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格付けの旅 デュアン 旅立ちまで後一週間 天空島 後篇

 高身長化……其れは身長が高い事は即ち憧れである。高ければ届かない所も手が届く。高ければアトラスのように空を支える事も出来る。正に高い事は正義である。だが、同時に幾つもの問題もある。高いと通常作業に於いて腰痛に成りやすい。経験した事があるだろう、高身長の皆さん。高いが故に首を曲げて或は腰を曲げて作業する事の辛さを。後は天井に頭をぶつける事多々。そうゆう訳で高い事は必ずしも良い事ばかりでは無いのも又、事実。さて、高身長について語ったが高身長化の要因は幾つかある。スポーツ競技をする為に意識して高身長化するケースや食事の量が要因と成って高身長化するケースもある。後はカルシウム高身長化論もそうだ。牛乳を飲めば身長が伸びるという迷信は現代でも良く信じられたな。ま、太るだけだがな。所詮牛から出た乳を飲んだ所で蛋白質を摂取して肥満化を齎すだからな。まあ、他には高地或は寒冷な所に向かう程人間は高身長化するという説だ。此れだけは現代でもある程度は証明される説だから覚えておけよ。何故なのかを説明するのは面倒なので各自調べるように。
 俺は高地寒冷な場所が天空島の人間を高身長化させたと考える。餓鬼共の案内と何とか餓鬼共の両親の内の比較的寛容な奴等と話をする事に成功した。
「ええ、平均身長は女性は九『フィン』で男性は十『フィン』で収まりますわよ」
「つまり……女は274センチで男は300センチって訳か」
 あんたは俺達の言語をペラペラですなあ--と身長三メートル五十はありそうな男は俺を見下ろしながら呟いた。
「其れはな……翻訳魔法を使ってあんた達の言葉を俺なりに解釈してる為だ」
「そうかい、其れにしても地上の人ってのは……小っちゃいなあ」
 言うな--此れが天地の違いか、と俺は思ったな。
 フィン……其れは別世界ではフィールム或はフィートと呼んでいるかも知れない元々足を表すフットを測りにした物。まあ別にしても一フィン当たり大体30.45から30.48までを表す。つまり九フィンは274センチ或は275センチ位だと思えばわかりやすいだろう。まあわかり辛かったら普通にメートルで目盛りを図れば良い。まあ要するに細かい数字が嫌ならフィン或は『イーチ』で測れば良い。だがまあ覚えておくと何かと便利でもある。俺は覚えんけどな。
 あんた、意外と説教臭いだろう--餓鬼の父親は俺の事をそう認識する。
「否定はしないな。何でも格を付けたくなると如何しても誰に対しても口説く性格に成ってしまうな」
「いいえ、其れは此の天空島では素晴らしい事ですな」
「素晴らしい?」
「ええ、天空島の支配者層はみんな説法に日夜明け暮れるのですわ」
「そうそう、『説法家』っていう階級の人達で天空島は運営されているんだよ」
 少し理解を早めたい……階級について教えてくれないか--俺は此の家族に気に成る事を質問してゆく。
 其処で俺は階級について知る。何でも此処では二つの階級に分かれる。先ずは『説法家』と呼ばれるえっと……紹介しようか。
 説法家……其れはデスクワーク等を担当する言わばホワイトカラーのような存在。常に現場よりも会議の事に頭が回りやすい。故に現場への知識よりも発展の事ばかりを口にして混乱に導く事が多々ある……というのはブルーカラーの偏見。実際は彼ら成りにも現場の事を思って考えている。革新的な事柄を考えるのも全ては現状では停滞する事を恐れるが為。停滞は即ち、慢心にも繋がる。慢心していては守られて来た物に支障をきたす事だって有り得る。其れを如何にかしようと頭を回した結果、現場警視に繋がりやすい。其れだけでしかない。説法するのも全ては身体ばかり使って頭を使わない者達に勉学の大切さを教える為である。だが、上から目線なのかブルーカラーこと『翻訳者』達は不満を募らせる毎日。
 翻訳者……其れがブルーカラーに位置される者達の事。常に説法家の意見を解釈して仕事に従事する者達の事だな。天空島では彼等があれこれの仕事をし、現場を何とかしている訳だ。翻訳者らしく解釈に頭を使って発展的な事は二の次に成りやすい。其のせいもあって常に『ルサンチマン』を募らせてゆく訳か。
「『ルサンチマン』?」
「其れは気にしないでくれ。俺の独り言だ」
「ふうん、独り言ねえ」
