FC2ブログ

一兆年の夜 第百七話 時間旅行 量子学者望月ゾウ真の探求(二)

 十一月二十日午前零時一分二秒。
 雨は激しさを増し、ゾウ真とガン流豆が居る木造住宅に襲い掛かる--唯でさえ、耐久年数の短い果樹の木はアンモニー高地に吹き荒れる突風と合わさって隙間を縫うように雨水を運ぶ!
「ウワアア、ツメタイ!」齢三十四にして九の月と十六日目に成るガン流豆は雨水に当たり、目を覚ます。「ッテマタカヨ!」
「誰も此処で住もうと思わない最大の理由は集中豪雨と突風が原因だぞう。又、足伝って貰うぜおう」
「ベツニ言わなくとも俺は翼ツタウゾ」
 実はゾウ真は既にガン流豆にアンモニー高地の自然現象は過酷で洪水に依る土砂災害は年中見られる。更には激しい風雨は自然果樹園の作物を追いやる程の勢いに成る事も。故に此処は一般生命どころか銀河連合でさえも立ち入る事は滅多にない。そんな場所でゾウ真は自らの罪の清算を果たそうと躍起に成り、ガン流豆は口を割らないゾウ真から時間旅行機の更なる発展の為の鍵を見付けようと試みる。
 二名は激しい豪雨と格闘しながら雨漏りを始め、時には倒壊しそうな木造住宅を支えつつも深夜の大豪雨と向き合い、二の時より後……風雨の勢いは止む。
(はあ、だから一日一食はこうゆう時に役に立つぞう。やはり健康優良児を目指すなら誰もが一日一食で生活するのが一番だぞう)
「オレは寝るぞ、ゾウマ!」
 ああ、そうして下さいぜおう--寝て行くガン流豆の背中を見つめるゾウ真。
(とは言え、一日一食にも困った点が幾つもある事を忘れずにぜおう。其れはやはり味覚が鋭敏に成りがちで食べる有り難さを満喫しつつも却って選り好みを齎してしまうぞう)
 そう思いつつもゾウ真は象族専用の寝台に俯せと成って瞼を閉じた。

『--銀河連合の立ち寄らない土地というのは楽園としては正しい。だが、時として
一般生命にとっても困難な土地である事も忘れずに。僕達は年中此のような環境で生活
し、生きる事の有難みを理解してゆく。だが、一の年以上も生活を続けると其れが
当たり前と成って有難みを忘れる。有難みを忘れる事は何も悔いる事ではない。寧ろ、
心身共に適応した証拠だと僕は考える。残念なのは但し、気を付けるべきなのは適応
すると今度は贅を求め始める。一般生命は生活を楽にしてゆく程、更なる楽を求める
ように僕達は此の環境をより充実させる為に研究所か何かを建てるかも知れない。
だが、果樹園の木では耐久年数は短い為に其れは実現出来ない。しかし、果樹園にある
作物の新たな可能性を見付ける事が出来れば耐久年数を伸ばす事が可能かも知れない。
だが、僕達は生物学者ではない。故にアンモニー高地で生えた作物の品種改良は安易に
出来ない。すれば自然発生した代物は逆に足を付ければ成長の妨げにも成る。遺伝子学
では常識中の常識だからな。故に僕達は品種改良を好まず更なる贅も求めない。僕は罪
の清算を、ガン流豆先生は元の時代に戻る為の術を求めて必要な分しか開拓を試みない。
 試みない筈だったが--』

 十一月二十一日午後十時五十七分四十三秒。
 場所はアンモニー高地第三階層木造住宅内。
 部屋という枠組みはなく、ゾウ真とガン流豆が同じ部屋で用意された机や寝台を使って生活をする。
 そんな中でゾウ真は日記を記す。彼が日記を記す理由は前に説明した通り。彼が亡くなり、若しも誰かが此処アンモニー高地を尋ねて来る時に生きた証を残す為である。其れと同時に彼は心の何処かで次のような事も追い求める。
(一般生命とは最も強力な矛と最も強固な盾を内包する存在だぞう。僕達は最低限と思いつつも生活して三の年より後……既に自然果樹園は半機械式自然果樹園として雨避けを作り上げて収穫率の増加を試みるぜおう。後はガン流豆先生が既に時間旅行機の再開発に乗り出すぞう。自ら材木を用意しては木造式研究所を作り始めているぞう。だとすれば僕は……又、逃げていた研究を再開するかも知れないぞう)
 頭脳労働者にして量子論の中心的存在として名を上げた才の突出した青年は未だ新しい発見を追い求めていた。だが、其れを認めまいと未だに罪の意識に苛まれる。
(僕には研究の場に戻る事は許されないぞう。原子水素望遠弾のような強大な力を作り上げてしまうというぜおう。果たして其れが全生命体の希望と成り得るのかぞう?)
 未だ悩みの中に居る望月ゾウ真は日記を記すと大人しく専用の高床式寝台に俯せと成り、瞼を閉じ--

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR