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一兆年の夜 第百二話 時間旅行 量子学者ハイゼ・ベルルグの仮定(五)

 午後零時三分一秒。
 ハイゼは自らが囮に成る事でガン流豆に一撃を与える機会を作る。自らの命を懸けて鷹型に挑む。だが--
「う、うおおおあーああ」鷹型の鋭い足の爪に右前足の脛を突き刺され、思わず怯んでしまう。「何ーて鋭ーさだあ!」
 ハイゼは痛みに耐えながらも何とか他の三足で鷹型を掴む--だが、右が使えなければ左を使えば良い……と言う基本を知る鷹型は左足の鋭い爪でハイゼの両眼を切り裂いて脱出!
「ウグーウあああ……ハアッハーア」幸い、両眼共充血するだけで済む物の視力は著しく低下し……「クソ、あんなー距離でもぼやーける」ハイゼは行動する為に必要な視覚情報を得る事が出来ずに深慮に走る。「何処かーら来るんーだあ!」
 其れを見逃さずに鷹型は左右に揺れながら高速でハイゼに向かって突入。後少しでハイゼの喉元に鋭い爪が--
「サセルカアア!」と其処へ未完成の時間旅行機を両足で抱えながらガン流豆が両翼で鷹型に圧し掛かる。「ウオオオ!」
「此の声ーは……ガン流豆ーか!」
「ウオッ……ああ、此れから俺は少しだけ再び旅行を始めるかもシレナイ。アルイハ其の侭、時空間の中で……最期を迎えるかも知れないな!」必死に抵抗されながらも地面に置いた時間旅行機の起動を始めるガン流豆。「キット俺の存在は昨の日の世界では消えてなくなるかも知れない……じゃあな、ハイゼ・ベルルグ!」
 起動引き金を右足で力一杯下げる--と同時に鷹型が飛翔を開始してしまい、ガン流豆は一旦離れる事に!
「ガン流豆ー……ってー何と眩しいんーだああ!」
「コイ、ギンガレンゴウ!」大声で誘わせるガン流豆だが、鷹型は其れに乗る。「キタナ……倒してヤル!」
 鋭い右爪はガン流豆の左眼を貫く--だが、其れはガン流豆の読み通り……其れを利用して両足で羽交い絞めすると力一杯に時間旅行機迄翼を羽ばたかせる!
 そして……ガン流豆と鷹型を呑み込んで時間旅行機はハイゼを建物の外に迄弾き飛ばした!
(何てー火力ーなんだ……体に重く圧しー掛かり、受け身をーする事も出来そーうに……意識ーが、ぁ、ぁ--)

 四月三十三日午後三時七分八秒。
 場所は中央地区新仁徳島総合研究所一階第二待合室。
 --其れが太間ガン流豆との別れなのですね、ハイゼ・ベルルグさん?
「ええ、そうですーね。あの時は意識ーを失い、取り戻した時ーには既に僕の研究室も光のー中に吹っ飛ーばされて折角ーの研究成果がー全て時間旅行機ーに持って行かれてーしまったーよ。本当にガン流豆も碌ーでもない事ーをしてくれましたね」
 --そんな彼に対して貴方は如何して助足にしたのですか?
「あの著者でーある太間ガン流豆ーであるかどうかに興味ーがあったのです。若しーも本物ーであるならどのようーにして時間旅行機ーを作ったのーか、そして僕ーの理論がー何処まで正しーいかも証明したくーてね」
 --其れで結果は如何成りましたか?
「やっぱり僕の仮説ー通りだった。全生命体ーは何れ、観測では如何しよーうもない壁ーにぶち当たるよ。其れにー彼の時間旅行がー正しいーとされるのなら昨の日ーの時代は少しでも変化ーがあって当然だと思った……でも変化はーない。想定の外ーだろうと観測記録では限度ーがあると改めーて立証されてーしまった。正面困難性の原理ー……まだ仮説の段階でしかない僕のー理論は近いー内に形と成るーだろう」
 --つまり、二名の出会いも既に命の運ぶが如く?
「いや少し異成るーな。抑々ー、僕とガン流豆ーの出会い自体がー偶然だったんだ。必然ーではなかった。そうするとー命の運びーは随分と適当ーではないか、僕ーはそう思えてー仕方がなーい」
 --成程、わかりました。わざわざ忙しい中で時間を取って貰い、有難う御座います。
「此方こーそ如何致ーしまして」
 物語はまだまだ続く……

 不明。
「大丈夫よね? ねえ、大丈夫ねん?」
 齢二十七にして九の月と五日目に成る仁徳蝸牛族の青年が声を掛ける。
「ウウウ……此の声、ハ?」
 太間ガン流豆は三度時を駆けるのである……

 ICイマジナリーセンチュリー二百四十七年四月三十三日午後三時十分零秒。

 第百二話 時間旅行 量子学者ハイゼ・ベルルグの仮定 完

 第百三話 時間旅行 兵器開発者ショーイ・ノーマグの試作品 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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