FC2ブログ

一兆年の夜 第百二話 時間旅行 量子学者ハイゼ・ベルルグの仮定(二)

 午後十一時二十八分十五秒。
 場所は中央地区。其の中で五番目に大きな建物の三階二号室。
 ハイゼは寝ずに日夜や研究する。研究の為に使われる小蝋燭の数は一の日に平均七本。使われる燐棒は七本。ハイゼは明くる日の一の時まで研究を続けていた。
(本当はこんな時間にー成るまで研究するもんーじゃないんだけどーなあ。でも、気に成ってー気に成ってー仕方がないんだーよ。本当に科学は何でーも出来るのかって思ってなーあ。実は何でーも出来なくて息詰ーまる結果に繋がるんーじゃないかーって思い始めたーんだ。何だかー、粒子が波ーなのか粒ーなのかを観測器ーを付けるのと付けーないのとでは何だかー違う気がすーるんだよなあ)
 其処へ誰かが入る音に気付くハイゼ--振り向くと其処にはガン流豆が欠けた先端の右翼を自分に向けて入って来るではないか。
「其の失われてしまった物ーを僕に向けて如何したんだーい?」
「モウ寝たら如何ダ? ジカンヲ掛ければ掛ける程、必ずしも良い成果が出るとは……限らナイゾ」
 そうーなんだよな……ひょっとするとー科学ーは万能ーじゃないのかもー知れない--ハイゼは其の懸念を己以外に告げる。
「バンノウじゃないだと……じゃあ俺が此の時代に跳んで来たのは何ナンダ!」
「何故そうー思うんーだ……そーうか!」
 ハイゼは次のように考え始める。ガン流豆が如何して次の時代に跳ぶ事が可能なのかを。
(若しも時間ー旅行が可能だとしたら科学万能説ーに繋がる……だーが、僕が発ー見した仮定には科学ーでは如何する事も出来ない壁ーが待ち受ける。立証がー危ういとされる理論物理学ー……だが、時間旅行ーは可能だった。此の食い違いは何処から来るんだ。何故ガン流豆ーは遠い明日ーに跳ぶ事ーが出来たーんだああ!)
 ハイゼが恐れる科学では如何しようも出来ない現実の壁。立証困難な壁が証明されたのと同様に突如として現れた時間旅行をしたという事実--どの世界に行こうともぶち当たる理論と現実の乖離--ハイゼもガン流豆も何故此の様な食い違いが起こったのかを幾ら探っても正しい答えに辿り着けない。
「……ネヨウカ、ハイゼ」
 ああー、そうだーね--二名は余りにも困難に糸が絡まれば無理して直さずに一旦休んでから直す事を重視する頭脳労働者だった。
(まあ考えーても始まらーない。一般生命史ーに於いーては一般生命ーはわからないとー思う事実ーには何とか血涙或ーは吐血してでーも困難を克服しーたって話はー良く聞く……が実際ーは大体ーが後世のー生命に依るー創作話或は誇張話ーが大半だったと聞ーく。何でも当時の身体能力ーの乖離やら其の時の環境ーの相違ーやら……色々あるか或ーは語り伝えの過程で大袈裟ーな口伝者が無理に面白おかしくしたー結果が多いーんだな。だから昨ーの日も今ーの日も其れーから明くる日もー僕達のやる事はー変わらない。一般生命ーが高い段階まーで上がっただの何だーのは後世の者達ーにしかわかーらない。実際ー、僕達は進んだーと思わない……だが、後世ーでは僕達は進んだ事ーに成るんだなあ)
 ハイゼは一般生命体の寿命も科学の進歩も結局は後に成れば大きく進歩したと誇張される事と成る。そう考えて寝床に向かうまで全生命体の進歩の緩やかさを深く考察してゆく……

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
リアルタイムカウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR