡を取らずに行方知らずだった生命。然も行方知らずだったのはトーヨルだけじゃない。一の月より前にトーヨルを追って行方を晦ますエウク燕族の少女で妻に成るマルコ・ターニヤもだった。
 其れでもゴーロルは二名の亡骸が本者である事をまだ認めなかった……此の手紙を全て読み上げるまで!
『--此の手紙が読まれているという事は既に僕はこの世に居ないという証明に成る。
だが、仕方なかった。僕がみんなの前に姿を消したのは一重に己の意識が飛んでゆく内
に一般生命に嘴を掛けてしまう恐れがあったからだ。そう、其れは僕自身が銀河連合を
肉体に宿してしまった事の表れなのかも知れない!
 事の始まりは我が友ゴーロル・シムーよ、君と凡そ一の月ぶりに再会した時だった。
あの頃は幸せ一杯だったね。そうそう、こんな風に--』

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR