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一兆年の夜 第十六話 語り継がれる物語(六)

 あたしは熱いお茶を全て飲み干した!
「あつううんい! では続きはあたし自ら語りますん!
 メイ地は全ての望みに自信を持てないでいた! あらゆる角度から銀河連合が
迫っているん状況下であっても!
 もうオラには生きるん理由が見つからない……いえそうんじゃなくて!
 もうオラには生きいーる理由が見つからないーい--そんな感じで。
 そして銀河連合の皆様は寸での所でメイ地を食らおうんとしたその時だった!
『メイ地さんをやらせるかッス!』
 河川の外まで逃げているんと思われたビー音が大声で叫ぶ--驚いた各方面の
銀河連合は一斉にビー音の方角に視線を向けた!
『!
 生きてたんだ、ビー音君!』
 メイ地はビー音の叫びによって一瞬だが我に返る事が出来た!
『悲しみに負けないで下さいッテ! 悲しみの先にあ--』
 それがビー音の遺言となるん--栗より少し大きいだけのビー音の身体を燕型
は丸呑みした!
『ビイイイ音えええ!』
 メイ地は叫んだ--それは恐怖でも怒りでも悲しみでもないもう一つの感情を
表現する為に発せられるん叫びね!
 そんな叫びを聞いた銀河連合は急いでメイ地を食らおうんとした!
『そう簡単に食われルーと思うなよ!』
 メイ地は前左足で強引に自分の腹の綿毛を引っこ抜くんとそれを周りの銀河連合
に向けて投げつけたわ--銀河連合を死なせるんには至らないけど、予想外の
行動に彼等も動揺したのね。それに気付いたメイ地は必死に泳いで逃げたわ!
『これは本能だ! オラは今、悲しみいーを超えて本能の赴くままにいー逃げる!
 出なければメイ耶ちゃんもビー音君、それに町の生命達に申しいーわけがつか
ないいー!』
 そう簡単に逃げられるんほど銀河連合は甘いモノ達ではない--水中に潜む
銀河連合はメイ地の後ろ右足に噛みついたわ!
『イデエ! もう綿毛を持っていけ!』
 それでもメイ地は本能の赴くんがままに綿毛が数十本抜けても逃げたわ!
『生きいーるんだ! 生きいーるんだ! 生きなければ良くないいーんだアア!』
 やがて彼の本能に応えるん形で氾濫した河川は彼を助けるんかのように--
『ワアアアアア!』
 南から北へと圧し流してゆくん!
 彼の意識はやがて黒くん染まっていくん……
 ラエルティオ町の生き残りであるん青樹メイ地が目覚めたのは、だいたい三の日
より後かな? お日様は顔を出そうとしているん頃。場所は海にある今にも水没し
そうな小島。
『お、オラは生き延びいーたのか?』
 それは奇跡と呼べるんモノなのか? それとも都合良くん河川の神様が導いた
モノなのか? メイ地にはわからない。ただわかるん事があったわ!
『オラはここで死ぬべきいー生命ではないいーといいーう真実!
 ラエルティオ町で生きいーたみんなの為にもオラは生きいーないと良くないいー!
 そうだロー、メイ耶ちゃん!』
 それ以降彼はラエルティオ町で唯一の生き残りとして本能の赴くんがままに生き
抜いた! 身体はやせ細り、頭の綿毛が徐々に薄れても生き抜いた!
 そして現在も彼はラエルティオ町が食われてゆくん物語を名も無き生命に語り
継いでゆくん……」
 これで終わったわ! さあ樹林さん! 感想を聞かせて!
「なんて都合の良いーい物の語りいーだ! こんな物を楽しいーめルルーう者が
本当にいるのかさえ引っかかるぞいーい!」
 あれ? 力作だと思ったのに!
「だいたい訛リリーいがなっとらんぞいーい! 羊族を何だだーあと思うか!」
「済みません! こんな物の語りで!」
「うう……何という都合の良すぎルルーう、うう!」
 あれ? でも樹林さんが泣いてるん気が?
「ありがああーとう、お嬢ちゃん!
 君はもうワシの後を継ぐにいー相応しいーいいー語リー部だ!
 熟すには程遠いーいが、ワシにこんな物の語りいーを聴かせるとは思わなかった
ぞいーい!
 これならあの世にいーいるメイ音ちゃんも満足しいーて折ろう!」
「メイ音? まさかそれは物語に登場するん織田メイ耶さんのこと?」
「そうじゃ! ワシは物の語りいーとしいーて彼女の名前を変えて架空の登場者と
しーいたのじゃ。他の者も同様に実際の名前は異なルルーんぞいーい!」
「もしかして青樹メイ地さんは樹林さんじゃないかしら?」
「それダダーあけは外れじゃ! ワシは彼のようにいー本能で生きーいる術はな
いーいぞ!」
「……そうですんよね! そうんしときます!
 素晴らしいお話を聞かせてくれてありがとうんございますん!」
「こちらこそお嬢ちゃんに感謝しタターいくて一杯じゃ!
 ありがとう、これでワシは胸ヲヲー張って皆の所に行けルルーんぞ!」
 それから一の年より先かも知れないけど、樹林メイ土さんは齢四十六の生涯を
閉じたかも知れない。
 彼が本当に青樹メイ地さんなのかはもうわからない。
 ただ言えるんことは彼が後に語り部となってあたしのような物聞き達にお話を
聞かせていったと言うんことはたった一つの真実なのよ!
 だからあたしはその真実を受け止めて、あたしなりの真実を語り継がせてゆくん
わ!
 この命が尽きるんその日まで!


 ICイマジナリーセンチュリー五十四年八月四十一日午後三時十分五秒。

 第十六話 語り継がれる物語 完

 第十七話 猫と鼠 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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