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一兆年の夜 第百三話 時間旅行 兵器開発者ショーイ・ノーマグの試作品(一)

 七月四十二日午前十時二十一分三十八秒。
 場所は新仁徳島東地区禁止区域。兵器研究所一階食堂。
 兵器研究所は主に地上二階、地下十階で構成される。然も、兵器を生み出す為に十階も掘り下げられた訳ではない。其処には天同躯央くおうの提示した内の一つである全建物の要塞化と呼ばれる物を構築する上で重要と成る耐震強度の研究も盛り込まれる。
 其の話は余裕があれば改めて説明するとして現在はショーイがガン流豆と共に昼食前に辛汁からみじるを作る為に馬芹うまぜり小荳蒄しょうずく桂皮けいひく香菜こうなく大蒜にんにく宇金うこん生姜しょうがを磨り潰してゆく。二名が作るのは明くる日の朝食用の辛汁御飯--特にショーイは辛汁御飯を大好物とする。
「野菜は切ったよね?」
「モチロンダ……だが、如何して其処迄あんな糞の色をした--」
 コラよね……辛汁が食べられなく成ったら如何するんだ--遠過ぎる過去だろうと其れと比較して話すのは食欲を逃がす禁じの文句である。
「ワカッタワカッタ……わからんな、こんな辛い物を御飯に掛けて食べる生命の気持ちナンテ!」
「辛いのではないねん。美味いんだよね。食べる前の香ばしい匂いが食欲をそそるよね!」
「ソレハ発明する上でも高揚の維持に繋がるノカ?」
 其の通りよね--遠過ぎる過去であろうとも辛汁御飯は童心を擽るのである!
 尚作られるのは辛汁だけじゃない。わざわざ仕入れたアルキバームクーヘン一切れやアリスト豆二十八粒、応神玉葱三個にソクラさくらんぼ五つにタレス芋三つ……と蝸牛族一名と雁族一名では余りにも量の多い辛汁御飯を作る模様。
(此れ等は辛汁を入れる前に炒める物よね。いやあ助かったねん、ガン流豆さんが居てくれてねん。彼が居なかったら二の日も掛けるかも知れなかったねん。如何にも僕達蝸牛族は動きが他の種族に比べて迅速に成れないよね。まよね、其処は種族の性よね。さてさてねん、此れが終わったら昼食の時間と腹休めに少しガン流豆さんの仕事の翼を緩めるような--)
 イッテオクガショーイ……俺の作業の妨げをするような禄でもない話をするナヨ--とガン流豆は念を入れる。
「あららねん、気付かれたねん」
「フウ……空中種族に米洗いは余りにも厳しスギル」其の理由は米を洗う際に手羽先を使う為に左翼に幾つか米粒が絡まる。「ダガ、此の研究所には二名しかイナイ。シュレイが所用で外出しなければ--」
 其の時、扉を叩く音が聞こえる。ショーイが扉へと近付く前に開いた木の扉より齢二十三にして三十日目に成るサッカス猫族の青年が現れた。
「全くショーイさんは何時も気軽に玄関へと滑り込む物を作ったら如何にゃ?」
「其れは其れよね、此れは此れねん」
「キタカ、シュレイ」
「全く今の物理学会はみんな確率を信じ切っていにゅ。こんな事では明日が危ぶまれるにゃ」
 まあまあねん、其れよりも足伝ってくれるかねん--ショーイはシュレイの到来を待ち望んでいた。
「良いにゃ、ちょうど帰って来たばかりにゃ。何、辛汁かにゃ?」
「アア、結構な量を作るソウダ。ツバサツタウカ?」
 嗚呼、良いともにゃ--若き物理学者シュレイ・ディングァは即答した。
(辛汁御飯もそうだけどねん、電撃望遠弾だって同じだよね。製法さえ整えば後は……ねん)
 辛汁の製法からショーイは製造法へと至る道へと邁進してゆく。類まれなる才能は常に禁忌と隣り合わせで在った……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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