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格付けの旅 デュアン 旅立ちまで一週間 そして宇宙へ

 神才……其れは俺を含めた九十九の生まれ持っての神の事を指す。だが、俺としてはそんな生まれる前から神を宿す存在を神を名乗る者達が許す筈が無いと考える。
 --確かにそうね。だからこそ私達が発見する迄、神才に相応しい存在は赤子の段階から殺され続けたわ。仮に生き残っても極端に寿命が短いか適応障害かのいずれかなのです。
 だが、俺は生きている。こんな事は初めてじゃないのか?
 --いいえ、デュアン……貴方よりも先に覚醒した者達が居りますわ。今から教えますわ、其の者達の特徴というのを。
 特徴? 俺よりも先に神才として出て来た者達が居るだと!
 --ええ、私が掬い上げたのも含めると次の通りに成るわ。先ずは生まれ以って体術の才に優れた男が居たわ。彼は気付かれぬ内に覚醒し、肌の色と空間適応能力と寿命延長を兼ねて更には剣術を磨いた存在ね。
 其の男を俺は知っている気がする。まさか幼少の頃の俺に抗う力を知らしめてくれた男なのか?
 --次は生まれ以って悪意を宿す男ね。やがて母が死に、父が病気である事を理由に徐々に嬲り殺した後にある豪邸に養子として潜入。持っていた革新思想と養い先で得た保守思想を融合した思想を以って世界を混沌へと導き、其処で皇帝を騙るように成った。皇帝だけじゃなく、自らが神を超える存在である証明として絶対に壊れない剣を持ち、例え肉体が滅びても剣がある限り何度でも蘇る。或は剣の状態から持ち主の肉体を乗っ取る或は強固な精神の持ち主を上手く洗脳する術に長けてあらゆる技術を自分流に染めて行く黒き悪意。
 あいつか……奴とは一戦交えたな。結果は散々だったが。
 --三体目は何処にでも居る小太りの中年。けれども植物研究に関しては彼が生まれた時代では有り得ない段階で既に人工栽培レベルまで極まる。やがては体内で植物の活性化を可能とし、其れで居ながらも他者に対して極めて怯えた様子で接する屑の中の屑。彼が散布した人造植物は各世界で大惨事を招く事と成ったわね。
 植物使いかよ。案外植物とは人間の毛みたいに何回剃ってもしぶとく生えて来て厄介なのだよな。以上か、マザーシステム?
 --いいえ、此れはあくまで私が生まれる前に誕生した神才達ね。彼等は神々との眼を掻い潜る或は既に気付かれても類まれなる幸運を以って覚醒し、以降の神才達の原型を全宇宙に知らしめる事と成ったわ。
 成程、原型か。じゃあ俺は如何なのだ?
 --貴方は……そうね。魔法使いの中で唯一ジェネラリストでありながらスペシャリスト以上の極まった属性魔法の使い手として以降の神才の見本を示したわね。
 そりゃあそうだ。陽系、陰系、結系……更には複数の固有魔法を難なく覚えた最高峰の魔法使いってもんだ。俺よりも優れた魔法使いなんていやしない!
 --でも逆に考えれば魔法以外では攻略されやすいとも取れるわね。最も貴方程の実力者を簡単に下す事は容易じゃないわね。
 当たり前だ。圧倒的な力は小手先の技で下せる程容易じゃない。技を極めた蟻が怪力だけの象に勝った試しがないのと同じようにな。
 --最も象は長い鼻を使った技の使い手なのだから怪力だけという表現は大きな間違いでもあるわ。
 細かい事を指摘するな。其れにあくまで技の蟻と力の象は基本的な例えとして扱いやすいから例に出しただけだ。其れよりもマザーシステムよ。
 --何かしら?
 そろそろ戻りたいのだが?
 --待って、返事がまだね。私は欲しいのよ、貴方以外に覚醒した神才の情報を。
 何故俺なんだ?
 --其れは貴方が魔法使い以外の側面として格付師という何かに付けて自己評価する悪い癖があるからなの。
 成程……其れで対価は如何する?
 --全生命体の敵に関する情報とあなたの大切な人達の今後を知らせると言うので、如何かしら?
 成程、乗った!
 --じゃあね、デュアン・マイッダー。貴方に何れ幸がある事を願って--

























