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一兆年の夜 第百一話 時間旅行 時間研究者太間ガン流豆の証言(四)

 午後九時五十八分三十二秒。
 ガン流豆とレットは銀河連合の亡骸を丁寧に包むと其れを埋葬部屋まで運んでゆく。埋葬部屋も又、地下一階、地下八階、地下十五階と其々に存在する。二名が向かうのは地下十五階--ガン流豆が居た部屋の反対側にある第三埋葬部屋に……である。
(ハコンデユク途中で何も起こらなければ良いのダガ)
 ガン流豆がそう思った時、必ず何かが起こった--そう、カメレオン型の遺体が突如として蠢き出した!
「ナニカ思うと必ずこんな事ってあるカア!」思わず、レットの方に振り向いて遺体を放してしまうガン流豆。「ッテウワアア!」
 ガン流豆、今の俺様の腕力では……って俺様も放してしまった--翼を広げて飛ぶガン流豆に目を向いたせいで遺体を包む布から両手を放すレット。
 そして遺体から何かが飛び出してガン流豆の右翼の先端を切り裂いた--均衡が崩れたガン流豆は思わず左翼から壁にぶつかって階段を転げ落ちる!
「ウワアア……イデエエ!」僅か五段目まで転がると何とか壁に凭れて堪えるガン流豆。「オレが……ウググウウ。オレの翼が……先端を、先端ヲオオ!」
「其れよりもガン流豆……其の銀河連合はまだ生きている!」
 ウワアアア--ガン流豆が銀河連合の方に見上げると其処にはカメレオン型とは別に液状化した蛇型が見下ろすのを見て……絶叫するしかなかった!
「又、覆って……な、水浸して!」レットは液状型の持つ濡らす力と通過して攻撃を仕掛ける戦法に思わず三段程跳躍して離れる以外になかった。「く、ガン流豆と更に離れるって!」
「オオイ被せる事も出来ない……左手羽先には松明しかナイ!」
 火は水に圧倒される。熱で蒸発は余りに都合が良過ぎる。特に松明程度では液状蛇型の全てを蒸発させるには乏しい。そんな状況下でガン流豆は階段を下りて逃げるしかない--液状蛇型の狙い通りにガン流豆は埋葬部屋に追い込まれてゆく!
「いけない……だが、今の俺様の力でガン流豆は助けられない!」物理攻撃は液状型に通じない以上は他の手段を求めて階段を駆け上がるしかないレット。「御免……俺様はお前を助けられない!」

 午後十時十一分十九秒。
 場所は第三埋葬部屋。其処には十四階に通じる階段以外の道はない。
 ガン流豆は追い込まれる。彼は液状蛇型銀河連合は初めからカメレオン型の体内に潜んでいたと考える。
(ダトスレバレットの体内に銀河連合が植え込まれる可能性がアリウル。シュトウに依る攻撃は銀河連合を倒すのに向かないのを理解した……俺を置いて去ったのは正解ダッタ。アノママでは彼も加わって俺の生存率は更に低くなる可能性がアッタ。マア何方にしても今の俺は右翼の先端を斬られて出血がトマラナイ。シヌナ、俺ハ)
 レットが此処へ来なかったのは幸運。来ない事で自分自身の生存率が下がらなかった……と。と同時に自分が時間旅行機の傍に居なかった事。此の部屋に時間旅行機がない事で自分は万が一にも元の時代に戻れない事をガン流豆は悔い始める。まだ後に成って悔い始める迄には至らないまでも時間旅行機を使えば生き残る可能性がまだあった。其れだけに第三埋葬部屋に追い詰められるのはガン流豆にとって戦略どころか戦術面でも判断の誤りであったと。
(ハンダンノアヤマリは俺にアッタカ。オレハ判断の誤りでこうして追い詰めラレル。オレハ何と後先も考えない生命ダッタンダ。ナニガ一万名に一名の逸材ダ。オレなんか結局は何処にでも居る凡庸な生命ダッタンダ!)
 徐々に距離を縮められる中でガン流豆は自らの驕りを悔い始める。幾ら飛べても此処は高さ成人体型最高でも五とコンマ二、最低でも三とコンマ一。左翼を使って飛んだって蛇型の巻き付けが遅れる道理がない。瞬く間に両方の意味で窒息死が可能な部屋の構造。逃れ得る事は早々出来そうにない。望みは最早絶えたも同然……「意外と軽いな、此れは!」の時にレットが時間旅行機を担いで液状蛇型に飛び込む!
「レット……其れは俺が作り、此の時代に跳ぶ要員を作った物ジャナイカ!」
「何となく俺様は」レットは其れを両手に担いだまま、液状蛇型に浸かる……「此れに……うわああ!」が、電動式の時間旅行機は液体に浸かると放電を起こしてレットの両手が麻痺する程の勢いで彼が飛んだ所の少し離れた個所まで彼を弾き飛ばした。「ウガア……両手が!」
 だが、レットの機転もあって液状蛇型は未だに感電し続ける。
(ソウカ……時間旅行機にまだ電力が残っているのならば、肉体が液状で出来る銀河連合にも攻撃は通ジル。コノママ、液状蛇型を倒せば後は……って奴メ!)
 液状蛇型は真っ直ぐにガン流豆を覆い囲むと痺れる中でガン流豆を縛り付けた--ガン流豆も感電し、自らの死期を覚悟した!
(コノママ、で、は、俺、は……俺は、ア、アア--)
 ガン流豆にある走馬灯を発する脳内物質が放出するのと同時に時間旅行機は青白く輝く--
























 不明。
 ガン流豆が目を開けると其処は又見慣れない場所に跳ばされていた。
 ガン流豆は右翼の先端を確認しつつこう考える。
(ソウカ……あれは夢ではナカッタカ。オレハ銀河連合に依って飛ぶ為の力を一部喰われタンダナ)
 ガン流豆は既に出血が止まっている事と感覚を失う事も確認する。だが、喰われた一部は二度と再生しない。当たり前である。誰もが大きな欠けの前では細胞分裂に依る再生は期待出来ない。ガン流豆は生命体の性を改めて理解してゆく。
(オレガやるべきなのは……此処が何処ナノカ? オレハ何処に跳ばされたノカ?)
 ガン流豆の物語はまだ始まったばかりである。彼が此れから十の年もの間にどれだけの体験をするかが気に成る所である。
















 ICイマジナリーセンチュリー二百四十五年四月十八日午後一時五十七分二十八秒。
 場所は不明。
 時代は今に戻る。
 --え? 其処で終わりなのですか?
「マダマダ続きはあるが、今回は此処マデダ」

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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