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一兆年の夜 第百四話 時間旅行 物理学者シュレイ・ディングァの思考実験(二)

 一月六十六日午前十一時一分四十八秒。
 場所はシュレイの自宅。一階遊戯室。
 其処では昨の年から年に一度は集まるとされる下らない会談。中身は常に『円は如何して円なのか?』、『一、二、三、四、五、六、七、八、九、零……果たして此れだけで数学は成り立つのか?』、『零があれば無理数と呼ばれる平方根、虚数、円周率、無限といった物は必要ないんじゃないか?』、『「私は正直者ではない」は本当に正しいのか?』、『偶数で全てが割り切れるというのは六の存在のせいで台無しじゃないか!』等々ちょっとした論理上の疑問に無用な時間を割いて一の日中宴を楽しむという催し。
「今日は少にゃい」
「仕方ないね、ほらね……あれね」やや喋りが円滑じゃないのは齢三十二にして九の月と八日目に成る六影鴨族の中年アインズ・シュラインタイル。「そうそうね、みんな忙しくて余裕が持てないね!」
「其れで俺を含めぶ四名かう?」齢二十三にして一日目に成るタゴラス牛族の青年ゲロルギー・ガーモスは要数が少ない事を有難がる。「其の方が円滑でいっけんどうな!」
「タシカニそうだけど、其れじゃあ議論に深みがデナイゾ!」
「あんたみたいな昨日の時代から来た生命にはわからないだろうが、数が多過ぎると折角挙げたい題目も出せないって話が良くあるうぜ。其れなら少なう方が良っに決まっとう!」
「そうゆう事にゃ。ならばさっさと--」
「待つね。えっとね、うーんとね……そうだね。辛汁はまだ残ってるね?」
「昼食かう、全く頭脳労働者というのは如何して理に屈した者達ばかりなんだう」
 其の侭、昼食会と成った。尚、ちょうど火を灯す物が無かったのでガン流豆はシュレイから貰った百マンドロン分を貰い、燐棒を購入しに出掛ける。其の間にシュレイを含めた三名は皿を並べたり、保冷庫に保管された昨の日に買った野菜類と調味料を使って昼食用の料理を作り始める。
 だが、三名の中でも作業が遅いアインズは何事にも二名を困らせる。
(アインズは困った生命にゃ。頭こそとんでもない程で相対性理論も含めてセミジャック・ミーント以来の物理学の常識を一変させる逸材だと耳にすにゅ……が日常生活の上ではとんでもない程に出来が宜しくにゃい。神々は再起活発な者に二物を与えにゃかったか!)
 そうは思ってもシュレイは作業しつつも次のようにも考える。
(だが、其れでもこんな重ね合わせの事実をわしは認めにゃい。箱の中の銀河連合の生死を箱を開ける迄に決めなくて如何すにゅ!)
 箱の中に閉じ込められた銀河連合の矛と盾について思索するシュレイ。彼が昼食が出来上がり、更にはガン流豆が戻って来るまでに次のような事を考えていた。
 若しも望遠刀と望遠弾ではなく、鉄玉が転がると左右から押し潰す装置だったら如何成るか? 其れならば……音が聞こえて銀河連合の悲鳴も耳にしよう。だが、望遠弾に比べて何か噛み合わない……そう、やはり箱の中には望遠刀で後頭部を突き付ける状態で箱を閉じる方が決まりが良いと考えたシュレイ。
 オマタセ……ところで彼も参加させてイイカ--ガン流豆は買い物中に齢十九に成ったばかりのサッカス象族の少年を連れて来た。
「お前はね、来るんじゃないね。と言うかね、狭く成るね!」
「やあ如何もぞう。望月ぼうづきゾウ真と申しますぜおう」
「ゾウ真君にゃ。わしは良いけど、アインズ君は困っているにゃ!」
「シッテイルノカ、此の坊主のコトヲ?」
「知っているうも何もそやつは今じゃあ量子論業界に於ける最先端を行くのではないかと謳われる秀才だう!」
「ソウカ、此の冴えそうに見えない坊やガ?」
「まあ四名だけじゃ少なかったのでにゃ。其れにちょうど象族の腹を満たせる分も辛み汁が残っていたんにゃ。御飯の量はもっとたかないといけないが……足伝ってくれにゃいか?」
「勿論だぞう!」
「いけないね、僕はお前なんかに翼伝わらせるかね!」
 マアマア--ガン流豆はアインズの説得に乗り出すしかなかった。
(結局賛成多数でゾウ真君の参加を認めたにゃ。昼食は……意外と二の時も掛かったにゃ。何しろ、ゾウ真君の分だけ御飯を炊いたのだから食べる時間も相対的に長く成って当然にゃ。にしてもゾウ真君が出会う事はガン流豆さんが返って来るまでわからにゃい……のだから果たしてにゃ!)

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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