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一兆年の夜 第百七話 時間旅行 量子学者望月ゾウ真の探求(六)

 午後九時八分五秒。
 場所は第二階層高度成人体型百西側。
「ガン流豆先生ぜおう!」
 ゾウ真の呼び声に呼応するようにガン流豆は……「コレ以外に銀河連合の影響を最小限にする方法はミツカラナインダ!」ゾウ真の言いたい事を答えた!
「果樹園がもう全て食べられなく成るんですぜおう!」
「ソレデモ銀河連合の亡骸から発せられる波動がロンギノ地方全体を覆い、結果としてアンモニー高地どころじゃなく成れば本末その物が転倒スル!」
「だかたらって果樹園を無くす意味が如何してあるんですかぜおう!」
「ナニ、此れには他にも理由があるんだ……ってもう銀河連合が突っ込んでクルゾオオ!」
 ガン流豆先生ぜおおう--銀河連合の特性上、近くで鼻を伸ばせば自らの焼かれて仕舞う為に離れて伸ばす以外になかったゾウ真!
 そして銀河連合の肉体の焔に呑まれたガン流豆--其の時、ゾウ真に飛び込んで来たのは……光!
(そ、そう言えば思い出したぞう。あの銀河連合はガン流豆先生が開発した時間旅行機の中心部に仕込まれていたんだぞう。だとすれば此の溢れんばかりの光はきっと……時間旅行の合図なのかぜおう!)
 其れからゾウ真は意識を失い、俯せに倒れた。彼が目覚めたのは朝日が照らし出す明くる日の午前五時--ゾウ真を長い事眠らせたのは恐らく相対性理論が齎す己と周囲との時間の差異だろうか?
 一日一食で内臓の活動を極限まで抑えた肉体が睡眠する時間は平均して三の時しかない。なのに凡そ八の時も眠りに就いたのは幾ら心身共に必死でも考えられない。ゾウ真はそう考えつつも相対性理論と並行して量子力学的な応用法を以って次のように考える。
(光に巻き込まれたのはガン流豆先生や銀河連合だけじゃないぞう。僕も其の光を浴びて一瞬だが、時間旅行をしたと考えれば朝陽が差し込む程の時間も眠る筈がないぜおう。だとするなら此れは量子論で言う量子隙間ぜおう。其処へ僕が通り、一瞬だが時間旅行を果たせたぞう。
 若しかするとガン流豆さんが此処へ誘導したのは量子論も駆使した上で銀河連合自体が時間旅行機である事に懸けたんだぞう。でなければアンモニー鳳梨を使って無理して電気を通す仕組みを作り上げる筈がないぜおう。電気を通すと知っていたからこそガン流豆先生は敢えて銀河連合が目覚める事を期待して開発中の時間旅行機の中央部に死んだ銀河連合を仕込んだのぜおう。
 いや、考え過ぎだぞう。最早僕に推測する事はもうないぞう。だが、果樹園は大分焼かれたな……だが、ガン流豆さんはもう居ないぜおう)
 ゾウ真は銀河連合に依って八割も燃やされた自然果樹園を眺めつつも次のような事も考える。
(誰かが来るまで又、たった一名だけで生活を再開するぞう。まあ元々、其の為にアンモニー高地で一生を終える決意をしたんだぞう。覚悟の上だ……僕はまだまだやれるぞう。其れにガン流豆先生のお陰で僕は……一般生命は一度や二度の罪を作ったからって後ろ向きに生きる必要が無い事も思い知ったぞう。ならば僕の進むべき道は罪を償う事ではなく--)

『--其れから三の月より後、僕に尋ねる者達が居たね。其れがショーイ先生や
アインズ先生に尋ねて来たある者達だと僕は知ったね。まあ応じたな。どんな内容かは
此処には記さない。誰かが記してくれると考えて僕はアンモニー高地での生活以外は
紹介しない事にした。
 まあ如何してもというなら思う方が居るなら次のように説明する。彼等は太間ガン流豆
の著書の正しさを証明する事とガン流豆が亡くなって数十の年より後に時間旅行に
関する真実を真古天神武全土に発表したいそうだ模様。何故其処まで執着するのかは
僕の考えでは彼等も時間旅行者の可能性が高い。そしてこうまで予定通りに尋ねに来る
所から見て彼等は此の時代どころか此の銀河の生命ではない可能性が考えられる。
まああくまで推測の域に過ぎない。彼等は本当に偶然で太間ガン流豆の著書を入念に
調べる内に呼吸を合わせるかのように突撃取材をしに来たのかも知れない。ほら、数学
を突き詰めれば生命にだって呼吸を合わせる能力が備わるというじゃないか。
 だが、数学は当時としては一般生命にとっては発見しても何の影響もないと馬か鹿の
ような目で見られた。其れ位に縁の下の力持ち的な見方をされやすい。でもね、そうゆう
目線こそ見映えに惑わされやすいと証明しているような物だ。真の輝く物は常に中身が
煌めく。
 つまりだ。ガン流豆さんは果樹園側に誘導したのは果樹園一つを捨てようとも一般生命
にとって其処まで深刻ではない。銀河連合に依って穢れたのなら時間を掛けて浄化して
再生すれば良い。何を捨てる事を恐れるのか、とね。僕は今迄恐れていた。一般生命が
銀河連合と同じに成る事を。でも違った。僕は物理学者として基本的な事を見落として
いた。何度道を踏み誤っても最後に正道を進めば問題ない。下を向く暇はない。進み
続けろ、と。
 そんな感じでガン流豆さんが訪れた話は終わりにしたい。最後に--』

 十一月百十四日午前十一時五十三分三十二秒。
 場所はアンモニー高地第二階層木造自宅内。
「--という話だったのだぞう」
 --其れがアンモニー高地で起こった事件の真相ですか。
「其れにしても不思議な事があるぞう」
 --ひょっとして我々の事ですか?
「本当に何代も掛けて太間ガン流豆の著作を追っている一族なのかぜおう。ひょっとしたら別の宇宙から来た一族じゃないだろうなあぜおう?」
 --其れについては言葉を差し控えます。
 こうして望月ゾウ真の話は幕を下ろした。だが、太間ガン流豆の物語はまだまだ続く……

 ICイマジナリーセンチュリー二百五十四年十一月百十四日午後零時零分零秒。

 第百七話 時間旅行 量子学者望月ゾウ真の探求 完

 第百八話 時間旅行 数学者トーヨル・ターニヤの苦悩 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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