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一兆年の夜 第十六話 語り継がれる物語(三)

 樹林さんは前左足の蹄でお茶碗を器用に持ちながら一口飲んだ。茶碗を左の方
に置くと続きを語り始める。
「二名は河川の氾濫していないーい方へと脱出を始める。ラエルティオ町の各番地
は侵食が進んでおったのじゃ。
『どこもかしこも水浸しいーよ! 東地区の五番地は無事だと思ったけど、ここも
後少しで生命が通れなくなるかも』
『どうなってルー! 何故雨すら降っていないーいのに河川が氾濫すルーん!
 オラ達は河川の神様に礼を欠かないーいように水を使ってルーというのに!』
 二名の会話に反応した者がおったわい。齢二十一にして二の月と三十日目に
なるラエルティオ蜂族の青年がの。
『あ、あのッス。すみませんがッテ。そのことについてぼ、僕は知ってるッス!』
『あ、あなたは放浪蜂のビー音君! な、何かわかるの!』
 メエ耶はビー音と呼ばれる青年の側まで近付き、訳を聞こうとしたわいーいのう。
『一の週より前から挙動がおかしい者達が河川の周りで細工のような者をしていた
んですッス。僕達はその者達は水が欲しくてそんなことをしていると思って放って
置いたんですがッテ』
 今思えばそれはラエルティオ町を水没させルーん為に行った穢れ深きことだと
は。
 話を戻すぞいーい。ビー音は更に続ける!
『僕はその細工が何かとんでもないことの為にやってるのではないかと心配になり
ッシ、今日のお日様が顔を出さない時に東門付近の河川に近付いたんですッテ!
 そ、そしたらあわわ……ウワアアアア!』
 ビー音は恐怖のあまり途中で話を中断して門の外へと飛び立ったのじゃ!
『待ってくれ、ビー音君! は、話の本筋がオラ達にはよくわからないんだが--』
 彼の後を追うように二名は走ってゆくがあまりにも水没しすぎる為か満足に進む
事が叶わんのう。
『ここは泳いーいで追いいーかける以外にないいーわ! 行こう細工無き君!』
『だーカーラーメイ地と呼んでよ、メエ耶ちゃん!』
 二名は泳いーいでゆくのだが、とうとうビー音の姿は彼方まで行ってしもうたわい
いー。二名はそれでも追いーいかけていき、東門を出たノーんじゃ。
 そこには無数の死体があっターあのじゃ。怒りがこみいー上げるようにーい!
『こ、これはどうなってるんだ? な、な、何なの?
 どうして骨が無数にいーあるの!』
『この死体はオラの母ちゃんだ! この右頬の傷は母ちゃんが子供の頃からよく
話しいーた古傷だよ!』
 メイ地は恐怖のあまりすでにいーいないいー母親の話をしいー出しおった! 話を
するあまりいー、口に入る水に気付かんとはのう。
『ゴボボボ--』
『な、何やってルーんのよメイ地! 私達はそんな話をしいーてるルルー場合じゃ
ないわ! 早くここから出ないイイーと!』
 メエ耶はメイ地のおでこにある濡れた綿毛を力一杯噛みついいーた--何本も
抜けながらも侵食されきっていない大地へと彼を運んだアアーよ!
 さぞ痛かろう!
『はばはあ、はばはあ……!
 あれ? ここは?』
 ようやくメエ地は我に返ったのう。右に横向けで倒れたまま瞬きしいーながら辺り
いーの様子を見渡しーいた。
 そしてメエ耶を見つけると真っ直ぐ視線を合わせてこんな事を言ったかのう?
『オラは何をやったのだ?』
『恐怖のあまリーん死んだ母親の話をしいー出しーいたのよ!』
『そうか。何て事をしいーたんだ! これじゃ、じゃ?
 何だ! なぜこんあななな--』
 メエ地は何かを見てしイイーもうた!」
 つ、続きが気になるん所でお茶を飲むんなんて!
「続きはどうんなったの? お茶を飲み終えたら語り始めるんの?」
 私は居ても立っても居られないのに!
「まあ待ちなさいいー! ワシはゆっくり物の語りいーをしたいーいのじゃ。
 だから続きキイーはこの茶を飲み干しいーたらゆっくりイーん語ろうぞ!」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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