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一兆年の夜 第百六話 時間旅行 理論研究者ゲロルギー・ガーモスの突発論(三)

 午後八時五十八分五十八秒。
 銀河連合が襲撃する。種類は百獣型。だが、色は景色に合わせて白色の剥き出した姿。何方にしろ、二名にとっては命の危機に立たされている事に変わりがない。
(で、出やがったう。然も百獣型だなってう……無茶苦茶な、恐いとかそうゆう問題じゃないだっろってん!)
 一応、ゲロルギーは百獣型、参謀型、其れから医者型を想定してとある代物を所有する。そして其れに足を伸ばすだけの距離に其の代物はある。だが、実戦慣れしない生命は何時も考えが先行しやすい。理論は正しくても体は思ったように動かないのが現実なのだ。
「オイ、迷っている場合ジャナイゾ!」
「え、あ、あ、ど、如何すれば良いだう?」
 オレガ惹き付けておくからお前は深呼吸して何か対策をトレ--ガン流豆はそう言って片翼のみで白き百獣型に突進する!
 だが、身体能力の差はどれだけ実戦を積もうとも簡単に埋まる代物ではない。ガン流豆は蹄攻撃を仕掛けるが、鷲族ならばまだ長い物の、他の空中種族と大差のない雁族のガン流豆では百獣型に届かない。逆に百獣型の前左足がガン流豆を絡め取って単純な締め上げを始めたではないか!
「ガガガ、ウガガガ!」ガン流豆は苦しみつつも精一杯力を籠めてこう叫ぶ。「ナ、何をしてイル……ガガガ、速く立てナオセエエ!」
 ガン流豆の精一杯の渇を受けてゲロルギーは不図ある事を思い出す。
(立て直せってう……ハッ!
 そうだう……ゾウ真から貰った物をまだ俺は使っていなかっとん!)
 ゾウ真から貰った物は真後ろにあった。ゲロルギーは其れに右足を伸ばして四脚机の脚に自らの背を乗せながら其れを正しい足順で操作する……「い、いけなう」だが、標的の付近にガン流豆が居た--故に実戦慣れした生命でも困難な状況に追い詰められる!
「ウ、ウデエエエ!」
「……そうだう。あいつらが突然やって来たう……若しもガン流豆さんが此の時代に死ぬ生命ならば」運命を信じてゲロルギーは引き金を引く。「白き百獣型がガン流豆さんを死なっせうなんて有っ得なん!」
 打ち込まれ、ガン流豆の頭部を掠めるように進み……百獣型の顔面に大穴を空けた!
(決まったう……どんな存在でも脳味噌をやられたら生命活動はほぼ必ず止まっらあ!)
 ほぼと付けるのはあくまでゲロルギーは理論物理学者として確実を好まない為。此の世に確実など存在しないように量子論の出現は確実だった粒子の状態が曖昧と化した。其れに従い、ゲロルギーは自説である高温宇宙論も確実だと完全には認めない。
(あ、そうだう。確実じゃないのはまだ……銀河連合は死んだと決まっていなっかう!)
 と同時に銀河連合は頭部を壊されようと心臓を潰されようとも体内に潜むであろう液状型が居れば何度でも立ち上がる事は確実だと考える。故にゾウ真から貰った簡易式中距離望遠弾を背負ってガン流豆の元へ向かった。
「だ、大丈夫かう!」
「ああ……何とか、な」
 ガン流豆はゾウ真の所に駆け付ける。其れからゾウ真から教わった引き出しより十二個入り燐棒箱を取り出すと先に百獣型の亡骸を外に放り出す。火事で研究所が焼かれると住処を失う恐れが強いから。其れから山火事を起こさないように亡骸の周りに簡単に出来る竈蔵を作り上げる……が其れでも三十の分も掛かった。最後に亡骸に向かって火を灯した燐棒を二本、或は三本程放り投げて焼く。燃え盛る中でゲロルギーはガン流豆の身体検査を行う。万が一にもガン流豆に取り付いている事を想定して簡易式竈蔵を立てるのと同じ時間も検査を行う。其の頃には外の寒さは燃え盛る炎と度重なる肉体労働で多少は楽に成る。但し、冷え切った個所は余り無茶は出来ない。作業が終わり次第、中で暖を灯して各箇所を温める。凍傷は遠過ぎる過去だろうと深刻な症状。放置すれば患部を死なせるだけでは済まず全体に波及し、自由が利かない状態での生活を余儀されるのだから。
 ある程度暖め終えた二名は焼かれた銀河連合を埋葬する。但し、場所を移しての埋葬は現時刻の時点で危険度が大きい為に諦める事に。其れから一の分も掛けて黙祷し、其れからは研究所の就寝時間まで議論を始める。
「ホントウニ宇宙が膨張していると確信するノカ?」
「其れを証明するには宇宙には熱の反応があったう痕跡を知らないといけない」
「ケッキョクは実践ダナ」
 ああ、そうだう--理論を構築するのは学者でなくても可能……だが、其れを納得させるのは余りにも困難な作業と言える。
(でも若しも貸借対照宇宙論が正っさうとしたら影宇宙は低温状態且つ縮小の一途を辿っているうのではないか?)
「ドウシタ、ゲロルギー?」
「いや、ふと思ったう」
「ナンダイ、イッテミロ?」
「貸借対照宇宙論って確かどんな基本概要なんだう?」
「アア、あれは貸借対照表を基本にしたリロンダ。タシカ誰かの資産は誰かの借金を元にすれば……貸借対照宇宙論は即ち、此の宇宙で起こっている様々な反応は影宇宙では様々な逆の反応を起こす……って感じでオコル」
「だとすればこんな事も言えるんじゃないかう?」と注目させつつ、ゲロルギーは次のような仮説を立てる。「俺達の宇宙が膨張している中で影宇宙は縮小の一途を辿ったう」
 ナルホド--と本気にしないなっ得をするガン流豆だった。

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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