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一兆年の夜 第百四話 時間旅行 物理学者シュレイ・ディングァの思考実験(六)

 一月七十三日午後十一時七分四秒。
 場所は真古天神武テオディダクトス大陸サッカス地方西サッカス町ショーイ・ノーマグの家。
 屋上にて太間ガン流豆が時間旅行機の修理を完了させた。其の様子を確かめに梯子を使わずに自力で駆け上がるショーイ。
「もう直ぐ行くのにゃ、ガン流豆さん?」
「アア、ソウダ。オレはもう十分に時間旅行を経験シタ。ソレニ此れ以上、昨日の時代の生命が明日の時代に関わるのは余りにも足を引っ張る事案ダ。ソロソロ俺は今度こそ帰還しないといけない時がキタンダ」
「ああ、そうゆう過程で……でもこう考える事は可能じゃにゃいかな?」シュレイは次のような矛と盾を出した。「本来は存在自体が有り得にゃいガン流豆さん……ところがガン流豆さんが時間旅行出来たのは即ち、本体は未だ昨日の世界に留まった状態……そう仮定すれば納得行くのではないにゃ!」
「チョット待て……其れも重ね合わせジャナイカ!」
 あ……しまったにゃ--矛と盾を出したつもりが又しても箱の矛と盾を提示してしまうシュレイ。
「マア量子論の確率的な話は確かに俺も納得がゆかないと考えてしまう事ダラケダ。イッタイゼンタイ何故観測する前と後ではこんなにも違いが現れるノカ? ナゼ観測すると観測物は変化するのか……ナドナド」
「箱はわしが考えた事にゃ。ハイゼ先生の唱えた理論への対処法として出したつもりが結果として頭脳労働者達との間で変な議論を巻き起こしてしまったにゃ」
 ダナ……箱の中が如何成っているかは確認するまでわからないじゃあ、ナア--ガン流豆は呆れながらも既に試運転を終えて既に元の時代に還る準備に入った。
(あ、此処で話を終えたら……少しでもとどまるよう説得しなくてにゃ!)
 まだまだガン流豆に留まって欲しいと願うシュレイ。彼は……「あ、後一の週より後だけ留まってくれないにゃ?」とわかりやすい言葉を述べる--遠回しに説得するよりも明確に伝える方が良い、と。
「ソレハ出来ないソウダンダ」だが、ガン流豆は時計回りに取っ手を回す。「デハそろそろ俺は其の二つに分かれた内の一つに帰還する……短くも長い間だが、世話にナッタ。ジャアナ--」
 時間旅行機は強烈な光を放出してシュレイを半径百メートルまで吹っ飛ばした--幸い、たまたま通り掛かったゾウ真が長い鼻で偶然にも引っ掛けていなければ間違いなく墜落に依る甚大な打撃を避けられなかっただろう。
(ウググ……目にきついにゃ、あの光は。そ、其れよりもガン流豆さんがにゃ!)
「ど、如何したんだぞう?」
 ガン流豆さんが此の日に帰るんだ……帰るんだにゃ--シュレイは伊丹が残る状態でありながらも全身の筋肉を駆使して自宅へと走ってゆく!
 痛みが気に成りながらも尚も走るのを止めないシュレイ。そして、屋上を含めてほぼ全壊した自宅を見て……シュレイはある者を発見する--中央で分解されながらも義翼である右翼の先端を亡くした状態で気を失うガン流豆だった!
「ガン流豆さああんにぃ!」
 シュレイは駆け付ける。後からゾウ真もガン流豆の無事を確認するべく、足音を鳴らせながら近付いていった……

 八十日午前十時二分四十八秒。
 場所は不明。
 --成程、其れが今回の話の結末なのですね。
「ええ、ガン流豆さんの時間旅行機は起動しにゃかった。結果、光だけを放ったまま彼を此の時代に留めてしまったにゃ」
 --ずっと時代を跳び続けた時間旅行機。然も、当の太間ガン流豆は其の分だけ精度を高めて言った筈なのに……今回だけは成功しなかった。其れは如何してなのですか?
「其れは時間旅行にも何か理由があるのにゃろう。例えば銀河連合と関わるかそうでないかにゃ……待てよ」
 --何かわかったのですか?
「銀河連合が死ぬ際に偶に放つという銀色の光について思った事があるんだにゃ」
 --あれは此の時代の結論では歪みや流れ星と関係性が深いとされますが。其れと時間旅行が密接に関係するのですか?
「ひょっとしたら……だにぃ。重ね合わせの状況にゃから詳しい事は正直わしからはわからにゃい。但し、仮定を唱えるのだとしたら……時間旅行には銀河連合の魂と密接に関係するかも知れにゃい。其れが本当ならば銀河連合自体はとんでもない波動を秘めているかも知れにゃい」
 シュレイ・ディングァの物語は此処で終わる……が太間ガン流豆の物語はまだまだ続く。

 ICイマジナリーセンチュリー二百五十三年一月八十日午前十時五分零秒。

 第百四話 時間旅行 物理学者シュレイ・ディングァの思考実験 完

 第百五話 時間旅行 相対性学者 アインズ・シュラインタイルの理論 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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