 さて、俺も翻訳者呼ばわりされる始末。因みに彼等は『説法家』の階級に属する。故に一日を机の上で過ごしたり、昼休みに成ると球遊びや紙作業に一日を費やす模様。翻訳者みたいにトラブルの度に余計な目に巻き込まれる事も無ければ吸い上げ機の不調の度に誰かが墜落死するような目に遭わずに済むそうだ--何という事だ……そりゃあ上下の対立が起こらないなんて有り得ないな。
「じゃあ僕がおじさんを案内してあげるよ」
 おじさん……か--俺はそう呼ばれるのを余り好かん。
 そうゆう訳で俺は餓鬼に案内される形で『工場見学』の如く天空島の様子を見て回る。
 工場見学……其れは企業にとって未来の『社畜及び働く奴隷』を誘う為の表向き綺麗な現場を見て回らせる見学の事。一見すると小綺麗なメニューを見せられる訳だが、実際は至る所で誇りが目立ち、「こんな筈では」と将来入った者がそう言わせるまでに徹底して綺麗な所だけを見せられる見学の事。だからこそ気を付けるように。此れは工場見学だけじゃない。人間関係でも重要だ。見合いにしろ、一見すると気の合う者同士と思っても結婚後に明らかと成る幾つもの価値観の相違及び細かい粗……そしてDVと夫婦喧嘩の末の破局。決して彼等は素人目でこんな目に遭うのではない。表向きの素晴らしさに囚われ過ぎて全体を把握するという作業を怠ったが為に起こるのだ。良いか、お前達……表向きなんぞ幾らだって取り繕える。しかし、人間を見る場合は其処じゃない。観の眼で捉えるのだ……其れが悲劇の連鎖を食い止める事にも繋がるからな!
「又独り言お?」
 何、おじさんは友達が居ないからね--俺は失敗ばかりする連中とは違う……粗だって認めるだけの度量は持つ。
「僕が友達に成ろうか?」
「気持ちは嬉しいが、おじさんは少し頭が回り過ぎる……故に君の友達に成る事は出来ないね」
 其れ悲しいよ--と餓鬼は落ち込む。
「傷付けた事は謝罪するが、だが、事実だ。こうゆう場合に俺は嘘を吐くような真似はしない」
「如何してそんなに一人に成りたいの?」
「別に一人に成る事に喜びを持つ訳じゃない。けれども俺は他者に手を差し伸べる程、出来た性分じゃない。ま、餓鬼は俺みたいに成らずに仲間に群がる事の意味を知るんだな」
 そりゃあそうだよ、だって『友達百人作る』のが夢でもあるもん--と俺からすれば大いなる欺瞞である言葉を使う餓鬼。
 友達百人作る……其れは下手すると友愛思想に等しい危険な言葉。何が危険か? 其れはそんなに自分と気の合う友達が果たして百人も居るのか? 其れ以前に百人共価値観が違っても友達で居られるのか? 居られる訳がない。そう成ると自然と友達=イエスマンで構成された恐ろしい友達関係が構築されたりしないか? そう思うと「友達百人出来るかな?」という歌は狂気極まりない歌である。事実、其の歌は何と空腹で如何しようもない時に友の肉を食べて飢えを凌いだ経験から作られた歌であるそうだ。其れを音楽の時間に平然と歌われるなんて……歌う前に音楽の先生は一回其の歌の意味と狂気を勉強し直して来い!
「又独り言だあ」
 五月蠅いな--俺は子供好きじゃないのでツイツイ本音が漏れちまった。
 さて、工場を見て回ってわかった事が一つ。工場で働く者達には文句を口にするだけのプライドはあっても反抗する意思は今一つない--リベラルは口だけで実態は全てメンテナンスであり、今の生活を手放したくないという思いが行動全てに現れている。
「如何したの、おじさん?」
「いや、ふと思い出した事がある」
「言ってみてよ」
「其れは首脳陣が聞こえない場所で言う物だ……行くぞ、小僧」
 僕は小僧じゃなくてえ--小僧の名前が何なのかを最後まで知る気は全くないし、覚える気もない俺だった。

 俺はデュアンロールを引っ張り出して小僧を其処に収納させる。俺は自力で浮遊魔法を唱えて天空島より高度千メートル高く跳べば良いだけだ。因みにデュアンロール内は冷暖房設備付きだ。
「ウワア、凄いよ凄いよ」
「では話すぞ……此れを放した時、俺は天空島を離れる」
「ええ、何でえ?」
「所詮余所者だ。其れに俺の存在はお前が暮らす島を危険に晒しかねない」
「ねえねえ如何してよお!」
「其れは今から話すから良く聞けよ。良いか……俺の目的は天空島で星を脱出する為の『ノウハウ』を得る事、だ!」
「『ノウハウ』って?」