 フウ、此れは惑星ディーの青空か? 青いなあ、とても青いなあ。視線を一般人目線まで下げると俺よりやや身長の低い盲目の女が顔を此方に向けるのが見える。
「お前は盲目設定じゃないのか?」
「細かい事は気にしないで、デュアン。其れよりも如何かしら……彼女と出会った感想は?」
「お前のお陰なのか、例のオカマとの出会いは?」
「おかしいわね、彼女は彼女よ」
 引っ掛けに乗らない……という事は俺を此処まで誘い出したのはやっぱりそうゆう予言を知って自ら先導役と成ったからか--とノイズンがマザーシステムの事についても周知であると判明する。
「其れで如何だったの、彼女って中々胸が大きかったでしょ?」
「でかい女は趣味じゃない。其れにあれだけの比率差があればガンバーみたいに現実の女に欲情する気も失せるだろう」
「全くそんな性格をしているわね。男って言うのは私の知る限りは女に格好付けるという動物本来の性質を持っている筈だったのだけど」
「そりゃあ『恋は盲目』だから無条件にそう成るけど、俺にそんなまやかしは通じない」
 じゃあいい男に成れないわね、永遠に--そう言ってノイズンは姿を消した。
 恋は盲目……其れは万物の真理。恋をすれば周りが見えなく成るという一種の病気……ではなく、生殖行為の一種。だが、制御が効かない場合は少しでも恋の対象の悪口を聞くと烈火の如く振舞う。其の傾向の原因はやはり生殖行為の邪魔を排除する為の緊急手段と捉えればわかりやすい。生殖行為とは種の保存の一種であり、少しでも邪魔をされると怒り狂うのは当たり前だ。傍から見れば妄信的な信者の振る舞いも生物学の観点から見れば当然の行為。但し、恋は盲目でも恋が冷めれば急速に相手の事を俯瞰的に捉え始めて失望感が出る。此れは生殖行為を終えて其れ以上の望みを求めない事から来る物。故に結婚生活が続かない夫婦の大多数はきっと恋は盲目という感覚で結婚し、其れを超えた先の強い絆の結び方を研鑽しない事で互いに険悪に成ったのだろう。全く修業が足らんな。
 と結婚もせずに独り身の俺は冷徹に恋は盲目を考察する。さて、と--マザーシステムと出会う為だけにノイズンは此の場所まで誘導した訳じゃない事位はお見通しだ……女心を少しでも理解出来るなら、此れも女の気遣いかも知れない。
 俺は其処で周辺の人間から聞いた。すると其処には第三次魔導戦争時に使用されたとされる『ハイパーレールガン』と呼ばれる魔導兵器が付近にある。そう、此処は『青道』上にある小島--今更説明するのも何だがな。
 青道……其れは惑星ディーの緯度の基準値にして静止軌道に位置する絶好の線の事。此の線より北側或は南側に成ると重さも微妙な変化を迎える。其の理由は静止軌道が関係する。静止軌道上では重力はほぼ真下に掛かる。だが静止軌道以外だと地域によって重力の向きが違う。故に青道の上と下では同じ体重の男が何度計っても違う結果に成るのも無理はない。其れが青道の独特なる特徴である。尚、こうゆう緯度だからこそ打ち上げる際には風向きなど余り気にしなくて良い。何故なら静止軌道上では風が少なく、絶好の打ち上げ日和とされやすいからである。
 ハイパーレールガン……其れは第二次魔導戦争以降の世界各国は大気圏外からの攻撃を如何に防ぐかが課題と成る。其の過程で第三次魔導大戦勃発前に完成した衛星軌道上に接近した物体をほぼ亜光速に近い速度で迎撃する超兵器。決して魔導砲の類ではない。『劣化魔道弾』程度の破壊力のままで自国の衛星軌道上に接近した物体を打ち落とすだけで良い代物。其れ故に大規模な爆発は起こり得ない……何故って? 宇宙空間では大気圏内で発生するような程にまで密閉はされず、常に真空で一定しない。そんな中でどっかのロボットアニメみたいにあちこち爆発するなんて事は考えられない。故に打ち落とせば小規模の爆発して四散するだけ。だからこそハイパーレールガンは魔導砲を打ち落とすのに最適な迎撃平気だと言えよう。但し、先程説明したように試算するという事は即ち、欠片が大気圏を突入して周辺に散らばるという被害が発生する恐れもある。どっかの馬鹿女が言うように破片までは防げないという意見は言い得て妙……但し、其の後の打ち落としてはいけないという理論は成立しない。破片が落ちて済むだけで有り難いと思え!
 そんなハイパーレールガンの基地も十年以上の歳月も費やせば雑草やら植物の根やらが巻き付いて手入れが大変。其れに草抜きの作業を終えても待つのは埃取りや各種点検--其れを半日で済ませる俺も中々だと言えよう。
 其れからパスの確認だろう。どんな兵器でも素人が使用してはいけないように『暗号管理』がされているからな。
 暗号管理……其れはあらゆる事物に必ずやらなければいけない安全対策。此れを怠るだけで戦争に敗れる……と断言される程に重要な代物。若しもパス打ち込みに失敗すれば自爆するか或は全データ消去するかのトラップも用意される。然も唯文字を打ち込むだけで済むなら良いのだが、文字以外にも網膜認証、手形認証、そして味覚認証といった遺伝子レベルに於ける暗号もあるからそう簡単に使えるように成るなんて思ったらいけないぜ。クラッカーへの対策は十分果たすのが国家の条件だから各国首脳は肝に銘じるように。
 と説明する内に俺は裏技を使って暗号認証の全てを解読。そうして其処からデュアンロールに必要な情報を手に入れると……二時間後に自爆させる--ハイパーレールガンで星を脱出するのが目的ではない……ハイパーレールガンを開発する上で必要なノウハウを得る為に暗号認証を突破したのだからな。
 其れから俺はデュアンロールに打ち込むと一気に大気圏を離脱してゆく--其の速度は既に一万ハイトルーキンを突破して重力を振り切って行く……だが、大気圏内だと物体は熱に焦がされるな!
 其れでも二万ハイトルーキンを超えると最早気休め程度に過ぎない時間……俺はとうとう、惑星ディーの衛星軌道へと踏み出す。そうだ、此処から先は俺の進むべき道を探す格付けの旅の始まりである……


 青魔法04 デュアン、旅立ちまで後一週間 END

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Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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