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一兆年の夜 第百三話 時間旅行 兵器開発者ショーイ・ノーマグの試作品(四)

 四月四十日午前十時一分一秒。
 場所は不明。其処は名も無き実験場。
(僕だけじゃないよね。シュレイ君も其れからガン流豆さんも参加したよね。特にガン流豆さんは--)
 ガン流豆は自身の十個分大きい時間旅行機を運んで来た。彼は何としても自分の時代に戻ろうとしている事がわかった。其の結果、性能面及び安全性の為に通常よりも凡そ二の倍乗する程に巨大化した。
「時間旅行機が其処迄巨大化をせざるしかにゃい理由は何ですにゃ?」
「ツカワレル動力が少し暴れん坊ダカラナ」
「僕が開発した原子望遠弾の動力源の元ねん……あれはアインズ君の考案した相対性理論の鍵である質量と剛波動の等価性にある公式から質量は剛波動に変換出来る事が判明したよね。だから僕の考えが正しければねん」ショーイは敢えて自らが開発した原子望遠弾を成人体型千も離れた場所に設置する。「此の距離まで僕達が離れないと巻き込まれるねん」
「成程……でもにゃ?」
 ドウシタ……何か安心出来ないのか、シュレイ--シュレイの反応を尋ねるガン流豆。
「ええ、拙者の方程式が正しけれにゃ……此の風が少々此方迄届かせるにゃもしれませんよ」
「風ねん……確かに少し向かい風に吹いてるよね」
「ダガ、こんな小島じゃあ此れ以上下がっての観測は難しいゾ」ガン流豆は自分達が観測する場所である島の半径について説明する。「ヨクテ半径成人体型八十……だが、衝撃波の甚大さはショーイが言ったように船を転覆させる程ダゾ!」
「八十じゃあ足りにゃい!」
「……ま、成るように成れば良いじゃないねん」
 オマエという奴は……蝸牛族とかそうゆう次元を超えて凄い神経ダゾ--ガン流豆はショーイの覚悟に呆れて此れ以上は何もツッコむ事が出来なかった。
 ガン流豆とシュレイを始めとした周りがショーイをそう認識していても当の本者は思う程の心境ではない。
(シュレイ君の計算式が正しいなら乗せられる剛波動は凡そ……成人体型百二十から……八十一位かねん? こりゃあ高い所から海に叩き付けられてどんなに衝撃を逃がす術を持った種族でも全身骨折を感じる前に想念の海に運ばれるねん。水面と言えども凡そ成人体型五十を超えたら幾ら接地面積を極限まで狭めようとも同じ位置で落下し続けてくれるとは限らないよね。だから僅かにずれて部位骨折を超えて内臓に迄衝撃波浸透するねん。ううむ……もう既に線を通す準備も完了したよね。あれ以上長い線はないよね。あっても伸び切った状態は却って危険過ぎるよね。ううむ、もっと贅沢を言えば良かったよね。で、でもねん。でも僕は全生命体の明日の為に貢献するならこの実験中に息絶える事は覚悟しているよね。そ、そうだねん!)
 蝸牛族らしく傍から見れば冷汗自体を確認するのは容易くない。故に心情は読まれる事はない。ショーイは誰かに相談こそすれども悩みの相談をするのは好きではない生命。悩みを打ち明ける度量があればどれだけ円滑に連絡し合えたかわからないと再現望遠弾計画の参画者達は一堂に言葉を揃える程--其れだけショーイは秘密主義者の傾向が強い!
 恐らく三つの誤った算出の中で最も心の底で死を覚悟した物だろう……距離の算出を誤るという事は。彼は剛波動が放つ衝撃の範囲までは誤っては居ない。いや、実験時に誤らないようにわざと威力を低く設定して今日に至った。彼はアインズの導き出した公式通りに実現した時に僅かな質量だけでもどれだけの剛波動なのかを計算し、頭で設定した上で自らの直感に導かれるようにわざと下方修正をした。だが……当の日の風向き及び風の強さ迄計算に入れなかった事が誤った算出として立ちはだかる事に成った。
 では二つ目の誤った算出は……何とショーイから見てやや左眼の視界に映る何か--其れは三体とも第一背鰭を見せ付けるように原子望遠弾に向かって突き進んでゆくのが確認された!
「アレハ……イカン!」ガン流豆は時間旅行機に乗り込んで動かし始める。「オレミズカラノ翼であいつら三体を引き付けにユク!」
「え、じゃあ拙者も--」
 イヤ、シュレイはショーイと共に実験結果を見届けてくれい--ガン流豆は起動させた時間旅行機を動かして真っ直ぐに三体の銀河連合と思しき影に直進する!
(……まさか二つじゃなくて三つなのかねん!)
 此処に来てシュレイは三つ目の誤った算出を知った!

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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