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一兆年の夜 第百五話 時間旅行 相対性学者アインズ・シュラインタイルの理論(七)

『--其の銀河連合はあろう事か指揮官型と来たモノじゃ。人族のように安定しながらも
鬼族のように力強く、蟻族のように幾つもの腕を生やし、御器齧ごきかぶり族のように用意周到で
チーター族のように俊足で象族のように身体能力が高い。前に襲来した象族に比べて
遥かに可能性が無い。万ではない。億でもない恐らくは兆でも桁が足りない。わしらの
考えは一致する程に勝てる可能性が無かった。確実じゃないのはやはりわしらはまだ
死ぬ時ではないと因果律が定めているからだろう。だが、其れはあくまで条件が比較的
まだ大丈夫な時だけ。今度のは無理だ。特にわしの自宅は絶海の孤島故に普段から足
を運ぶ生命は殆ど居ない。前みたいに生意気小僧と謙虚な若造の計三名が足を運ぶと
いう偶然があった。ところが今回はない。何時も手紙を受け取ってわしは予定表を記す。
まあわしは少しだけいい加減な所があるので予定表に記さない場合もある。だが、
ガン流豆さんが居るなら彼が代わりに予定表を記す事だって有り得る。だから今回の件
では一の週以内に来る予定の頭脳労働者が一名も居ない。此れでは如何しようもない。
故に指揮官型との戦いは命懸けと成った。
 さて、では何故こうして無事に執筆出来るかを紹介しよう。其れは太間ガン流豆の
再開発した時間旅行機に命を救われた為である。と同時にわしとガン流豆さんは永遠に
再会する事がなかった。時間旅行機の起動が我々の予想を遥かに超える早さで進んだ。
ガン流豆さんが仕込んだのか或はガン流豆さんでさえも予想しない事態が起こったのか?
其れを知る術は永遠にない。何故なら開発したガン流豆さんが時間旅行してしまったの
だからな。出来ればあの時に因果律の乱れを恐れずに製法の何か種に成る様な話でも
聞き出す事に成功すればわしは自らの到達点である宇宙相対性理論を完成へと導いた
のに。
 悔やんでも仕方がない。わしは言ったじゃないか、遠回りこそ一番の近道であると。
相対性理論が示した質量を波に変換する公式も更には光速こそ絶対であり、此れを
超える代物は一つもないという常識を確立したのもわしだ。仮に光速に近付いても周り
だけが大きく進んでゆくという結果が出ている。逆に光速と一致すれば時間は永遠に
停止する。だが、そんな事は有り得ない。故に光速に近付けるだけで光速其の物にとって
代わる事は出来ない。そして光速を超えると待ち受けるのは時間の逆行。故に近道は
遠回りなのだ。光速に於ける常識がある限り、急ぐのは逆に遠回りと成る。ならば
残された答えは唯一つ。其れが遠回りこそ一番の近道。わしらは急がず焦らず進んで
ゆくしかない。そうして真理に到達してゆくのだ。
 そろそろわしの筆が全然に全然に愈々だな。ではわしは先程から待っておる取材に
応じないといけなく成った。続きは又、今度にしよう。
                       著者 アインズ・シュラインタイル』

 ICイマジナリーセンチュリー二百五十四年一月八十七日午後六時一分三秒。
 場所は不明。
 --其れが今回の結末ですか?
「貴方方は如何して一族を挙げて今回の話の真実を追うのだね?」
 --何故なら我々の先祖は大昔に太間ガン流豆に取材したのです。でも詳しい真実は彼から知る事が出来なかった。其処で我々は一族を挙げて匿名の生命を見つけ出し、こうして突撃取材を敢行するのです。其れで納得いきますか?
「成程ね、貴方方が其の子孫だったのですね。何故ね、其処迄真っ直ぐ取材を試みようとするね?」
 --遺伝子に記された記憶ですかね。其れは科学的な話ではないでしょう?
「質問に質問で応酬しないでね。全くね、困った一族ね」
 --では最後にアインズさんの最後の著作である宇宙相対性理論は完成されましたか?
「誰から聞いたか知らないけどね、全然ね。君が預かってくれないかね。今から取り出して来るから待っててね!」
 其れから明くる日の午後十時零分一秒……取材中にアインズ・シュラインタイルは齢三十六にして九の月と三十日の人生に幕を閉じた--だが、太間ガン流豆の物語はまだ終わらない!

 ICイマジナリーセンチュリー二百五十四年一月八十八日午後十時零分一秒。

 第百五話 時間旅行 相対性学者アインズ・シュラインタイルの理論 完

 第百六話 時間旅行 理論研究者ゲロルギー・ガーモスの突発論 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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