 ノウハウ……其れは定義上では知的財産権の事を指すそうだ。定義上の事は各々調べてくれ。俺が言うノウハウとは技術の事を指す。技術は飽く迄テクニックだけを指すのではない。経験上培われた結果、出来上がったモノ……其れをノウハウと呼ぶ。故に力自慢だとか優れた知恵を持ち主だとかにノウハウはない。ノウハウとは才能云々関係なしに修羅場をくぐった数、挫折し続けた数、汗水垂らして必死で得た結果得られた集大成……此れをノウハウと呼ぶ。故にノウハウは絶え間ない努力の結晶と呼べる。才能では得られない境地が其処にある。覚えておくと便利だぞ。
「へえ、そうなんだあ」
「ンで話の続きだ。俺には元々誰よりも優れた才能を有する。だが、其の才能は最早天賦を超えて神なる領域に達する。故に俺は存在自体が災いを招く立場に置かれてある」
「へえそうなんだあ」
「才能の話は此処迄にしておくぞ。兎に角、俺はかつての居所を其の才能を駆使して滅茶苦茶にした罪で追われる身と成った。だからこそ俺は此の星からの脱出を試みようと様々な土地を回る……そう--」
 そのノウハウって物を手に入れる為でしょう--と餓鬼は話に割り込んだ。
「……まあそう成るな」此れだから餓鬼は苦手なんだよ。「だからさあ……割り込まないでへえへえボタンでも押し続けないか?」
「ないけど?」
「エアーへえボタンでも想像しろよ!」
「わかったあ」
 はあ--一般的な母ちゃんの気持ちを何となくわかった気がする……そう思い、俺は溜息を吐く。
「其れでおじさんは此処へ来てそんなノウハウを貰って其れから宇宙目指すんだね」
「まあな。宇宙は広大でとてもロマンに溢れる。光さえも広大な宇宙の前では無力だからな。そんな宇宙を俺は求める」俺は青き空に向かって右手を伸ばす。「何れは宇宙を超えて俺自身が宇宙其の物と化す!」
 おじさん……言ってて恥かしくないの--言うな……言った後に気付いても先に言葉に出されたら如何ゆう顔をすれば良いんだ!
「そうゆう訳で俺はお前を島に帰した後は其の侭此の島を出る。如何せ此処の幹部連中も小柄な俺の存在に注意を向けている筈だ。ならば行動に移される前に俺から出ないといけない」
「ええーおじさん駄目だよ!」
「何故駄目なんだ?」
 餓鬼の真っ直ぐ見つめる瞳はまるで折角手に入れた玩具或はペットが永遠に傍から離れるような……そんな風に見えたな。だが、俺は餓鬼に容赦する程、綺麗な大人ではない。
「ああ、駄目々々。そろそろ話しは御終いだ。そうゆう訳で餓鬼よ--」
 餓鬼言うな--直後に唾を吐かれたな……畜生め!
「わかったわかったよ、少年。良いか……俺も含めて大人というのは理屈に縛られやすいんだよ。だからそんな大人達の理不尽に抵抗するならそう成らない大人に成長してゆくんだ……良いな?」
「……わかったよ。きっとおじさんのような大人に成ってみせるよ!」
 俺は最も模範から外れてるんだけどな--俺は餓鬼の純粋さに辟易とした。
 其の後は会話もせずに餓鬼を天空島に帰した。そんで俺はデュアンロールに包まれる状態で餓鬼と一緒に右手を不利Bながら別れを告げたな--確かもう二度と会わなかったな。
 天空島が迎撃態勢に入る前に俺は一秒で島より半径十キロの地点まで一気に移動したな……「あらら、デュアンったら」離れた瞬間に目の前に出現するか、ノイズン・リオートメインめ!
「暇な女だな、テメエは」
「ノイズンよ。レディに対して其の言い方はないでしょ?」
「何がレディだ。俺の見立てでは--」
 歳を尋ねるのは体重同様に女性に対して最もやってはいけない事よ--わざわざ凄みを帯びる殺気を放つ必要があるのか、ノイズンは?
 まあ、確か前にラキから体重について相談されたがダイエットを軽視した発言をしてしまったが為に後で出入り口のドアの鍵魔法を破壊されるという仕返しを受けたな……まあ、扉を壊す事なく修復魔法で直せるから良いけど。其れと同じように女の年齢も体重と同様にデリカシーな話なのだろう……俺にはさっぱり理解出来ん話だがな。
「其れよりも今度は何だ? ひょっとして大気圏離脱の方法でも教えてくれるのか?」
「ねえねえ、デュアン。私とデートしてみない?」
 突然のプロポーズをされる俺だった……何が狙いなのか、ノイズンは?


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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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