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一兆年の夜 第十六話 語り継がれる物語(五)

 樹林さんは宣言通りお茶を一口飲んだ後、続きを語り始めた。
「メイ耶とメイ地は水に飲まれながらも必死に泳ぐ事で溺れずに済んだのう。
 だが、二名の綿毛はもう物々交換に出されないいーくらいーい萎んでしいーもう
た。ちょうど今のワシみたいにのう。
 話を戻すぞいーい。二名は泳ぎながらも互いに離れず生き延びたんじゃが、周りを
見渡すと--
『ああ! がば! あれは北地区の豚族イベリ子ちゃん!
 それに反対側にいーは西地区の蚊族チュウッチュさん!
 それから熊族ベデ郷さんに牛族ギュウカック君にそれかそれから--』
 メイ地とメイ耶は周りいーに浮かぶ数々の死体が誰なのかがわかりーいながらも
彼等全員の名前を言いいー続けるとは。中には半分骨の状態で発見された死体
まであるから恐ろしいーい話じゃ。
『こんな事全て銀河連合がやアアーったといイイーうの!
 ガビバボ! 私達は生きいーないと! 行きなーいいーと!』
 二名は互いーいをくっつけながらもラエルティオ町にニニーい暮らす者達の分まで
生きいーようとしいーた!
『こ、こうし、がぼ! メイ耶ちゃんとくっつくウウーと何だかもう日常に戻れない気が
するルーうよ!』
『ばば! また日常にイイーい戻るわよ! 出ないとメイ地を仇名で呼べないいー
わ!』
 メイ耶は顔が少しふやけながラーあもリンゴ色に染まっていーいたかの? それ
は今となってはワシの思いいー込みかもしレーんがの。
『こ、このままオラのことを名前で呼んでくれたらもっと嬉しいーいのにいー!』
 メイ地の思い込ミミーいなのか彼女に認められてとても幸せに感じいーておった
のう。とても幸せに--
『ガッボ! ウワ! 溺れたら良くないいー!
 場違いだけどここで告白するルルーよ! お、オラは--』
 メイ地は泳ぎーいながらも真っ直ぐメイ耶の方に顔を向けおオーるよ!
『オラは君のことがこの世で一イイー番好きだアア!』
 今思えば本者にとって最も赤面するルーん場面--のはずがのう。
『あれ? がっぼ!
 あれ? ど、どうしいーたの? 口から血を出し--え?』
 そのままメイ耶は仄暗いイイーい水の底に落ちていいーったのじゃ。二度と生き
いーたまま浮き上がる事が叶わぬように。
『ああ! バボウ!
 あわわわ……』
 メイ地はラエルティオ町で只一名の生存者となってしいーもうた。彼の心に沸き
いー出るモノは恐怖ではないいー。ましてや怒りいーという耐え難いモノでもない。
 それはのう、悲しみじゃ。
『あああああ、お、オラら、オラ、おおオラら……』
 悲しみもまた周りいーを見る目を遮るモノよ。四方、上空、更には氾濫しいーた
水に潜むあらゆる銀河連合が迫っても気付く事は叶わないいーのじゃ。
『も、もうオラにおはいわ……』
 メイ地の言いいーたかった事は何だろうかの? 多分--オラにいーはもう生き
ルルーる理由が見つからないよ--と推測しーいようか?
 いずれにせよ全周囲に迫る銀河連合は最後の生き残りリリーすら逃さないイイー
ようにメイ地を食らってゆくだろう……」
 え? これで終り? ま、まだ続きがあっても良いでしょ!
「これでラエルティオ町の悲劇は終わるかの?
 後味の良くない終りいー方じゃがこれがワシが語った真実じゃ!」
「こ、これで納得いくんの? こんなの悲しすぎるん!
 メイ地さんが助かっても良かったのに!」
 こんな話は認めない! 救いがあるん話を信じてたのに!
「救いーいを求める事がお嬢ちゃんの言う真実かのう?」
「ええ! あたしはそれを信じて樹林さんが話すん物の語りを聴きました!
 なのに! なのに!」
 あたしの両眼には涙が溢れていた! これはあたしにはわかるん!
 これは望みが離れてゆくん時に流れる涙だって!
 あたしは希望を信じてたのに! 信じてたのに!
「あたしは、あたしはそれを代々語り続けるんのですんか?
 樹林さんが語るん真実を! 希望がどこにもない物の語りを代々伝え続けるんの
ですんか? 教えて下さい、樹林さん!」
 樹林さんは二杯目のお茶を全て飲み終えた。だから何なの?
 それが何を意味するんの?
「わしが語るモノは真実だ。それはお嬢ちゃんが一番よくわかアアーっとる!
 だが必ずしいーも透き通る真実とは限らないーいぞ!」
 ? どうゆう意味?
「真実は一つんじゃないの?」
「出来れば一つじゃ! それがワシの真実!
 だがお嬢ちゃんはお嬢ちゃんだけの真実を見つければいイイーいのじゃ!
 ワシなんかの真実よりイイーも真実味があルルーやもしれんぞ!
 ワシはお嬢ちゃんにーい語る物はお嬢ちゃんに種としいーて植え付けたのじゃ!
 それをどのように咲かせるかはこれから先ワシの後を継いーいだお嬢ちゃんが
決めればいーいい事じゃろう!」
 決める。あたしが!
「でもあたしには樹林さんのように上手くん話を伝えられないよ!」
「そっくりそのままで良いーいとは言っとらんだろう!
 ワシの話に納得がゆかないのならお嬢ちゃんの手で真実を紡げ!
 話の筋が見えるルルーのならお嬢ちゃんだって出来るはずじゃろうて!」
 話の本筋? そっくりそのままでない? 出来るんかな?
 そもそもどうして樹林さんが話の本筋なんか言ったのだろうん?
 メイ地さんが死なずんに済む話なんかあたしには……え?
 そう言えば樹林さんの名前って確か樹林メイ土だったよね? それに何だか話の
中に頭に関する事や綿毛の事ばかり出た気が?
 もしかして語りに登場する青樹メイ地さんってまさか!
「どうしたかの? 無理ならそレレーんで良いーいのじゃぞ!」
「いえ! あたしなら出来るんわ! この物の語りはもしかしたら秘密があるんと
思うん! やってみますん! あたしの手で続きを!」
「その眼じゃ! ならばお話の続きとやらを今度はワシが聴く番じゃアアーのう!」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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