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一兆年の夜 第十六話 語り継がれる物語

「ここが応神諸島かあ」
 新プラトー村の港からあたしは応神木で出来た船に乗ってここ応神諸島にやって
きました。えっとここは南西応神島だったかな? 忘れた。
「お嬢ちゃん! ここハア南東応神小島! 船を着けるノオも大変だっタアゾ!」
「そうんだったわ! あたしって頭が良くんないわ。さあ降りようん!」
 と思ったけど、高すぎて降りたら死んじゃうんかも!
 齢二十三にして八の月と二十三日目になるんキュプロ栗鼠族にして大キュプロ
町長の娘が死んだらパパが困るん!
「慌てるナア嬢ちゃん! 今すぐ梯子を用意すっから待っテナア!」
 こうして梯子が用意されて、あたしはそれを使って砂浜に降りましたとさ!
「別れる前にお金を払ってもらわないトオヨ!
 えっと二万マンドロンになるゾオ!」
 二万マンドロンは高いよ! でも払えない値じゃないわ!
「大マンドロス町にいるあたしのパパ、ドミトリー・メデリエーコフに第一子
リザヴェルタが『二万マンドロンを用意出来ないから代わりに払ってね!』って
伝えて!」
「勝手な雌だな、お嬢ちゃんハア!
 まるで今は亡き壱生様を彷彿とさせルウではないカア!」
「ごめんね、リカルドお爺さま!
 考えて一マンドロン硬貨と二マンドロン硬貨を用意できなくて!
 ちなみに壱生様は存命中ですん! 勝手に死なせたらあの方は火を噴くんように
怒りますん!」
「そ、そうだっタア! じゃ、じゃあわしは他ニモ仕事があるのデエ帰るっゼエ!」
 そう言って齢三十九にして二日目になるんテレス熊族からマンドロス熊族に帰化
したリカルド・真鍋お爺さまは部下に無理難題を叫んで船を砂浜から離して、
そのまま北北東の方角を目指して行かれた!
「あ、暑い! 夏の季節だけど慣れない! あたしはこの暑さに耐えながら目的の
小屋まで行くんの~! 良くんないよ~!」
 しかも太陽は真上まで昇ってるんし!
 しかもお腹が空いた! 虫さんが五月蠅い! 五月に騒ぐ蠅族のようにお腹の
虫さんは大きな声を出すわ!
 足を動かさないといけない。でも暑い! 暑くて銀河連合に食べられるんよりも
先に死ぬんかも?
 って銀河連合の事を考えたら暑さよりも先に--
「恐怖が湧いて後ろが見たくんなくんなるんうんうん!」
 何だか知らないけど、あたしの足はいつの間にか走ってるん!
 銀河連合に食われるんのが怖くんて走ってるん! 早く小屋に入らないと!
 食われるんよおお!
 そうしてあたしは一の時まで走り続け、語り部の住む小屋に着きました。
「あたしの目的は語り部からお話を聞くんこと!
 ちゃんと両耳で聞かないといけない!」
 えっと扉を叩くんのは何回で良かったの? 三回? 二回?
 神様に聞こえるん数を叩けばわかるんはず! と言うことで二回叩こうん!
 あたしは正面の応神木で出来た扉を右で二回叩くん--自慢の鋭い爪を突き
立てないで栗を両手で持つ時の形で甲を突き出すんように。
「あれ? 聞こえない?」
 もう一度扉を二回叩くん! ん? 聞こえな--
「聞こえとるぞ! 扉を叩く回数が少なかったから返事をしなかったのじゃ」
「ご、ごめんなさい! あたしは語り部のお爺さまになんて礼を欠くん行為を!」
 あたしの腰砕け! これじゃあ栗鼠族の雌に相応しくない! 神様にも申しわけ
立たずにそのまま--
「後悔しとる暇があるルーならさっさとワシの家に入るのだ、お嬢ちゃん?」
「し、失礼しますん!」
 あたしは後悔しながらも齢四十五にして七の月と七日目になるん応神羊族の老年
樹林メイ土の家に土色の可愛らしい両足を同時に出して入っていくよ!
「コラコラアーア、慌てるの--」
 イダイ! 後頭部を強打したかも?
「両足を同時に出して入るからそうなるのじゃ! 次からは気を付けなさいいー!」
「はい……」
 怒られた! あたしはとっても悔いが残るん。
「ところで何のようかな? ワシを訪ねると言う事は何かを知りたいのじゃろう?」
 そ、そうんだ! あたしの目的は樹林さんからお話を聞きにやってきたのよ!
「じ、実はあなたのお話を聞きにはるばるマンドロス町からここまでやって来ました。
ど、どうか、えっと、ど、どうか何かしらの物の語りをお聞かせて下さい!
 お、お願いしますん!」
 樹林さんは器用に前左足の蹄で頭を掻いた--薄くなった茶色い綿毛を毟るよう
に激しく!
「これを聞くといいーうことは君もまた物の語りーいになる覚悟があるようじゃな?」
 覚悟? そんなのないけど、ないけどどうして?
「えっとありますん」
「えっとじゃ良くないいーいぞ! はっきり言うのだ!
 覚悟はあるのか!」
 何か知らないけど、凄い気迫を感じるん! 老いた両眼なのに目の奥には怒りに
近い光が照射してるん感じしたけど?
「う、うわ!」
「覚悟無き者に聴かせる物の語りーいはないぞ!」
 そ、そんなことじゃない! あたしだって覚悟はあるん!
 そ、それは真実が真実でありたいと願う覚悟がね!
「ありますん!」
「そうじゃ! その眼をワシは見たかったのじゃ!
 じゃあ今から始めるぞいいー!」
 こうして物の語りは始まる。それは二十の時より前に起こったラエルティオ町が
食われるお話を……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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