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一兆年の夜 第百話 蒼穹の紅蓮 希望は未来だけじゃない(希)

『--其れから先は最高官を持して跡を継いだイノ唐須磨が約一の年を一生懸命務めた。
だが、選挙の結果は振るわなかった。彼は短命政権として名を残してしまった。まあ、
其れは其れだ。彼が僅か一の年でやって来た政策はどれも後に科学の常識を一変
させるきっかけを与える物だった。後に政界を引退した彼に尋ねると彼が目指したのは
開発党のように科学技術を進歩させる事で躯央が提示した最後の二つの実現を現実化
させる事だった。だが、開発党と被る内容だった故に剛力党との一騎打ちに打ち勝つ事
が出来なかった。其れでもやって来た事は意味がないなんて言わせない。鎌鼬党の党首
を務めた私らしく其れは意義のある事であると断言しておこう。よう。
 では私は如何したか? イノ唐須磨が政権を明け渡した時期より一の年の後に紅と共に
私が王に襲名した地で初の法王として就任する。内容は大王と少し異なる。兄さんが
存命中に起こった南雄略に逸れ銀河連合の軍勢が迫った時に指揮が執れるように
置かれた物だ。本来ならば最高官が国軍の最高責任者だ。だが、最高官が動けない事を
想定して私が自らの判断で進んでゆくという物。決して王が動くような事態を避ける為に
ある。そうゆう意味で兄さんは少し動き過ぎた。其れを反省して法王という役職が設け
られた。
 さて、法王に成った私ではある。だが、実際は大王同様に国民の前に姿を現す事も
七の地で隠居生活を送る事も自由と来た物だ。其処で私は七の地に法王軍と呼ばれる
民間部隊の創設を法王就任後に時の剛力党政府に申し出た。だが、下し却って
しまった。如何やらまだまだ軍の創設には早過ぎる模様だ。其処で私は軍は創設出来なく
とも研究施設の造営を申し出た。すると今後検討するという回答が返って来た。其の意味
は今後共話し合う気は一切ないという意味であるのは誰が効いても丸わかりな事である。
其れでも下し却って来るよりもまだましだ。だからこそ私は次の政権だろうと更に次の
政権だろうと今後も七の地の造営を求めるつもりだ。其れが法王としての使命なら、な。
 ところで現在の私は何をしているのか? そろそろ語る番かも知れないな』

 ICイマジナリーセンチュリー二百四十五年四月十一日午前六時一分二秒。

 場所は真古天神武アリスティッポス大陸中心点。
 其処は七の地と呼ばれ、然も代々の大王が隠居する地。躯伝が最初に隠居し、其の第十一子である蒼天も其処で死ぬ事を選んだ。実質三代目大王にして初代法王である紅蓮も其処で果てる事を選んだ。だが、老年に成って才能をいかんなく発揮する紅蓮は有り余った才能で七の地を氷の大地とは思えない地へと様変わりさせようと舞の年に一回以上は首都へと出発し、時の政権を騒がせるとは誰が思ったのか? お陰で其の地には多くの生命が集まり、徐々に都市化が進行してゆく。
 そして七の地で最も大きな建物の一階大王の間で寒さを堪えながら布団から出ようとするのは齢五十六にして九の月と八日目に成る天同紅蓮。何時も起こすのは彼よりも三十の分より早く起きて、起き始めを計って大王の間に駆け付ける齢三十にして二の月と二十五日目に成る白髪。
 彼女は紅蓮が死ぬ其の時までずっと付き添う事を決める生命。決して結ばれないと知っていても彼女は紅蓮と共にあると信じて突き進む--だが、彼女は朱波とは別に東夜家の雌に見られる銀河連合から与えられた何かの影響で既に治せない病に掛かっていた!
「お早う御座います、叔父様……ゴホゴホ!」
「お早う……クウ、銀河連合の縛りは朱波達の世代で断ち切れたと思っていたのに!
「きっと……神武聖堂を焼くあの時に傷が開いたのでしょう」白髪は右掌に染まる赤い血を見て長く生きられない事を悟っていた。「其れでも……私は紅蓮様よりも長く、生きとう御座います!」
 ああ、お前を病で先に生かせるなんて……大事な姪っ子が此れ以上先に行くなんてあの世に逝った朱波に申し訳が付かない--尚、朱波は二の年より前に想念の海に旅立った……其れでも蒼穹と白浪が遺した命は無事に孫の世代に受け継がれた。
「朱波お姉様の遺した子供達はみんな雄の子ですわ。でも、残念ながら天同家として名乗るには、名乗るには相応しくありません」
「ああ、大丈夫だ。私の紅が既に第三子を儲けた。雄、雌、雄ではあるが天同家の存続には十分だ」
「ええ、では」白髪は抱き締めるのを止めると直ぐに変わらない日常へと戻る。「そろそろ出来上がった頃ですわ」
「そうか……じゃあ今度も白髪の作った料理を美味しく戴くとしようか!」
 紅蓮は白髪の背中を見て次のように思った。
(紅奈……白髪と紅奈は叔母と姪の関係だ。其れでも一瞬だけ紅奈の背中に見えた。如何やら私の死期は意外と早く訪れそうだ。もう少し長く生きられると思ったのに……如何やら仙者も長生きする方としない方があるかも知れない。私と兄さんは父さんよりも短く生を終える運命にあったか……だが其れも又、良し!
 最早私の物語は語り尽くした。色々説明しないとわからない部分があるだろう。もう少し詳しく説明されるべきだろう……しかし、此れで良いんだ。私は……いや、私は全生命体に希望を十分に残した。後の事は子供世代や孫の世代に任せる。老い耄れはしめやかに幕を下ろさなくては、な!)
 其れから一の月より後……紅蓮は五十六年の生涯に幕を閉じた--勿論、長生き出来そうにない白髪よりも先に行くという約束を守って!

 ICイマジナリーセンチュリー二百四十五年四月十一日午前六時五分三秒。

 第百話 蒼穹の紅蓮 希望は未来だけじゃない 完

 第百一話 時間旅行 太間ガン流豆の証言 に続く……

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プロフィール

Author:darkvernu
 どうも大阪府に住むdarkvernuです。
 自分の趣味はネットサーフィンする事と偉そうに批評する事と、たまに読書をする事。今はそれだけです!
ちなみに読む本は主に経済本や評論本、たまに数学関連や科学関連の本を読みます。歴史も好きなのか歴史関連を読んだりもします。ただし、その分野に詳しいかと言えば、ドマイナーだと自分で思います。ただし、小説関連は余り読みません。何故なら自分は三流未満とは言え小説家なので手塚治虫の言葉を応用して小説は読まないように心がけてます。神話や昔話、童話は読みます。小説というジャンルとは違うので。今度はSF界の重鎮作品も読みたい気分です。
 好きな食べ物は数えきれませんので嫌いな食べ物は基本無いです。苦手な事は就活。いや本気で。今はギリギリでいるか或はその前に貯金を使い果たすかのどちらかだ。

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